就職後、多くの人は40年近く会社人として頑張り、そして定年を迎えます。「老後はふたりで……」と定年後の生活に思いを馳せる夫婦も多いでしょう。しかし虎視眈々と離婚を切り出そうとしている人も珍しくないようです。みていきましょう。

都会の朝の通勤電車に閉口…地方への移住もありかも⁉

月曜の朝、そんな思いで会社に向かっている人も多いのではないでしょうか。コロナ禍、リモート勤務が定着し、もう会社に行くことはないのかと思うと、ちょっとセンチメンタルな気持ちになった人も。しかしコロナ禍があけたら出社自粛が嘘のように、出社全面解禁となった大企業も多いといいます。

東京都が行っているテレワークの実施状況の調査によると、2023年9月、都内企業(30人以上)のテレワーク実施率は45.2%。テレワークを実施した社員の割合は33.3%。テレワークの実施回数は、週3日以上の実施が44.2%でした。

2020年の緊急事態宣言前のテレワーク実施率は24.0%。宣言後は一気に60%を超え、2020年9月には65.0%とピークに。その後、上下を繰り返しながら下降傾向となり、新型コロナウイルス感染症の第5類への移行を機に4割台に。コロナ禍前と比べたら倍近くの数値なので、ある意味、リモートワークは定着したといえるかもしれませんが、「完全リモート」を経験した人であれば、その頃を懐かしく思う時もあるでしょう。

テレワーク実施率の低下に伴い、通勤電車も混み始め、久々に人に押される感覚を体感した人も多いでしょう。国土交通省が今年7月に公表した三大都市圏における都市鉄道の平均混雑率では、令和4年実績で東京圏で123%、大阪圏で109%、名古屋圏で118%。主要区間ごとにみていくと多くが混雑率100%を超えていて、JR東日本であれば京浜東北線の「川口→赤羽」間が142%、東京メトロなら千代田線「町屋→西日暮里」間が139%、東京都地下鉄なら三田線「西巣鴨→巣鴨」間が135%を記録しています。

満員電車で会社に向かう月曜日。憂鬱な気分のなか、思わず想像するのは、ごみごみとした大都会を離れた地方での暮らし。「コロナ禍が地方移住のチャンスだったな……」そう後悔している人もいるかもしれません。

トラストバンク地域創生ラボが東京圏で生活する15歳~29歳を対象に行った『東京圏の若者の地方に対する意識調査』によると、「地方暮らしに憧れる」という人が49.3%。そして79.0%が「実際に地方暮らしをしてみたい!」と回答しています。

さらに「理想の地方暮らしが実現できそうな都道府県」を尋ねたところ、1位は「北海道」で9.9%、2位が「沖縄県」で7.5%。「長野県」6.6%、「静岡県」4.9%、「福岡県」4.2%と続きました。

地方移住…給与は下がるが「物価は安い」は本当か?

ーー北海道に移住してゆったりとした暮らしを手に入れる

確かに理想であるものの、実際はどうなのでしょうか。厚生労働省令和4年賃金構造基本統計調査』によると、東京の企業で働く人(平均年齢42.6歳)たちの平均給与は月収で37.5万円、年収で598.9万円。手取りにしたら、独身で月28万円ほどです。一方で北海道の企業で働く人たち(平均年齢45.5歳)の平均給与は月収で29.0万円、年収で414.6万円。手取りにすると、月22.2万円ほど。東京と憧れNO.1の北海道では、月収では月8万円以上、年収では180万円以上もの差が生じています。

ーー地方は給与が安くても、物価も安くていいよね

本当にそうなのでしょうか。総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、1ヵ月の消費支出額は全国平均32万0,627円。「東京都23区」では35万1,136円、「札幌市」で30万0,722円、「北海道地方」で31万7,849円でした。東京と地方、支出額は給与の手取りほどの差はない、というのが現実です。

ライフスタイルによりますが、統計上、東京と地方では、給与差ほど物価の違いは見られません。「地方は物価が安いから生活はラク」というのは、ちょっと違うのかもしれません。東京から地方への移住、給与は減るし、生活費もいうほど安くない……この現実に思わず唖然としてしまう人も多いのでは。

ーーそれでも地方に移住しますか?

前出の若者への調査で、自分にとっての「良い仕事」の条件について尋ねると、最も多いのが「収入が高い」で53.3%。「楽しさ・やりがいを感じる」47.9%、「働きやすい」46.2%と続きます。そして 「良い仕事をするために都市圏に住んだほうがよいと思うか」と尋ねたところ、「都市圏に住んだほうがよい」が57.5%と、過半数を超えました。結局、「良い仕事」=「収入が高い仕事」をするには、都会が一番いい……これが現実です。

ちなみに北海道出身だというサラリーマンいわく、「雪がないだけ、東京のほうが住みやすい」のだとか。色々な価値観があるので一概にいえませんが、都会暮らしには都会暮らしの良いところも。ちょっと長めの有給でも使って地方暮らしを体験したら、意外とすぐに日常が恋しくなって「やっぱり都会が一番だね」と戻ってくるかもしれません。

(※写真はイメージです/PIXTA)