弁護士

ケニアの法律事務所で働く男が、弁護士になりすましていたことが発覚して逮捕された。『BBC』『Nigerian Tribune』などが伝えている。

 

■アカウントの乗っ取り発覚

9月にナイロビ在住の弁護士資格を持つ男性が、弁護士会のサイトにアクセスしたところ、自身のアカウントにログインできなかったという。

弁護士会に連絡を入れるとログインできたものの、アカウントの男性の名前、住所などの情報が書き換えられていた。さらに別人の写真が掲載されていたため、自身のアカウントが何者かに乗っ取られたことに気付いたそうだ。

男性は2022年8月に弁護士の登録を行った後、司法長官の事務所で働いていた。そこでは特に資格を必要としなかったため、弁護士の「開業証明書」を発行するに至っていなかった。

 

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■詐欺容疑で偽弁護士男が逮捕

今回、男性はこの証明書を発行するために当該サイトにログインしたことから、不正アクセスが発覚したという。

男性の報告を受けて弁護士会が調査を開始したところ、男性になりすましていた男Aは男性と似た名前を持つ人物で、大手弁護士事務所に勤務していることがわかった。さらにAは各地の裁判所で弁護士として活躍し、訴訟を担当していた。

弁護士会によると、Aは弁護士資格を持っていないばかりか、ロースクールなど法律の学校に通った形跡がなかったという。それにもかかわらず、Aは担当した26件すべてに勝訴していた。

なりすましの発覚後、Aは詐欺やID窃盗など複数の容疑で逮捕された。容疑を否認しているが、いったん釈放された模様だ。

 

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■男を称賛する声も

Aの逮捕のニュースが報道されると、法律関係者からは怒りの声が挙がる一方で、Aの能力を称賛する声も集まった。

ケニア労働組合中央組織委員は、「彼は若くて素晴らしいマインドを持つ人物。伝統的な資格がなくても(弁護士として)成功した」などと、『BBC』に話している。

また、前ナイロビの市長も男の支持を表明し、自身のSNSにAとみられる人物を登場させて、「彼は誰も殺していないし、テロリストでもない」と紹介した後、隣のAは「サポートしてくれた人に感謝します。誤解を解き、私の無実を証明するつもりです」などと訴える動画を投稿した。

弁護士になりすました男が逮捕 担当の裁判に全勝訴する有能さを発揮