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FRUITS ZIPPER10月28日、東京・東京体育館で全国ツアー「FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2023 -AUTUMN-」の最終公演を行った。グループ結成1年半にして初のアリーナ公演に挑んだふるっぱー。会場にはおよそ8000人のファンが集まり、カラフルなペンライトで圧巻の光景を作り上げた。

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「アリーナ盛り上がってるかー!」

9月にツアーをスタートさせたふるっぱーは、大阪、愛知、福岡、広島、北海道神奈川の6会場を巡り、彼女たちのライブを待ち望んでいた全国のファンにパフォーマンスを届けてきた。ライブハウスからアリーナへ、キャパシティを一気に跳ね上げて行われたツアーファイナルも前売りチケットはソールドアウト。3階席まで埋まった場内に大きな期待が膨らむ中、ステージ下から横1列でせり上がり登場した月足天音、鎮西寿々歌、櫻井優衣、仲川瑠夏、真中まな、松本かれん、早瀬ノエルの7人は、「ぴゅあいんざわーるど」でライブの幕を開けた。櫻井の「さあさあおいで」など決めのフレーズでは3面の巨大スクリーンにメンバーの顔が大写しになり、女性ファンの黄色い歓声が上がる。また、この日のために用意された公式ペンライトは無線で制御されており、歌唱中のメンバーカラーが一斉に点灯するなど、統一の取れた光の演出も大きな見どころとなった。続けて「完璧主義で☆」「君の明るい未来を追いかけて」の2曲を歌ったところで、7人は1人ひとり自己紹介。最初に挨拶した月足は「アリーナとということで、やりたかったことを……」とつぶやくと「アリーナ盛り上がってるかー!」と観客に呼びかけ、広い場内に反響するレスポンスに「満足です」と笑みを浮かべた。続くメンバーも「アリーナー!」「2階席ー! 3階席ー!」など観客とのやりとりをひとしきり楽しんだのち、「ふるふるサマー」でライブを再開。「みんなの近くに行っちゃうよー」と宣言すると、カラフルなハートで飾られた2台のフロートに分かれて乗り込み、アリーナの後方まで移動した。

ユニット対決に新曲初披露、ふるっぱーの新たなフェーズ

目の前のファンに笑顔で手を振ったり、サイン入りTシャツをバズーカで発射したりと、アリーナ公演ならではの演出を楽しむふるっぱーを乗せた2台のフロートはアリーナ中央で合流。7人は会場のド真ん中で「RADIO GALAXY」を歌い、メンバーの頭上では巨大なミラーボールがギラギラした光をアリーナいっぱいに反射させた。その後メインステージへと戻った7人は「ハートのローラーコースター」「We are Frontier - Tour Remix ver -」「ずっと、ずっと、ずっと!」「CO-個性」とバリエーション豊かな楽曲を歌い、ステージをあとに。するとスクリーンには格闘技大会を彷彿とさせるメンバー同士の煽り映像が流れ、ふるっぱーが新たなフェーズへと突入したことを証明する試みとして、3組のユニットに分かれてのパフォーマンス対決「WORLD KAWAII CLASSIC」の開催が宣言される。レニー・ハートの呼び込みで、まずは“あまれん姉妹”としてファンの間でもおなじみの月足・松本コンビが登場。この日のために用意されたユニット曲「ぴんきーれっど」を歌い、煽り映像で予告していた“ジョジョ立ち”を決めた。次に登場したのは、鎮西・櫻井・真中のトリオ。3人はユニット曲「天真爛漫」でキレのあるダンスとアイドルらしいかわいさを織り交ぜた多面的なパフォーマンスを見せた。歌唱力に定評のある仲川・早瀬のコンビはガールクラッシュ感あふれる「Bye-Bye」を披露。煽り映像で「みんなを黙らせる」と宣言していた通り、オラついたパフォーマンスで観客を圧倒した。のちのMCでは各ユニットが裏設定や準備期間のエピソードを明かし、対決の行方は「みんな優勝」という形で落ち着いた。

ユニットパートで新衣装に着替えたふるっぱー。ライブ後半には、1人ひとりの個性を盛り込んだ自己紹介ソング「うぇるむとぅ~ざ♡ふるっぱー!」や、今年の流行語「なぁぜなぁぜ?」の由来となった「なあになあに?」のセリフでおなじみの「ハピチョコ」などにぎやかなナンバーが並ぶ。「Re→TRY & FLY」ではステージ上に火柱が上がり、7人のパフォーマンスを熱く盛り立てた。「Going!」ではメンバーが再びフロートに乗り込みアリーナへ。中央に集まった7人は、この日のために用意したという新曲「キミコイ」を初披露した。そして最後は、FRUITS ZIPPERの名を大きく広めるきっかけとなった大ヒットナンバー「わたしの一番かわいいところ」。合計20曲のパフォーマンスを終え、7人はさわやかな笑顔でステージを去った。

ふるっぱー史上一番のおめでたいお知らせ、武道館決定!

アリーナにこだまするアンコールの声を受けて再度登場したふるっぱーは、改めて場内のファンに感謝の思いを伝える。先日アイドル活動10周年を迎えた櫻井は、緊張の面持ちで言葉を紡ぎ、「まだまだ満足せずに、さらに大きなステージを見せたいです」と意気込んだ。観客との記念撮影、TikTok撮影を終えた7人はまたもフロートに乗り、本編で初披露された新曲「キミコイ」をもう一度パフォーマンス。この時間のみ撮影が可能となり、観客は一斉にスマートフォンを構えて彼女たちのパフォーマンスをカメラに収めた。場内が大興奮に包まれる中、「私たちも知らないお知らせがあります。こちらをご覧ください」とメンバーと観客が目を向けたスクリーンに映し出されたのは「FRUITS ZIPPER 2024年5月18日 日本武道館決定」の文字。グループ結成2周年を記念したライブの会場が日本武道館に決定したことが初めて明かされると、メンバーは大粒の涙を流して喜びあった。「FRUITS ZIPPER史上一番のおめでたいお知らせをしたということで」と、7人は「超めでたいソング ~こんなに幸せでいいのかな?~ 」を歌い、観客は「おめでとう!」と祝福の声を届けた。

地球人として生まれてきてよかった

最後はメンバー1人ずつ、ライブを終えた感想と感謝の言葉を伝えていく。かつては別のグループで活動していたものの、なかなか思うようにいかなかったという仲川は「こういう景色って夢見ちゃだめなのかなと思っていて……でも、ここまで続けてきて、まさか自分がフロートに乗るなんて。FRUITS ZIPPERが最強だから叶った夢だから、感謝しています。武道館とか意味不明だなって思うんですけど、最高の景色を届けたいと思うので、絶対に離れないでね」と涙ぐむ。櫻井は10年前にアイドル活動を始めながらも一度はその夢をあきらめかけ、アルバイトでトイレの掃除をしているときに流れてきた人気アイドルの曲に「私、何やってんだろう……」と涙を飲んだ過去のエピソードを明かしつつ、「今こうして皆さんの前にアイドルとして立てることをうれしく思います。戻ってきてよかったなと思います。引き止めてくれていた関係者の皆さんやファンの皆さんを幸せにしたいと思っていた私の願いが、今日叶えられたのかなって。みんなへの恩返しになっていたらうれしいです」と笑顔を見せた。最後にマイクを取った鎮西は、会場の隅々まで見渡しながら「一時期菩薩のようになりたいと思っていた時期がありまして。苦しいことやつらいことを手放してハッピーに生きたいと思ってたんですけど、やっぱりいろんな人と関わると傷つくこともあって。でも人と関わり合えるからこそ、人とつながっているからこそ、こうして最高の時間を過ごすことができるんだと思うと、本当に地球人として生まれてきてよかったです」と独自の語り口で涙ながらに実感を語り、「ここにいるみんなで幸せになっていきましょう!」と思いを述べた。

「最後は私たちの始まりの曲を」とグループ結成初期のナンバー「君の明るい未来を追いかけて」を歌い、すべてのパフォーマンスを終えたふるっぱーだったが、この光景を目に焼き付けておきたい7人はなかなかステージを去ろうとしない。仲川が「わがままだけど、どうしても」と会場の照明をすべて消してほしいと要求すると、場内には8000人のペンライトの光のみが幻想的に広がった。

なおU-NEXTでは11月11日10:00から11月24日23:59まで、当日生配信されたライブ映像の見逃し配信が実施される。

セットリスト

「FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2023 -AUTUMN- The Parlor of FRUITS ZIPPER TOUR FINAL」2023年10月28日(土)東京体育館

01. ぴゅあいんざわーるど
02. 完璧主義で☆
03. 君の明るい未来を追いかけて
04. ふれふるサマー
05. RADIO GALAXY
06. ハートのローラーコースター
07. We are Frontier - Tour Remix ver -
08. ずっと、ずっと、ずっと!
09. CO-個性
10. ぴんきーれっど / 月足天音、松本かれん
11. 天真爛漫 / 鎮西寿々歌、櫻井優衣、真中まな
12. Bye-Bye / 仲川瑠夏、早瀬ノエル
13. 世界はキミからはじまる
14. うぇるむとぅ~ざ♡ふるっぱー!
15. ハピチョコ
16. Re→TRY & FLY
17. skyfeelan
18. Going!
19. キミコ
20. わたしの一番かわいいところ
アンコール
21. キミコ
22. 超めでたいソング ~こんなに幸せでいいのかな?~
23. 君の明るい未来を追いかけて

撮影:ヨシモリユウナ、森好弘、小野百恵、上溝恭香

「FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2023 -AUTUMN-」最終公演の様子。