10月28日、穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールにて、森田剛主演舞台「ロスメルスホルム」が開幕。初日終演後、森田は「自分としても、もっともっとやっていたいと思えるお芝居です」とコメントし、初日公演の手応えと今後の公演への意気込みを語った。

【写真】進歩的な思想を持つ同士を演じる初共演の森田剛&三浦透子

■舞台演出家・栗山民也が手掛ける、イプセン最高傑作「ロスメルスホルム」

原作は、「近代演劇の父」と称されているノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンが、1886年に書いた「ロスメルスホルム」。古く凝り固まった時代から新しく解放されつつある時代の中、保守的な思想と進歩的な思想の人々との対立を、緊張感のある心理描写で描いた人間ドラマ。

イプセンの作品の中で最も複雑で多面的な演劇という評価がある一方、最高傑作のひとつともいわれる本作を、2019 年読売演劇賞大賞・最優秀演出家賞を受賞した栗山民也が手掛ける。主演のヨハネス・ロスメルを演じるのは森田剛、ヒロインのレベッカに三浦透子という初共演の二人に加え、浅野雅博、谷田歩、櫻井章喜、梅沢昌代の演技派俳優が共演する。

初日公演を終え、出演者がコメントを発表した。

■主演・森田剛コメント「できれば何回も見てほしい」

稽古が始まってからあっという間であり、やっと初日というような感じでもあります。

お客様に届いているという実感があり、他の出演者の方たちの熱もあがっていくのを感じ、自分としても心が動く瞬間がみつけられたので、毎回その瞬間を汲み取っていきたいです。これから福岡、兵庫と重ねて東京で演じる時はまたどんどん変わっていくと思います。見れば見るほど発見がある作品なので、できれば何回も見てほしい。自分としても、もっともっとやっていたいと思えるお芝居です。

■ヒロイン・三浦透子コメント「あらためて自分はお芝居が好きなんだ」

無事に(初日が)終わってまずは一安心しました。

半年ぶりに人前でお芝居をしたのですが、いい作品でリスタートさせていただけたこと、感謝しています。学ぶことが多すぎる作品で、学びたいと思えることがまだまだある。あらためて自分はお芝居が好きなんだと実感しました。

私たちもエネルギーをつかいますが、お客様もエネルギーをつかいますよね。皆様が集中して見てくださっているというのが舞台上にも伝わってきました。はじまったばかりなのでここからまた気を引き締めて演じていきたいです。

■演出・栗山民也コメント「みんなの心に深く刻まれますように」

穏やかで、なんとも心地よい豊橋の芸術劇場で初日を迎えました。客席のやわらかだった空気も、物語が進むにつれ何か熱い一つの塊になっていくようでした。いろんなものがギュッと詰まった 19 世紀末の物語です。いろんな人がいて、いろんな風景が広がり、いろんな感情が物語を右左へと強く揺さぶるように動かしていきます。

劇中にある「世界中が見つめている。耳を澄ましている」など自由社会への渇望を求めるセリフが、登場人物たちの熱い行動とともに、今のこの不穏で愚劣な世界に強く響くのです。この一つの劇で、何が可能か。みんなの心に深く刻まれますように。

取材・文:上野紀子

森田剛主演舞台「ロスメルスホルム」開幕/撮影:田中亜紀