俳優の船越英一郎が主演を勤める、明治座創業150周年記念舞台『赤ひげ』が10月28日に開幕した。芸歴40周年を迎えた船越にとって、63歳にして初めての舞台挑戦。原作は、小石川養生所の医師である主人公の「赤ひげ」こと新出去定(にいで・きょじょう)の活躍を描いた山本周五郎の傑作小説『赤ひげ診療譚』。船越はBS時代劇『赤ひげ』でも、赤ひげを4シーズンにわたり演じており、思い入れの強い役どころだ。

同日行われた合同取材会に出席した船越は、「初舞台の初日にあんなにお客様たちから大きな暖かい拍手とスタンディングオベーションまでいただいて、カーテンコールもダブルまでは練習したんですけど、今日あんなに何度も幕が開いて感激いたしました」と感無量の面持ち。本作が医療ドラマである点に触れ「我々が皆様の身体を治すわけにはいきませんけれども、ご覧になった方たちの心に、何かあったかい種みたいなものを、植えつけられたらというのを、最後まで目標に向けて努めていきたいと思います」と意気込みを語った。

合同取材会には船越をはじめ、共演する新木宏典(保本登役)、崎山つばさ(津川玄三役)、猪野広樹(森半太夫役/Wキャスト)、高橋健介(森半太夫役/Wキャスト)、菅井友香(お杉役)、山村紅葉(お光役)が同席した。

緞帳が降りる際に、船越だけが一歩前に出てしまったエピソードを高橋が明かすと、当の船越は「全然気づきませんでした。(新木に向かって)お前、隣にいるんだから言えよ!」と苦笑い。「前に出てるなぁ~って思ってました(笑)」(新木)、「わからなかったんだから、あれ!」(船越)と息の合ったやり取りで笑いを誘っていた。

稽古中の苦労を問われると、新木は「セリフ量です」と即答し、「稽古場では、あの大きなセットを確認できないので、台本だけじゃなくて、頭の中でセットを想像しながらの稽古だった」と回想。崎山も「場当たりが本当に大変」「タイミングの取り方とか、暗転中にはける導線とかっていうのが一番大変でした」と同意した。また、菅井が「演出の石丸さんがすごく愛のある厳しさをたくさんプレゼントしてくださって(笑)」と振り返ると、船越はすかさず「ハッキリ言っていいよ、怖かったんだろ?」とツッコミ。菅井は「そうなんです(笑)。でもそれぐらい熱量もあるご指導を日々日々してくださった」と笑顔を見せた。

養生所で女中として働くお光を演じる山村は、「お稽古時間が夜9時くらいまであるので。それから飲むお店が開いていないっていうのが一番困りました」と“紅葉節”を披露。船越とは数々のドラマで共演しており、「みんなにも私にも気を使ってくださって、おいしい食べ物だけじゃなく、声もかけていただいて、本当に温かいお稽古場だったと思います。それが多分作品にも出たのかなとも思います」と船越の座長ぶりに感謝を示していた。

舞台『赤ひげ』初日取材会より

<公演情報>
明治座創業150周年記念
『赤ひげ』

原作:山本周五郎『赤ひげ診療譚』(新潮文庫刊)より
脚本:堤泰之
演出:石丸さち子
出演:
船越英一郎
新木宏典  崎山つばさ 猪野広樹・高橋健介(Wキャスト)
菅井友香山村紅葉

2023年10月28日(土)~11月12日(日)
会場:東京・明治座

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/akahige/

公式サイト
■東京公演
https://www.meijiza.co.jp/info/2023/2023_10/

■大阪公演
https://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/20231214.html

『赤ひげ』左:船越英一郎(新出去定)右:猪野広樹(森半太夫)