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10月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した

パチンコホール運営業者として過去最大の負債規模となるガイア(東京)の倒産。遊技人口の減少や競合の台頭、さらに新型コロナウイルス禍が重なり、店舗網の縮小やリストラ策で自主再建を目指していたが、かなわなかった。綱渡りの資金繰りは業界内の通説で、いち早く貯玉を換金した顧客もいたほどだ。関係者によると「10月2日にも不渡りを出していた」といい、“黄信号”がともっていた。

ガイア10月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日付けで保全・監督命令を受けた。帝国データバンクによると、負債総額はガイア単体で約850億円、グループ7社全体で約1133億円に上る。

■どうなる貯玉、パチンカー悲鳴

関係者によると、10月は複数回にわたって手形決済の期限を控え、2日の決済は資金調達の遅れで不調に終わった。その後の数回はしのいだが、31日に迎える数十億円規模の決済が見通せず、自主再建を断念した模様だ。

ノンバンクのJトラスト(東京)と主要取引先銀行がそれぞれ最大50億円と38億円のDIPファイナンス(経営破綻企業向けつなぎ融資)枠を設定し、再建支援に当たる。関係者によると、ガイア側は債権者と取引先に対し、「当面の資金繰りに不安はない」と説明。パチンコホールの営業は通常通り継続するというが、顧客にとって最大の懸念は貯玉の補償だ。

「つぶれるなら早めに教えてくれよ」「朝から貯玉換金ラッシュか」と悲鳴も漏れる。倒産の速報が駆け巡った10月30日夜、ガイアのホームページはアクセスが集中し、ダウンした。さながら、取り付け騒ぎの様相を呈している。

■元社長逮捕と所得隠しで転落

1984年に設立され、全国に出店攻勢を仕掛けて業界大手まで上り詰めたガイア。転機は2011年までさかのぼる。元社長が覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで神奈川県警に逮捕され、翌2012年に経費を水増ししたとして東京国税局からグループで約40億円の所得隠しを指摘された。

その後、客離れが進み、業績が悪化。決定打はコロナ禍だった。緊急事態宣言によって臨時休業を強いられ、資金繰り策で全国の80店舗余りを売却。2023年5月期の売上高は2000億円を割り込んで20年前の3分1ほどまで落ち込み、65億円余り最終赤字を計上していた。ガイアは危険水域――。業界でそうささやかれ始めたのは、このころだ。

■倒産続発、高まる危機感

ただ、競合も例外でない。コロナ禍を契機にパチンコホールの倒産は相次ぎ、業界内で危機感が高まっている。東京商工リサーチによると、2022年の倒産は39件と過去10年間で最多だった。2023年も9月までに25件に達している。

業界関係者は「遊技人口の減少は深刻で、市場競争が激化している。資金不足で遊技台を入れ替えられないパチンコホールの淘汰が進んでいる」と明かす。

ガイアの倒産は、業界再編の序章かもしれない。

(文:笹川賢一)