10月スタートのドラマ2作品に出演中、さらに10月20日には主演映画「リゾートバイト」が公開と目覚ましい活躍を見せる伊原六花。本格的に俳優としてキャリアをスタートさせてから6年の道のりとは。(以下、出演作のネタバレがあります)

【写真】美しい!脚を高く上げた“四股”を披露する伊原六花(「シコふんじゃった!」イベントより)

■バブリーダンスのパフォーマンスが注目され、芸能界デビュー

伊原といえば、「バブリーダンスで知られる」と紹介されることが多いが、そのバブリーダンスが初めに話題になったのは2017年のこと。大阪府立登美丘高校ダンス部のキャプテンとして「日本高校ダンス部選手権」の夏の公式全国大会に出場し、1985年にヒットした荻野目洋子の曲「ダンシング・ヒーロー」にのせ、80年代のバブル期を思わせるメイクと衣装でダンスを披露。同大会では惜しくも準優勝だったが、そのときのダンスをあらためて動画撮影してYouTubeにアップしたところ、大きな反響に。同年の「第59回日本レコード大賞」では特別賞を受賞して荻野目とパフォーマンスし、「第68回NHK紅白歌合戦」では郷ひろみの歌でコラボ出演した。

その間に伊原は現在の事務所にスカウトされ、芸能界入りを決意した。

なお、2022年11月にはダンス部時代の恩師であり、振付師のakaneの指導のもと、5年ぶりに当時のダンスを完全再現した動画を自身のYouTubeチャンネル「伊原六花のSTEP&GO」に投稿。2023年10月29日現在で1190万回を超える視聴回数となっている。

朝ドラなつぞら」で主人公の親友役を魅力的に演じる

高校のダンス部以外に、幼いときにバレエを習い、子どもミュージカル、沖縄発祥の現代版組踊にも取り組んできた伊原。俳優デビューは、それまでの経験を生かすことができる土屋太鳳主演で高校のチアダンス部を描いた連続ドラマ「チア☆ダン」(2018年、TBS系)だった。

その後、単発ドラマへの出演を経て、2019年にゲームを原作にした「明治東亰恋伽」(tvkほか)で連続ドラマ&映画初主演。

そんな中で認知度を向上させたのが、同年4月に放送スタートした連続テレビ小説なつぞら」(NHK総合ほか)への出演だ。広瀬すず演じる主人公がアニメーターの夢をかなえるべく上京し、入社した会社の先輩であり、同い年でやがて親友になる役。

おしゃべりでうわさ好きな女性をナチュラルに演じ、その愛らしさで多くの視聴者を魅了した。「チア☆ダン」出演の直前には、センチュリー21・ジャパンのCMで初々しい“演技”を見せていたが、そこから1年でのこの演技に驚かされた。

■俳優として努力と頑張りで力を蓄える

それからドラマでは「どんぶり委員長」(2021年、BSテレ東)の主演、SPドラマ「エアガール」(2021年、テレビ朝日系)、「神様のカルテ」(2021年、テレビ東京系)、葉山奨之とW主演を務めた「シコふんじゃった!」(ディズニープラス)などが続き、映画は「地獄の花園」「星空のむこうの国」(ともに2021年公開)、その間に舞台ではミュージカルの「ロミオジュリエット」(2021年)「ウエスト・サイド・ストーリー Season3」(2022年)などと、キャリアを重ねてきた。

日本アカデミー賞5部門を受賞した映画「シコふんじゃった。」の30年後を描いた「シコふんじゃった!」で伊原が体現した女子相撲部員は、強く、しなやかな魅力に満ちていた。同作のインタビューで、俳優の仕事をする上では劣等感が強みであり、「努力することが全然苦じゃない」「頑張ることは割と得意」と答えている。同作では7kg増量という努力と頑張りをみせた。

■2023年は一段と飛躍の年に

その努力と頑張りで、コツコツと演技力も磨いてきたのだろう。2023年は一段と輝きを増している。主人公の親友に扮(ふん)した1月期のドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」(TBS系)と5人いるヒロインの1人を務めたParaviオリジナルドラマ「クロちゃんずラブ~やっぱり、愛だしん」の後、10月スタートの連続テレビ小説ブギウギ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)、同じく10月スタートの連続ドラマ「マイ・セカンドアオハル」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)に出演。

2度目の朝ドラとなった「ブギウギ」では、主人公で梅丸少女歌劇団のメンバーであるスズ子(趣里)の後輩ながらライバルの歌劇団から移籍してきた実力派・秋山美月という役。10月16日放送の第11回に初登場し、先輩にも物おじしない言動で注目され、翌日の第12回ではダンスシーンで視聴者を引き付けた。伊原にとって得意なダンスであるが、キャラクターの説得力をもたせる演技もちゃんと見せ、元来キュートな顔立ちだが、女性のみの劇団で男役を担当する美月を凛々しく引き立てる。

そして同時期放送の「マイ・セカンドアオハル」では、まったく異なるキャラクターで存在感を放つ。アラサーの大学生主人公・佐弥子(広瀬アリス)と同じシェアハウスで暮らす大学4年生のキイナ。小悪魔系女子で、10月24日放送の第2話では、佐弥子の心を揺さぶる拓(道枝駿佑)との近過ぎる距離感と、ラストでのキスしたか、していないかの際どい描写で話題をさらった。

また、10月20日に初日を迎えた主演映画「リゾートバイト」では、初めてのホラーに挑戦。SNSには「役者としての気合と本気を感じた」「眼と表情が素晴らしい」などの称賛の声が。

飛躍のさらにその先へ。まだまだ歩みを進める彼女の“いま”の魅力を、ぜひ感じてほしい。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

伊原六花/※2022年ザテレビジョン撮影