プロ野球日本シリーズ10月28日から開催されていますが、セ・リーグ阪神タイガース岡田彰布監督が、試合中にあめをなめていることが以前から話題となっています。岡田監督は、7月にテレビ番組のインタビューで1試合当たり7~8個のあめを食べていることを明かしたといいます。

 実際に、日本シリーズのテレビ中継時に、岡田監督があめをなめている様子がテレビカメラで映し出されることがあり、SNSでは、「岡田監督がピンチであめをなめている」「今日もあめを食べていた」「あめのなめすぎで糖尿病が心配」などの声が上がっています。

 そもそも、あめをなめると、どのようなメリットがあるのでしょうか。1日に何個もあめを食べた場合、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。あめの1日の適切な摂取量や摂取時の注意点などについて、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

あめ1個当たり4グラム程度の糖質

Q.あめを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

市原さん「あめなどに含まれる糖質は、体内で分解後、『ブドウ糖』に変換されます。ブドウ糖は生命を維持するエネルギー源であり、脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけです。そのため、あめをなめると、疲労回復や集中力向上などの効果が期待できます」

Q.あめの1日の適切な摂取量について、教えてください。商品によって異なるとは思いますが、あめ1個当たり、どの程度の糖質が含まれているのでしょうか。

市原さん「あめには1個当たり約4グラムの糖質が含まれています。多くても、1日5個程度の摂取にとどめておくとよいでしょう」

Q.阪神タイガース岡田彰布監督は、テレビ番組のインタビューで1試合当たり7~8個のあめを食べていることを明かしたそうです。毎日、この量のあめを消費し続けた場合、体にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。

市原さん「そもそも糖尿病がなく、健康状態が良好な場合は、この程度の量のあめを食べてもすぐに体に悪影響を与えることはありません。ただ、1試合当たり7~8個のあめを食べた場合、1日30グラム前後の糖質を取ることになります。ほぼ毎日、この量のあめを消費すると糖質過多につながる可能性があるため、お勧めはできません。

また、あめを多く摂取した場合、『あめ以外の菓子を摂取していないか』『日々の食事量はどの程度なのか』が心配です。あめを1日に数個食べた場合、あめ以外の菓子の摂取を控えたり、食事の際に炭水化物の量を減らしたりするなど、食事量を調節するのが望ましいでしょう」

Q.持病や体質の関係で、あめの摂取を避けた方がよい人はいますか。

市原さん「糖尿病の人のほか、糖尿病予備軍と称される『境界型糖尿病』を医師から指摘された人は、あえてあめを食べる必要はありません。食べる量に応じて、血糖値が上がってしまいます。糖質を抑えたシュガーレスのあめが数多く販売されているため、どうしてもあめを食べたくなったときは、そういった商品を購入しましょう」

 寒くなってくると喉の調子が悪くなることが多いため、のどあめなどを食べる機会が増えます。あめを食べるときは摂取量に気を付けるとともに、糖質が気になる場合はシュガーレスタイプのあめを選ぶなど、工夫してみましょう。

オトナンサー編集部

試合中にあめをなめることで有名な阪神タイガース・岡田彰布監督(右、時事通信フォト)