発売中の「月間ザテレビジョン12月号」掲載の連載「草なぎ剛のお気楽大好き!Vol.298」で、11月11日(土)放送の「世にも奇妙な物語23 秋の特別編」(フジテレビ系)の一篇「永遠のふたり」に出演する草なぎが、同作で監督・脚本を務める星譲氏にまつわる思い出話を語ってくれた。若かりし日の草なぎが「星さん、すげぇな!」と思ったできごととは?

【写真】黒のジャケットに赤い背景でクールに決めた草なぎ

■特別な作品になったと思います

11年ぶりに土曜プレミアム「世にも奇妙な物語23 秋の特別編」(11/11 土フジテレビ系)に出演します。作品は「永遠のふたり」。僕の連続ドラマ初主演作「いいひと。」(97年フジテレビ系)以降、何度となくご一緒している星譲さんが監督&脚本で、星さんが脚本を書いているときに、僕の顔が浮かんできたと言うので連絡をいただいて。そしたら断る理由はない。ぜひ!って出演が決まりました。

脚本を読んだ印象は、鮮烈なイメージがあって、星さんの中からまた何かが覚醒してあふれでてきているような力強い気持ちが受け取れる本だと思いました。衣装合わせで久し振りにお会いした星さんは以前と全く変わってなくてね。気心が知れた仲なので、役について詳しく話さなくても空気感で感じ取れるところが今もあって。星さんは僕の代表作をたくさん作ってくれた方で、自分さえ知らないような、役としての感情や表情をいつも引き出してくれる、特別な思いがある方で。このタイミングでまたご一緒できて、特別な作品になったと思います。

演じる役は、研究所に立てこもることになってしまう科学者の役。星さん独特の絵画のような映像美と、なかなか想像できない展開は見たら驚くよ。こだわりの映像世界に、いざなわれてほしいと思います。

■星さんは、僕のドラマの基盤を作ってくれた人

僕にとって星さんは、ある意味、僕のテレビドラマの基盤になるものを作ってくれた人。それが気持ちの中で、演じる上で、核になってるところがあるんですよね。苦楽を共にしてきた気持ちもあるし、自分にとって初めてやる役ばかりで、すごい高いハードル、挑戦をしたなと。星さんの要求はいつも高いところにあったから、緊張感もあるし厳しさもある中で僕は育てられた。ここを通過しなければ今の自分はいなかったと思う。

それに、ドラマ上では不可能はないってことを教えてくれた人でもあります。たとえば「僕の生きる道」(03年フジテレビ系)なら、死んでしまう役はどういう気持ちなんだろうかとか。星さんの演出がすごいファンタジックだけど、ここにリアリティを持たせることができるのかなとか。そういう中でお芝居をした結果思ったことは、やっぱりどの役もどういう感情も何でもいいんだよ。どんな役でもできるんだって教えてくれた。

「僕の歩く道」(05年フジテレビ系)の主人公の自転車の乗り方ひとつにしても、背筋を延ばして遠くを一点で見つめてって言うんだけど、自転車乗りながらそれは難しいんじゃないかと思うんだよね。でも世界観を作るうえで大事な要素があって、画面上で見ると、それが役として映えるんです。現場では不自然じゃない?と思うのが、カメラ通して画面の中で見ると、そのキャラクターになっている。星さん、すげぇな!みたいな。そういうことがたくさんあるので、いつもどこかに…それこそ先月話した、つかこうへいさん同様、星さんの言葉は僕の中に残ってる。星さんもまた唯一無二の人です。

タモリさん?会ってますよ!

そして“世にも奇妙”といえば、タモリさん。一度「無実の男」(97年フジテレビ系)という作品でタモリさんがラーメン屋さんの設定でお芝居したことがあるんだけど、今回は会ってない。だけど画面上では…そこは見てのお楽しみ。

あ、最近のタモリさんと僕ですか? 会ってますよ。たまーに連絡してゴハンをご馳走になったり、先日はぎょうざを作ってもらいました。めちゃくちゃ美味しいぎょうざをいただいて、何時間かいて話をして。そしたらタモリさんが眠っちゃったので「じゃあ僕、帰りま~す」って帰ってきた。そんな関係、今も続いています(笑)。  

草なぎ剛が代表作たちを振り返る/撮影=横山マサト