2023年11月16日(木)より、東京都美術館では『上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間』が開催される。人間以外の自然界のいきものを「うつす」ことに取り組み続けてきた、つくり手たちを紹介する展覧会だ。

出品作家は、多種多様な環境に発生するキノコを描き続けてきた小林路子、明治末から昭和期の画壇で活躍しながら、少年の頃から草花を愛で記録し続けた辻永(つじ・ひさし 1884-1974)、木象嵌師としての研鑽をつんだ後、日本におけるバードカービングの第一人者となった内山春雄(1950-)、詩的で実験的な作風で戦後の写真界で活躍し、後半生は競走馬の取材と撮影に集中した今井壽惠(いまい・ひさえ 1931-2009)、大学時代、牧場で出会ったウシに魅せられ、現在も酪農の仕事をしながらウシをモチーフに木版画を制作している冨田美穂(1979-)、そして世界各国の動物園アフリカの野生のゴリラと心を交わし、その姿を描き続けている阿部知暁(あべ・ちさと 1957-)の6名。

明治から現代まで時代は幅広いが、全員、愛する「いきもの」を、数十年にわたって表現し続けていることが共通する。特定のモチーフとひたむきに向き合い続けることで見つけた奥深い表現や、自然科学的な視点など、様々な魅力を発見することができるだろう。

また同展では、内山春雄が開発した鳥の彫刻「タッチカービング」約40点など、手で触って鑑賞する「蝕察」ツールも展示。同館が日本最古の動物園上野動物園に隣接することから、動物園に焦点をあてた展覧会「動物園にてー東京都コレクションを中心に」も同時開催される。

これらふたつの展覧会は、作家のトークイベントや、誰でも参加できる「ダンス・ウェル」のワークショップ、動物園や剥製に関する記録映画上映会など、関連イベントも盛りだくさんなので、興味のある人は、美術展ホームページで詳細を確認の上、ご参加を。

<開催情報>
『上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間』

会期: 11月16日(木)~1月8日(月・祝)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
時間:9:30~17:30、金曜(12月15日1月5日除く)は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:11月20日(月)、12月4日(月)、18日(月)、21日(木)~1月3日(水)
料金:一般500円、65歳以上300円
公式サイト:
https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_uenoartistproject.html
※『動物園にて ―東京都コレクションを中心に』も同時開催

冨田美穂 《701全身図》 作家蔵