スペインの複数のレストランで、飲食するたびに心臓発作が起きたフリをして食い逃げをしてきた男が逮捕された。
男は過去にも数回検挙されていたが、飲み食いの金額が少額だったことから「軽犯罪」扱いですぐに釈放されていたようだ。
しかし人の良心を利用した度重なる悪質な食い逃げに堪忍袋の緒が切れたレストラン店主らは、長期刑罰を求めて集団訴訟に踏み切る意向を示している。
スペイン・コスタ・ブランカ州アリカンテに住むリトアニア国籍のアイダス・J(50歳)は、少なくとも20軒のレストランで食い逃げをしていたことが明らかになった。
アイダスは普段からデザイナーズ・ブランドの服を着ていて数ヶ国語を織り交ぜて話し、なぜか「典型的ロシア人」の振る舞いをして、ロシアのサラダを注文することが多かったという。
支払いを逃れる手段として、アイダスは毎回心臓発作を装っていたようだ。
2022年11月からアイダスはアリカンテ地方のレストランで飲食後、勘定を支払う段階になると胸を押さえて床に倒れ込み、失神したフリをして支払いをごまかしては逃走した。
赤ら顔のアイダスが床に倒れ込んだときの写真を撮影した店が、「食い逃げ犯に要注意」という警告をSNSでシェアして以来、アイダスはコスタ・ブランカのレストラン経営者の間ではすでに悪名高い人物になっていた。
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50-year-old man arrested after faking heart attack in 20 restaurants to avoid paying bill. pic.twitter.com/Ybg1zdXwAV
— Daily Loud (@DailyLoud) October 18, 2023
過去には通報され、逮捕されたこともある。しかし、たいていの場合アイダスは気にしていなかった。
アイダスが飲み食いした分の支払い金額は1軒につき15ユーロ(約2400円)から70ユーロ(約11000円)と比較的少額で、逮捕されても軽犯罪として一晩留置場で過ごすだけで釈放されてきたからだ。
食い逃げがバレて再び心臓発作のフリも通報される
今年9月19日、アイダスはスペイン・アリカンテのレストラン「エル・ブエン・コメル」でシーフード・パエリヤとウィスキー2杯を楽しんだ。
もちろんその後、食い逃げする気だった。
ウェイターがテーブルを離れると、アイダスはそのまま立ち上がって席から離れようとしたが呼び止められて代金を支払わなければならないと告げられた。
「ホテルの部屋からお金を取ってくる」と言ったアイダスに対し、スタッフはダメだと拒否。するといつものように、アイダスは心臓発作が起こったフリをし始めた。
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だが、店側はアイダスの芝居がかった演出に騙されなかった。救急車を呼ぶ代わりに警察に通報した。
男はとても芝居がかっていて、気絶したふりをして床にへたり込んでいました。(レストランのオーナー)
通報を受けて店に来た警察にアイダスは具合が悪いフリを続け医療支援を求めたが、警官らは男が食い逃げ常習犯であることをすでに認識しており、アイダスはそのまま現行犯逮捕された。
このとき、アイダスは「どうせまたすぐに釈放される」と思っていたのか警察官に向かってニヤリと笑ってふてぶてしさを見せつけていたという。
Detenido un gastrojeta en Alicante
複数の店が集団訴訟の準備中
2件の罰金刑が下されたアイダスはそれを拒否したため、42日間の懲役刑を科せられた。
だが今回も過去同様、アイダスの無銭飲食は軽犯罪とみなされたようだ。
アイダスがおよそ2か月間にわたり食い逃げした合計請求額は、766ユーロ(約12万円)になるそうだ。
納得できない地元のレストランのオーナーたちは、アイダスの写真を全レストランに送り再犯を防ごうとしている。
また、複数のレストランが手を組んで刑事告訴をし、これまで運良く起訴されることがなかったアイダスに長期の懲役を求刑する準備をしているところだ。
しかし、レストランの請求額がそれほど高額ではなく少数の罰金未払いで済むことから、今回も刑務所での長期刑を実現するのは難しいと、弁護士は述べているということだ。
References:Conman faked having a heart attack in 20 restaurants to avoid paying the bill/ written by Scarlet / edited by parumo
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