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米フロリダ州在住のある女性の庭に今から4年前、1羽のカナダヅルがやって来た。女性の家は湖に近く、ツルはその後、頻繁に庭に現れるようになったという。4年をかけて育まれた女性とカナダヅルの温かいストーリーを、YouTubeチャンネル『The Dodo』が伝えた。

フロリダ州中央部の湖のそばに住むヨガ・インストラクターのオータム・コーチェラさん(Autumn Cochella)は、2019年のある日のこと、自宅の庭にオスのカナダヅルがいることに気付いた。オータムさんの家の広い庭にはツルの餌となる植物や葉、昆虫、ミミズなどが豊富なうえ、小鳥のための粒餌を撒いていたそうで、ツルはその後、ほぼ毎日のように姿を見せるようになった。

オータムさんは“カール(Carl)”と名付けたそのツルについて、このように振り返る。

「我が家の庭にやって来るようになったカールは頭が良く、親分肌なところがあってね。自分よりも先に別の鳥たちが粒餌を平らげてしまうと、家のドアをくちばしでノックするようになったの。それは時に執拗で、私は当時『カール、去りなさい』と玄関の防犯カメラを通して呼びかけたものよ。」

実はツルの餌やりは法律で禁止されているそうで、カールがありつけるのは小鳥用に撒いた粒餌だけだった。それでもカールは餌を求め、家のドアをノックするようになり、オータムさんは時には「またか」と思いながらも、カールとのやり取りを楽しむようになったという。

ただカールは粒餌が大好物というわけでもないそうで、庭の土の中にいるミミズなどを探してせっせと食べ、オータムさんの庭でくつろぐようになった。

オータムさんは「カールは自分がカールと呼ばれていることをちゃんと分かっているの。今でも一日平均4回は、スマホに玄関の防犯カメラからの通知が届くし、時には夫が昼寝をしていようが、私がテレビを見ていようがお構いなしで、両脚で玄関のドアをキックすることもあるくらいなの」と苦笑する。

ただオータムさんも慣れたもので、在宅中はカールと挨拶するために家の外に出てみたり、時には足に絡まった釣り糸の処置をするためにレスキュー隊を呼んだりと、カールとの絆は年々深まっているという。

またカールがやって来るようになってしばらくすると、つがい相手の“カーラ(Carla)”を連れて来るようになったそうで、オータムさんはその後、毎年のように子供たちの成長を見守り、巣立ちの時期には別れを経験したそうだ。

そんなオータムさんは2022年5月、TikTokにカールの動画を投稿し始めたことで人気が急上昇。今ではフォロワーが11万人を超えている。

オータムさんはその中で、2022年春に生まれたオス“ジュニア(Jr.)”を紹介しており、「ジュニアはとてもおふざけが好きでね。カールはジュニアにもドアのノックの仕方を教えていたのよ。日々、ジュニアの成長を目の当たりにできることは私の喜びでもあるの」と語っていた。

しかしカールは毎年、巣立ちの準備ができた子ヅルを追い立てるそうで、ジュニアは今年1月末に突然、オータムさんの家にやって来なくなったという。

オータムさんは当時、「こんな日が来るとは分かっていたけど、やはり寂しいわ」と肩を落としていたものの、今年7月、ジュニアはつがい相手を紹介するためにオータムさん宅にやって来たそうで、オータムさんは興奮気味にこう述べていた。

ジュニアのことは何度か、1羽でいるところを見かけてね。声をかけたことがあったの。でも、こうやってジュニアがパートナーを見つけ、ひとりぼっちではないと分かって安心したわ。それにジュニアは、とても得意そうにしていたのよ!」

一方でカールとカーラの間には今年3月、湖にある巣で“カイル(Kyle)”と“ケビン(Kevin)”の双子が誕生しており、2羽は双子が巣から出られるようになるとすぐ、子供たちをお披露目にやって来たという。

しかしながら5月末、カイルは道路を横断中に車に撥ねられしまい、地元のレスキューサービスに連絡して手当てを受けたものの、死んでしまったそうだ。

オータムさんは「カールたちは湖の周辺一帯、そして私の家の庭を歩き回っているの。ここは彼らの家だから、道路を渡らないわけにはいかないのよ」と語り、この事故を受け、近くの道路に「ツルが道路を渡ります。ゆっくり運転してね」という看板を設置したという。

ちなみに、オンライン版『ナショナルジオグラフィック』によると、カナダヅル(ツル目ツル科)は全体的に灰色であり頭の真っ赤なトサカが特徴で、翼長が約1メートル、全長は大きいもので120センチになるという。また世界中のツルの中で最も数が多く、雑食で野生の寿命は約20年とのことだ。ただ生まれてからしばらくの間は、頭の色は灰色のままだそうで、今春に生まれたケビンは、ここにきてやっと頭が少しずつ赤くなり始めたそうだ。

オータムさんは「ケビンの巣立ちももうすぐ。でもカールは私をとても信頼してくれているし、何よりも私のことを選び、我が家を毎日訪ねて来てくれていることにとても感謝しているの」と笑顔を見せており、カールの一家には頻繁に「アイ・ラブ・ユー」と語りかけ、優しく見守っているという。

そしてオータムさんのTikTokには、次のようなコメントが寄せられている。

「カールがあなたを選んだことを誇りに思うべき。特に、子供まで紹介しにやって来るなんて! あなたはカールにとってとても特別なんだと思うわ。」
「どのツルも同じように見えるけど、しっかり見分けているところが凄いね。」
「なんて素敵な関係かしら!」
「私もフロリダに住んでいて、私の敷地内にはたくさんのツルがやって来るの。そして毎朝、美しいツルの鳴き声で目覚めるのよ。その中には、必ず近くの横断歩道を渡る一家がいて、通勤途中の車が列をなして止まるのよ。みんな、ツルが通過するのをちゃんと待ってくれるの。」
「数年前、山の中に住んでいた時、小鹿が私たちの家族を選んでくれたの。でも山の家を離れなければならなくなって、小鹿が私たちを追ってきた時は、大泣きしたものよ。」
「このツルは小鳥の粒餌が目当てだったのかもしれないけど、ツルは本当に彼女のことが好きなんだね。これって素晴らしいよ。」
「ツルが家族を連れてくるなんて! なんて美しい話だろう!」

なお、テックインサイト編集部ではオータムさんに、カールと良い関係を続けている秘訣や、カールと出会えて最も嬉しかったことなどについて話をうかがうべく取材を申し込んでいる。

画像は『Carl the Crane 2023年5月9日付TikTok「Knock knock, it’s Carl Jr」、2023年10月16日付TikTok「Carl is all of us on Monday.」、2023年7月27日付TikTok「Mr. & Mrs. Junior」、2023年5月5日付TikTok「Time to go ahead and quit my job n work as a Crane Crossing」、2023年10月3日付TikTok「The way Carl just freezes」』『Bored Panda 2020年11月16日付「Stray Cat Brings All Her Babies To A Woman Who Gave Her Food And Helped Her」(Image credits: Chatons Orphelins Montréal)、2020年7月30日付「Lost Dog Goes To His Vet To Ask For Help Getting Back Home」(Image credits: Phuttaraksa Animal Clinic)』『Kelly Foster Kittens GSO, NC 2022年2月19日付Instagram「In other big @murphyslawanimalrescue news on this fine Furrrriday」』『ViralHog 2022年7月29日付Instagram「A proud mama shows off her baby at the Calgary Zoo.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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