第36回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが1日、都内で開催され、ペマ・ツェテン監督の『雪豹』が、コンペティションの最高賞となる東京グランプリ/東京都知事賞を受賞した。日本からコンペ部門に参加していた岸善幸監督の『正欲』は観客賞および最優秀監督賞を受賞。稲垣吾郎は、昨年の『岸辺にて』に続き、2年連続で主演作が観客賞を受賞した。

【写真】神木隆之介、浜辺美波らがクロージングセレモニーに登場

 114の国と地域から応募された1942本の作品が集まった今年のコンペティション作品。見事グランプリに輝いたのは、ペマ・ツェテン監督が手掛けた『雪豹』。本作は、白い豹が生息すると言われているチベットの山村を舞台に、若いチベット僧と豹との交流をファンタジックで幻想的な映像で描く。審査委員長を務めたヴィム・ベンダース監督は「満場一致でした」と、審査員の間で圧倒的な支持を得たことを明かすと「行動の一部がデジタル効果でしたが、それでも素晴らしい動物の表現でした。賞賛したいです」と称えていた。

 メガホンをとったペマ・ツェテン監督は今年5月に急逝。この日はエグゼクティブ・プロデューサーのジョウ・ハオ氏をはじめ、俳優として出演しているジンパ、ジョン・ズーチー、ツェテン・タシが登壇。ハオ氏は「スタッフ、役者を代表して感謝します」と述べると「残念ながらペマ・ツェテン監督はこの場に来ることができませんでしたが、こうやって頂いた賞は、監督が私たちに与えてくれたものです」と感謝。さらにハオ氏は「これからもペマ・ツェテン監督の精神や意志を継いで笑顔を作っていきたいです」と力強く宣言した。

 審査委員長を務めたドイツのヴィム・ベンダース監督は「東京国際映画祭で審査委員長を務められたことを光栄に思います。名だたる映画人の方々と共に15本の映画を拝見しました。素晴らしい作品ばかりでした」と総評すると、自身が監督を務めた映画『PERFECT DAYS』がオープニングで上映されたことを「誇りに思います」と語っていた。

 最優秀監督賞と観客賞の2冠を達成した『正欲』の岸監督は「名誉ある賞をいただけてこれからの映画作りの励みになります」と述べると「この作品が描いている多様性の意味は、すべての人が自由で偽らず生きていける社会というものはどういったものなのかを問いかけています」と作品に込めた思いを吐露。観客賞受賞については「稲垣吾郎さん、新垣結衣さん、磯村勇斗さんら、すべてのキャストの方に伝えたいです」と喜びを共有していた。

 この日は、クロージング作品として上映される『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督および、キャストの神木隆之介浜辺美波クロージングイベントに参加。神木はクロージングで作品が上映されることに「こんなに光栄なことはありません」と笑顔を見せると「お話を頂いたときは、プレッシャーが大きかったのですが、世界で愛されるゴジラに、日本代表として関われることが嬉しい。いまは皆さんに愛されている『ゴジラ』に関われたことを誇りに思っています」と語る。浜辺も「勝手に『シン・ゴジラ』があったので、しばらく『ゴジラ』作品が観られないかと思っていたので、こうして『ゴジラ』を観られることが出来て嬉しい」と満面の笑みを浮かべていた。
 
【第36回東京国際映画祭 コンペティション】

・東京グランプリ/東京都知事賞:『雪豹』ペマ・ツェテン監督
・最優秀監督賞:『正欲』岸善幸監督
・最優秀女優賞:『タタミ』ザル・アミール
・最優秀男優賞:『ロクサナ』ヤスナ・ミルターマスブ
・審査員特別賞:『タタミ』ザル・アミール/ガイ・ナッティヴ監督
・最優秀芸術貢献賞:『ロングショット』ガオ・ポン監督
・観客賞:『正欲』岸善幸監督
・「アジアの未来」作品賞:『マリア』メヘディ・アスガリ・アズガディ監督
Amazon Prime Video テイクワン賞:『Gone with the wind』ヤン・リーピン監督
Amazon Prime Video 審査員特別賞:『ビー・プリペアード』安村栄美監督

第36回東京国際映画祭クロージングセレモニーの様子  クランクイン!