ホタテ

福島第1原発の処理水放出によって中国政府が日本産水産物の禁輸を続けていることを受け、日本産ホタテを加工してきた中国の水産業者が、タイやベトナムなど東南アジアに加工拠点を移転させる計画が明らかになった。

 

■中国政府に悩む中国水産業者

今後の状況にもよるが、早ければ年内にも東南アジアでの加工が開始されるという。

中国では河北省や山東省などの水産会社らが日本からホタテを輸入し、現地で加工した後に米国などに輸出してきた。昨年、日本から中国に輸出されたホタテは総額で467億円に上り、今回の輸出停止で水産業者たちからは悲鳴の声が広がってきた。

今日、中国国民の間では輸入停止について賛成の意見が多いが、こういったホタテの水産業者からすれば、「中国政府は困ったことをしてくれた」との想いが本音のところだろう。

 

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■日本の水産業界も脱中国か

これによって、中国に多くのホタテを輸出してきた日本の水産業者にも少しは明るい兆しが見えてきた。

売り上げの半数以上を中国に依存してきた水産業者も多く、突然中国政府が日本産水産物の輸入を停止したことに、将来の経営を心配した経営者も多くいたことだろう。

しかし、最近も三菱自動車が中国市場からの撤退を表明したように、業種を問わず日本企業にとって中国市場は今後さらに魅力的ではなくなる。中国は経済的威圧を仕掛け、先端半導体をめぐっては日本への不満を強めている。

今後、どのような経済的威圧を仕掛けてくるかも分からないなか、日本企業としてはこれをチャンスによりいっそう脱中国を進め、東南アジアなどにシフトしていくべきだろう。

日本産ホタテが東南アジアへ? 中国の禁輸受け、水産業界でも広がる脱中国