少額から始められることから、投資信託は投資初心者も始めやすい金融商品です。では、無理なく資産を増やすにあたって、投資信託はどのように活用するべきなのでしょうか。本記事では、お金と暮らしのコンサルタント・いとうあこ氏の著書『今あるお金で幸せに暮らすお金の回し方』(ごきげんビジネス出版)より、投資信託の基礎知識と売り時の見分け方について解説します。

少額から始める投資信託のキホン

少額でスタートできる投資信託は、ざっくりした判断ではじめられる気軽さが魅力です。株式市場が魚屋だとすると、鯛やイワシなどの魚を1匹丸ごと買うのが株式投資、切り身や刺身の盛り合わせパックを買うのが投資信託のイメージです。

魚を丸ごと買って調理するのは大変ですが、切り身や刺身の盛り合わせは手間要らずで、初心者にとってもハードルが低いですよね。

切身になっている分、多少のコスト(購入時手数料・信託報酬など)がかかりますが、証券会社によっては購入時手数料がゼロの会社もあります。どの証券会社と取引するのか各社のウェブサイトをチェックし、まずは口座開設からはじめましょう。

はじめの一歩を踏み出すことの重要性

「投資信託はどうやら手軽にはじめられるらしい」と、わかっているのに、なかなかはじめられないケースがあります。「はじめの一歩」がはじめられない、これって株式投資だけの話ではありません。

たとえば、勉強をはじめようと思ったときに、ぐずぐずと先延ばししてしまった経験はありませんか? 投資のスタートもそれとよく似ています。はじめの一歩はいちばんエネルギーを使うため、どうしても及び腰になってしまいがち。

今日投資しよう、明日、明後日……と先延ばししているうちに株価が上がり、仕方がないから値下がりしてからにしよう、なーんていう心構えでは、投資を一生はじめられません。決めたら必ずその日のうちに手続きを完了する! くらいの勢いで、今すぐ検討をはじめましょう。

証券会社の選び方

かつて株式取引は、証券会社の店頭に出向くことが主流でしたが、近年ではネット証券も手軽に利用できて便利です。

メインバンクとの送金手数料が無料であることはもちろんのこと、ポイント投資やポイントアップのメリットがある金融機関を選択すると、プラスアルファの楽しみができるのでオススメです。

パソコンやスマホからの取引になるため、画面の見やすさや使いやすさ、投資初心者でも迷わずに使えるかどうか、各社の画面で比較することも大切です。

購入前に必ず確認…よくある「うっかりミス」とは?

NISAは投資の売却益や配当に対してかかる20%の税金がかからなくなる制度で、ひとりにつき1つの金融機関のみ開設可能です。一度決めた取引先を変更するには手間がかかるため、金融機関選びには注意が必要です。

また、購入後にNISAの申請ができないため、投資信託購入のステップとしては、証券会社口座開設→NISA開設→銘柄選定、となります。値下がりしてきた!値上がりしそう!と慌てて買い注文を出してしまい、うっかりNISAの利用を忘れていた、というミスはよくある話です。

つみたて投資のポイント

値下がりしても投資をやめてはいけない

銘柄選定は社会情勢や自分なりの投資判断が必要です。人から勧められるがまま、よくわからないファンドをなんとなく購入するのではなく、これからどんな分野が成長するのか? どのような組み合わせが将来値上がりするのか? 納得したうえで投資先を決めることが重要です。複数の銘柄で迷うのであれば、投資を分散させるとよいでしょう。

大切なことは「値上がり値下がりに関係なく投資を止めない」ことです。値下がりは多くの口数を買い付けるチャンスです。値動きに動揺することなく、ひたすらほったらかしで継続させることが大きなリターンを得るチャンスです。

投資信託に分散投資する

たとえば、ボーナスのうち30万円が余裕資金となりそうな場合、株の購入に不安を感じる場合は投資信託を検討します。一度に全額を1つの銘柄に預けるのではなく、時期をずらしたり銘柄を分けたり、こまめに分散投資します。

「必要な額だけその都度売る」を徹底

口座開設やNISAの届出が完了し、いざ投資がスタート! これからは基本的にほったらかしで、少しずつ資産を増やしていこう! ワクワクする瞬間です。

投資先を選ぶのにいろいろと悩みましたが、実はいちばん悩ましいのは「売り時」です。貯蓄と違い、投資信託は毎日値動きしています。今日は上がるかな?明日はもっと上がるかな?と思っている間に大暴落したり、また儲けがあるうちはいいですが、もし投資額を下回ったりすれば、それは最悪の事態です。

そんな苦悩を乗り越えるコツは、「必要な額だけ売る」というシンプルなルールです。全額解約するのではなく、たとえば100万円投資信託に預けてあるとして、80万円の資金が必要だとしたら、80万円を解約して20万円を残します。これなら上がっていても下がっていても、それほど苦しまずに済みます。

資金が必要なタイミングで淡々と解約する。これがストレスなく投資を続けるポイントです。

ポイント

確実に続けられる金額を算出したら、長期保有で資産を増やし、必要に応じて淡々と取り崩そう

いとう あこ

お金と暮らしのコンサルタント

ママのための金融リテラシー講座主催

※本記事は『今あるお金で幸せに暮らすお金の回し方』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

(※画像はイメージです/PIXTA)