国防総省の国防契約管理局(GAO)はF-35ライトニング II」の品質問題に関する報告書を公開。そこには、稼働率の低さとその原因が報告されていました。

F-35の稼働率が55%らしい

アメリカ国防総省の国防契約管理局(GAO)は2023年9月末、F-35ライトニング II」戦闘機の品質問題に関する報告書を公開しました。

報告書での最大の懸念材料は同機のメンテナンスに関してで、このままの状態を続けると、F-35の即応性に悪影響を及ぼすとしています。2023年3月の時点でアメリカ軍におけるF-35の稼働率は約55%、計画目標を大きく下回っていると指摘。その一因として、ステルス機のためデリケートな部分が多い同機を軍内で整備・修理できず、先端技術を扱う業者に依存していることが多いためとしました。

そうした問題を改善するために、アメリカ軍は同機の修理が可能な軍施設の建設も進めているものの、それも遅れているようです。また、現在F-35の修理を担当している業者からの技術移管に関しても、まだ具体的な計画はまとまっていないとのことです。

同機に関しては、維持管理コストの増大も懸念材料です。アメリカ軍は、今後数10年間で約1兆7000億ドル(約260兆円)を費やし2500機近いF-35を購入するとみられていますが、その資金の大半は同機の維持・管理費となる予定です。国防総省は、軍の施設内に整備可能な設備を増やすことは、その際にかかるコストの削減にもつながるとしています。

実は機体の納入に関しても問題が…

さらに2023年は、F-35をめぐる別の課題もあります。年内に納入予定だったF-35の62%、97機しか供給できないことが明らかとなったことです。

この件に関しては、2023年生産分の機体から導入された新ソフトウェア「TR-3テクニカルリフレッシュ3)」のトラブルが原因です。TR-3では機体の演算能力やコックピットディスプレイの変更が含まれていましたが、新しいシステムに改良が必要であることが判明し、アメリカ国防総省は2023年6月13日TR-3を搭載したF-35の納入を一時停止すると製造元のロッキード・マーチンに通達しました。

ロッキード・マーチンは年内での解決を目指していましたが、結局、TR-3の納入は2024年まで延期されることになり、2024年4~6月の間に最初の納入を開始する方針に切り替えました。

飛行するF-35「ライトニング II」下はF-22「ラプター」(画像:ロッキード・マーチン)。