お客様はすべて動物という不思議な百貨店“北極百貨店”を舞台に、新人コンシェルジュの秋乃の奮闘が描かれる『北極百貨店のコンシェルジュさん』(公開中)。本作の公式Xで開催しているキャンペーンには、ハッシュタグ「#北極百貨店に行ってきました」を付けて多くの感想が集まっており、「アニメーションの楽しさが詰まった作品!」や「70分の箱に納めた優しい贈り物」「こんなに純粋に相手を思いやる気持ちに溢れてる作品はない」など、不思議で可愛らしい世界観に魅了された観客の声が相次いで投稿されている。

【写真を見る】これが「北極百貨店」の全貌だ!なんでも揃う店内にあなたも行きたくなるはず

そこで本稿では、公式ハッシュタグやMOVIE WALKER PRESSのレビューに寄せられた感想の数々を「作品に込められたテーマやメッセージ性」「個性豊かなキャラクターとボイスキャスト」「原作ファンも納得のアニメーション」の3つのポイントからピックアップ。それらを紹介しながら、これからの肌寒くなる季節にぴったりな本作の魅力をひも解いていこう。

■新人コンシェルジュ・秋乃の奮闘と成長に元気がもらえる!

装画家やイラストレーターとしても活躍する西村ツチカの同名漫画をアニメーション映画化した本作。一人前のコンシェルジュとなるべくフロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら、新人コンシェルジュの秋乃は、「北極百貨店」で日々奮闘している。彼女の前にはあらゆるお悩みを抱えた“V.I.A(ベリー・インポータント・アニマル)”のお客様が次々と現れる。様々な理由で「北極百貨店」を訪れたお客様の想いに寄り添うため、秋乃は今日も元気に店内を駆け回っていく。

長年連れ添ってきた妻を喜ばせたいワライフクロウや、父親に贈るプレゼントを探すウミベミンク。恋人へのプロポーズに思い悩むニホンオオカミなど、お客様それぞれの悩みに真摯に向き合い、受け止め、思いやりをもって最良の贈り物を見つけだすコンシェルジュというお仕事。寄せられた感想のなかで最も目立っていたのは、「日々の忙しさで疲れてしまった心が癒されました。明日からもまた頑張ります!」や「じんわりと心が温まり、ほんの少し背中を押されたような気持ちになりました」といったコンシェルジュとして成長していく主人公の秋乃の姿から元気をもらったという声だ。

また、誰もが生きていくうえで切っても切り離せない“仕事”の面で共感したとの声も。時に失敗したり、大きな壁に直面して悩んでも、秋乃は明るく前向きにそれを楽しみながら、お客様の笑顔のために奮闘する。そんな健気で愛らしい秋乃の姿を観て、明日への活力につなげようと感じる人が多く寄せられていた。

ドジっ子主人公コンシェルジュが少しずつ接客や仕事を学ぶ姿を見て自分と重ねてしまった!!明日からの仕事も頑張ろって元気もらえる作品だった!」

「可愛いだけじゃなく接客の心得や大変さ、他人の気持ちを思いやると言う大事なことも教えてくれた作品でした。コンシェルジュさんって大変だけど素敵な仕事」

「全ての働く方々に観て欲しいお仕事映画」

「頑張るすべての人に見ていただきたい作品です。仕事や学業の意味を再認識しました」

きっと本作を観れば、いま抱えている悩みを解決するヒントも秋乃の仕事への向き合い方から得られるのではないだろうか。

■わずか70分に心打たれるメッセージがぎゅぎゅっと凝縮!

コンシェルジュたち人間のキャラクターを通して描かれる仕事の喜びはもちろんのこと、多種多様な動物のお客様を通して描かれる、人間社会に通底する家族や恋人など身近な人への思いやり。さらには絶滅の危機に瀕した“V.I.A”という存在から見えてくる人間と動物の関係性。わずか70分ほどの短い上映時間のなかに、様々なテーマやメッセージがぎゅっと詰め込まれていることも、本作の満足度を高めている。

「70分という上映時間、満足度はどうなのかな?と思いながら映画館へ足を運びました。結論から言いますと、大大大満足!」

「70分で綴られる小さな物語と大きな本質の部分が見事に紐づいて行き展開されるシナリオが素晴らしい」

「世界観もお話も登場人物も映像も音楽も、全てが完璧で、濃密な70分でした」

「クライマックスの盛り上がりも見事で、絵本タッチの絵柄も作品世界とマッチして、充実の70分だった」

「上映時間は短めで、彼女達をもう少し観ていたいなぁと思わせる良さがありました」

上映時間が短いということは、ちょっとした空き時間や仕事帰りにも気軽に映画館へ足を運ぶことができる。そのため、公開から1週間ほどで9回も鑑賞したという熱心なリピーターも。そして愛らしい動物たちが登場する絵本のような世界観も相まって、これまで映画館に行ったことがないという小さなお子さまの“映画館デビュー”にもぴったりなようだ。

「1歳9ヶ月娘の映画デビュー。暗くて大きな部屋に怖り、隠れながら抱っこで鑑賞。映画が始まると色彩豊かな動物達に何度も振り向きスクリーンをチラ見。だんだん体の向きが変わり最後には正面を向いて拍手してました」

■あなたの推しは誰?とにかく愛らしいキャラクターたちがスクリーンで躍動!

本作の魅力を最大限にまで高めているのは、なんといっても可愛らしいキャラクターたち。「北極百貨店の全てが大好きになりました。コンシェルジュさん達・登場人物の動物さん達全てが愛おしい」というコメントからも分かる通り、人間のキャラクターも動物のキャラクターも、主人公から脇役に至るまでみんながみんなどこまでも愛らしく、スクリーンのなかを動き回る。

主人公の秋乃については、「秋乃ちゃんがまっすぐでいい子で……是非見て……」や「秋乃さんのドジっぷりにクスッとしつつも、頑張る姿や、相手のために何かしたいというお客様の気持ちに泣かされる」、「秋乃さんの真っ直ぐでお客様に対しての対応に一生懸命さが伝わってきて、本当に応援したくなりました」など、思わず温かい目で見守りたくなる人が続出。

一方で、そんな秋乃が接客する一癖も二癖もある動物たちについては、

マンモスのウーリーは、深みのある穏やかさに満ちていて包まれるようでした。あのシーンの温かさに涙が溢れてしまった…」

「ウーリーさん(cv.津田健次郎)さんが穏やかで優しくて切なくてうるっときました」

クジャクさんは想像以上に愛を囁き カップルでキラッキラでした」

「推しのクジャクさんたちも観れた…」

「キャラクターがみんな魅力的!(特にウミベミンク父娘が好き)」

など、皆それぞれに“推しアニマル”を見つけながら楽しんでいたようだ。

レジェンド声優から元タカラジェンヌまで…豪華ボイスキャストにも注目!

動物たちの声を担当したボイスキャストの豪華さも注目すべきポイントの一つ。「キャストを事前にあまり調べずに観に行ったのですが、クレジットやパンフで演者を知って『え、この人の声だったの!?』って驚いてばかりでした。若手からベテランの声優まで、そして宝塚出身者や落語家の方もいて。楽しく調和している」と、意外な人選に驚くのも本作の魅力で、あえて前知識を入れずに観に行くのも一興だろう。

そうは言ってもここでは、投稿コメントのなかからとりわけ人気を集めていたボイスキャストを紹介しておこう。北極百貨店に展示された美しいガラスの彫刻を作るガラス造形作家のケナガマンモス、ウーリー役の声を担当しているのは、近年実写作品でも活躍が著しい人気声優の津田健次郎。「津田さん史上最も優しい声」や「ウーリーさんの声(津田さん)は、ぴったりで癒やし効果がすごかった…」など、当代きってのイケボに魅了されたという声は数知れず。

また、本作の応援アンバサダーを務めるLiLiCoもインタビューで「すっかり惚れてしまいました」と語っていたクジャクの声を担当しているのは、元宝塚歌劇団の男役スター七海ひろき。しかもその相手役であるクジャク彼女の声は、同じく元宝塚歌劇団で花組のトップ娘役を経験した花乃まりあが担当している。

「表情豊かなキャラクターとぴったりの声大好きな七海ひろきさんのオスクジャク、第一声で友と目を合わせフフッと」

「宝塚ファンの皆様、カイちゃん&かのちゃんのクジャクカップルに要注目!」

クジャクさんはもう宝塚を見ているようでした」

ほかにも島本須美入野自由村瀬歩寿美菜子花澤香菜諸星すみれ大塚剛央など人気声優たちが動物役として登場。人間キャラクターでも秋乃役の川井田夏海を筆頭に、飛田展男潘めぐみ福山潤中村悠一ら、ベテランから若手まで幅広い声優陣が集結。彼らがどんなキャラクターを演じ、どのように物語に関わってくるのか。目からも耳からも楽しめること間違いなしだ!

■文字だけじゃ足りない愛…想いが詰まったファンアートも!

ちなみに公式ハッシュタグには、感想のコメントだけにとどまらず、近年SNSを中心に大ブームとなっている“ファンアート”も多数寄せられている。それもキャラクターの溢れんばかりの魅力が炸裂している本作だからこそ。いずれも観客の熱い想いが伝わってくる、ハイクオリティな仕上がりの作品ばかりだ。

ジブリ作品の作画スタッフも参加!西村ツチカの世界観を再現した美麗なアニメーション

原作漫画は、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞するなど、西村ツチカ作品のなかでもひときわ高い評価を獲得してきた。その繊細なタッチや世界観が守られているのか、原作ファンの方々のなかにはアニメ化に少々不安を抱いている人も少なくないのではないだろうか。しかし本作を観た原作ファンの方からは、その出来栄えに大満足したという声が鳴り止まない。

「映像美も素晴らしかったですが原作2巻を上手くまとめられててとても見応えがありました!」

「原作の繊細な線も大好きですが、アニメのコミカルさもたまりません!!」

「線のタッチや色使いに、ツチカさんイズムを感じられて良かった〜」

「もともと原作が好きだったので好きな絵が動いているのが嬉しくて涙が出た」

それだけでなく、「見終わった後に原作も欲しくなるくらい疲れた心に沁みまくる作品だった」、「社会人、働いてる身にしみてくる優しさがあった 帰り道原作買ってしまった」と、本作を観て原作漫画に触れてみようと思った人も。これをきっかけに西村ツチカ作品はさらなる人気を集めることとなるだろう。

原作ファンも納得のアニメーションを実現させたのは、これまで「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」シリーズや「ハイキュー!!」シリーズなどを世に送りだしてきたProduction I.G.。またメガホンをとったのは、『パプリカ』(06)や『風立ちぬ(13)などに参加し、これが劇場アニメ監督デビューとなった板津匡覧監督と、コアなアニメファンにとっても注目が尽きない。

「とても丁寧に作られた、一切の手抜きのないアニメーションの見本のような好作品でした」

「IG作品が好きなので調べたら、板津さんの劇場版アニメの監督デビュー…」

「相当に枚数がかけられているように思うが、一見してそれを感じさせないのは構図の巧みさだろう」

松本憲生さんや橋本晋治さん、井上俊之さん、本田雄さんらも参加されていて、作画的にも素晴らしかったです。特にアバンが素晴らしく、西村ツチカ先生の世界観がばっちり入り込めます」

劇場で発売されているパンフレットには、各キャラクターの設定画や絵コンテ、背景のデザインからコンセプトカラーデザインに至るまで、制作の舞台裏がわかる貴重な資料やインタビューがぎっしりと掲載されている。もちろんキャスト陣のインタビューから、興味深いコラム、さらには「耳に残って離れない!」と話題のtofubeats作曲・編曲のテーマ曲の歌詞も掲載されているので、鑑賞のお供に入手してみるのもおすすめだ。

「パンフレットにあるコンセプトカラーデザイン無限に眺めてられます」

「パンフレットに動物行動学者の新宅広二さんと、元高島屋コンシェルジュの敷田正法さんという、本作の題材にかかわるプロが寄稿しているのも興味深かった」

「パンフレットじっくり読んでから観るとまた楽しい」

■クリスマスにもぴったり!これからの季節に繰り返し観たくなる…

2023年も残すところあと2ヶ月。長い夏が終わり徐々に肌寒い季節となり、これからやってくるのはクリスマスやお正月など、誰もが人との繋がりを感じることになるシーズンだ。

「肌寒くなった今こそ北極百貨店に立ち寄って温まって欲しい」

「あったかいミルクティーシナモンもちょっと入ってるような映画」

「寒くなってますし、映画館へほっこりしに行くのにおすすめです」

「ちょっぴり肌寒い季節だからこそ、オススメな作品です。温もりあるストーリーで心はポカポカ」

「街がもう少しクリスマスらしくなったらまた観に行きたい」

「心が疲れた時にほわっと息抜きさせてくれる作品だなぁと思いました。クリスマスに毎年観たいです」

と、この季節だからこそ『北極百貨店のコンシェルジュさん』を観て身も心も温まってほしいと勧める感想もいっぱい寄せられている。これもまた、SNSを通して見知らぬ誰かから贈られたギフトのようなもの。きっと映画館を出たら大切な誰かのことを思い浮かべ、その足でなにか贈りものを探したくなることだろう。日常のなかに埋もれてしまっている優しい世界を見つけに、“北極百貨店”に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

お客様はすべて動物。不思議な百貨店“北極百貨店”の新人コンシェルジュの奮闘が描かれる/[c]2023⻄村ツチカ/⼩学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会