睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に眠くなったり、頭がボーっとしたりしてしまうことはありませんか。この場合、よく眠れていない可能性が考えられます。そもそも、睡眠の質が低下するのはなぜなのでしょうか。睡眠の質を上げるには、どのような取り組みが大切なのでしょうか。

 睡眠時に適切な姿勢などについて、姿勢調整師の塗木洋平(ぬるき・ようへい)さんに聞きました。

筋肉が張った状態で寝ると疲れが取れない

Q.人によって個人差があるとは思いますが、睡眠は1日何時間以上取るのが望ましいのでしょうか。

塗木さん「さまざまな研究から、6~8時間の睡眠が理想とされています。しかし、生活習慣や体質によって個人差があるため、日中の時間帯に眠くなったり、頭がボーっとしたりしなければ、よいとされています」

Q.では、日中に眠くなったり、頭がボーっとしたりしてしまう場合、何が原因なのでしょうか。改善するにはどうしたらよいのでしょうか。

塗木さん「大きな要因の一つとして、睡眠の質の低下が考えられます。睡眠の質は、睡眠のリズムが関係しています。睡眠時は、眼球運動がなく、夢を見ないほど深く眠っている『ノンレム睡眠』と眼球運動があり、夢を見るなど、浅い眠りである『レム睡眠』を繰り返していきます。

眠りの深さを『睡眠深度』といいますが、睡眠深度が深くならない状態が続いたり、深く眠る回数が少なくなったりすると、疲れが取れなかったり、日中に眠くなったりすることがあります」

Q.睡眠の質を向上させるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。

塗木さん「睡眠の質を上げるには、筋肉が緩んだ状態で寝ることが大切です。筋肉は意識があるときは常に働いており、睡眠中に休むことで回復を図ります。

筋肉が張った状態で寝ると、筋肉を休ませることができず、朝起きたときに凝りや疲労感が残ります。筋肉を緩めるためには、筋肉がリラックスできる姿勢で寝るのが大切で、次の3点が必要となります」

(1)あおむけで寝る
うつぶせで寝ると、呼吸をするために首をねじってしまうため、首の筋肉が張りっ放しとなります。そのため、首の後ろや首から肩にかけて痛みが出る「寝違い」の原因にもなるため、注意が必要です。

また、横向きで寝ると、体の底面積が小さくなるため、姿勢が安定しません。そのため、足や肩を前に出したり、体をねじったりしてバランスを取ろうとします。ねじった部位の筋肉は張ったままになります。

(2)柔らか過ぎる場所で寝ない
人間の骨格で一番重いのは、骨盤です。柔らか過ぎる場所で寝ると骨盤が沈むため、姿勢が猫背になり、腰や背中、首の筋肉が張りっ放しの状態となります。

そこで、就寝時に下に敷くマットは、ある程度の硬さが必要になります。目安としては、床が畳の場合は毛布1枚分の硬さ、フローリングの場合は薄いせんべい布団1枚分の硬さがそれぞれ必要です。

マットは平面ではなく、ボコボコと突起があるタイプだとなおよいです。マットの突起は体圧を分散させる効果があるため、骨盤だけに荷重がかからなくなり、猫背になりにくいです。

(3)枕は首に当てる
頭に枕を当てると、首のカーブがなくなる、いわゆる「ストレートネック」の状態で寝ることになります。ストレートネックだと、首の筋肉が張りっ放しの状態となり、首に負担がかかります。枕は必ず首に当てましょう。

 睡眠時間をしっかり取っているのに日中に眠気を感じる場合、寝具の使い方や就寝時の姿勢を見直すと改善されるかもしれません。

オトナンサー編集部

睡眠の質を上げる方法は?