台地と臨海部の両方を併せ持つ品川区。今回はそんな品川区の住みやすさに関するデータを大公開します。人口密度や治安の良さ、独自の子育て対策など詳しく見ていきましょう。

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品川区の基本データ

14区の中では比較的多い人口と大きい面積を持つ品川区。再開発により注目度が高まった大崎地区を中心に人口は若干上昇傾向を続けています。平成30年に区が実施した世論調査では、9割の区民が「住み続けたい」と回答するなど、定住への意識が高い点も特徴的です。 昼夜間人口比率は約140%で、昼間人口の方が1.5倍ほど多い比率となっています。

品川区の特徴

伝統と最新の両方を併せ持つ品川区。ここでは、そんな品川区のまず押さえておきたい特徴をご紹介します。

城南五山が代表的な注目の住宅街

品川区の有名な住宅地といえば、まず挙げられるのが「城南五山」。山手線の内側、北品川から東五反田・上大崎にかけての日当りの良い高台に、御殿山・八ツ山、島津山・池田山・花房山と称される区画の広い5つの邸宅街が集まっています。

江戸時代は大名の別荘が並んでいたこのエリアは、現在では東五反田の目黒川沿いに大型タワーマンションが林立。新築物件の供給が相次ぐ注目のエリアです。城南五山の南方を走る東急目黒線池上線大井町線の沿線には商店街が充実。大小107の商店街・約4000店もの店舗が集まっています。商店街が集まるエリアは生活利便性も高いことから、マンションも豊富で住まいの選択肢は広いでしょう。

型破りな特徴ある教育で、生きる力が身につく

全国に先駆けて導入した小中一貫教育をベースに、ユニークなカリキュラムが多数用意されている品川区。「小学5・6年の教科担任制」、模擬店舗の経営を通して社会の仕組みを学ぶ「経済体験学習」、9年間の一貫性のあるカリキュラムに基づく「小学1年生からの英語科」など個性的な教育政策を積極的に行っています。また、子どもたちが健やかに過ごせる環境づくりにも力を入れている点も特徴的。児童の遊びと学びを通した放課後の居場所づくりを目的とする「すまいるスクール」の設置、区内在住の小学生を対象にした「まもるっち」(GPS機能付緊急通報装置)の配布などは、子どもはもちろん、親の目線からも安心できる対策といえるでしょう。

品川区を6つの視点でガチ評価

品川区の治安(★5/3.5)

刑法犯認知件数総数のデータを見ても、火災・侵入窃盗のデータを見ても、14区内上位の治安の良さを誇るこの地域。埼京線の停車駅で都心へのアクセス抜群な大崎駅や、都内でトップレベルの乗車人員がある品川駅の周辺は、比較的、治安が良くない傾向にあるものの、その他のエリアに関してはかなり穏やかだと言えるでしょう。

品川区の子育て環境(★5/3)

14区内でもかなり充実した子育て対策が行われている品川区。特に、情報発信の面で優れており、2007年からほぼ毎年のペースで開催されている「品川子育てメッセ」では、品川区の子育て情報が一堂に会するので、慣れない子育ての中でも確実に必要な情報を得ることができます。「しながわパパママ応援アプリ」も配信されており、子育てに役立つコラムや区内の施設マップ、イベントのお知らせなどをスマホ一つで確認可能です。

品川区の医療(★5/3)

医療施設数や医師数は14区内の平均的な値を示しています。一方で特筆すべきは、子ども向けの医療費助成。区内在住の中学生は、保険診療のうち自己負担分を区が助成してくれるため、実質医療費がかかりません。また、高校生(18歳到達後最初の3月31日)までの子どもは、食事療養費を含む入院医療費が助成されます。

品川区の自然環境(★5/3)

緑はもちろん、東京湾に面した土地を利用した水を楽しめる公園が多くあります。広大な敷地を持つ「しながわ区民公園」や「東品川海上公園」をはじめ、ユニークな遊具がある公園も多く、ファミリー層に人気。「大森貝塚遺跡庭園」、「池田山公園」など、歴史や伝統の中で自然を感じられる公園もあり、幅広い年齢層の人々の憩いの場となっています。

品川区の買い物・娯楽(★5/2)

小売事業所数は14区内では少ないものの、約400の店舗が軒を連ね、平日でも1万人以上が訪れる「戸越銀座」や、800mにわたる開閉型のアーケード商店街「武蔵小山商店街パルム」など、活気あふれる商店街が有名。京浜急行本線・北品川駅から青物横丁駅近くの旧東海道沿いには、多数の神社仏閣や幕末の歴史を伝える史蹟が残っており、美観にも配慮した街並みは名所の一つになっています。

品川区の住まい(★5/3)

全体の約40%が持ち家を所有、約15%が一戸建てというデータは、14区内の順位で見ると、極めて平均的。中古戸建の平均価格は比較的高い傾向にあり、反比例するように中古マンションの平均価格は比較的安価であることから、中古の場合、戸建て需要の方がやや高いことが分かるでしょう。大崎や五反田など再開発された地域を中心に新築マンションも多く造られています。

品川区の資産価値ランキング2023

※用途区分:住宅地

JR五反田駅から大崎駅にかけてのエリアや、品川駅に近い御殿山などの一帯、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」周辺では再開発が進んでおり、人口増加や地価の上昇につながっています。特に、山手線沿線は利便性が高く、商業施設が集積しているため、収益性が良好でしょう。

タワーマンションの整備が進んだ五反田・大崎エリアでは、成熟した住宅地としてリセールバリューの向上が見られます。利便性の向上や商業施設などのさらなる集積も期待され、今後の資産性・収益性の向上が見込まれる街と言えるでしょう。

品川区の住みやすい街5選

品川区の中でも特に住みやすい街を厳選して5か所紹介していきます。再開発の真っただ中にある最新の街から、伝統の残るどこか懐かしい街まで幅広くご用意したので、好みに合った街がきっと見つかるはずです。ぜひ参考ご覧ください。

【小山】駅前の再開発で再注目!人気商店街もある住みよい街

武蔵小山駅西小山駅を中心に、洗足駅不動前駅近くまで広がるエリア。近隣には、広大な自然を誇る林試の森公園があります。

小山・荏原両アドレスに広がる「武蔵小山商店街パルム」は、全長800mの開閉式アーケードが連なる人気商店街として有名。また、武蔵小山駅の駅ビル「エトモ」には、ベーカリーやデリ、深夜1時まで営業のスーパーもあり、生活利便性は抜群です。駅前では再開発プロジェクトも進行し、駅前広場を囲むように40以上の店舗で構成されるションピングモール、41階建てのタワーマンションが作られました。

【地名の由来】

八幡神社付近が小高い山のような形であることから。

【西五反田買い物の楽しみ広がる商業施設を備えた住宅街

桜の名所として有名な目黒川を挟む区内北西で、東急目黒線不動前駅を最寄り駅とするエリア。五反田文化センターには、図書館や音楽ホールの外の全天デジタルシステムのプラネタリウムもあります。都内最大級の複合商業施設・五反田TOCビルではバーゲンセールや展示即売会など多彩なイベントを開催。緑豊かな屋上庭園も人気スポットの一つです。2丁目の一部に歓楽街があるものの、基本的にオフィスビルが多いエリアと言えるでしょう。

【地名の由来】

五反田」という地名は田の広さに由来し、全国各地にあります。一丁田、二丁三反田など。

【北品川】大規模マンションの登場でさらに活況を呈する街

2000年の都営大江戸線の開通に伴い開業した清澄白河駅周辺のこの地域。2003年には延伸で半蔵門線が利用可能になり、大手町駅まで約8分でアクセス可能に。両路線とも始発電車が利用できるため、通勤にも便利でしょう。街の半分近くには、回遊式日本庭園の清澄庭園や清澄公園が広がります。公園の間には、レトロな雰囲気が魅力の深川図書館があり、地元民はもとより、多くの人が蔵書を求めて訪れます。東京都現代美術館やギャラリーも周辺に点在しており、街全体を通してがアートな雰囲気を漂わせる地域です。

【地名の由来】

「品川」という地名は、目黒川の河口を中心に発達した集落につけられた名前で、元暦元年(1184年)の田代文書に初めて登場します。地名の由来については、目黒川の古名説、風光明眉な品良き土地であるので高輪に対して品ヶ輪と名づけた説、鎧に用いる品革を染出した所からという説、領主の品川氏から起こった説などがあります。【出典】「第Ⅰ章品川区の景観特性と課題」(品川区公式サイト)

【大井】抜群のアクセス性を誇る急成長の街

街の北側にある大井町駅は、品川駅東京駅京浜東北線で1本、渋谷駅新宿駅へも直通ラインがあるなど、ターミナル駅へのアクセスが抜群。駅前はイトーヨーカドー、西友、阪急大井町ガーデン、アトレ大井町などの商業施設が充実しています。さらに、JR東日本による「大井町駅周辺広町地区開発」が計画中。街並みが大きく変わることが予想されるでしょう。大井町駅徒歩5分の場所にある複合スポーツ施設「スポル品川大井町」では、サーフィンボルダリングアーチェリーなどが楽しめます。

【地名の由来】

所説あり。1.村内光福寺にある、大きな井戸にちなんだ説2.「藺(い)<畳表にするイグサ>」がたくさん自生していたので大井(藺)とした説。

【二葉】緑豊かな落ち着いた住宅街

東急大井町線下神明駅から横須賀線湘南新宿ラインの停車駅・西大井駅の間に広がるこの地域。徒歩圏内には大井町駅もあり、交通の便は抜群です。「下神明天祖神社」や「しながわ中央公園」、「戸越公園」といった自然豊かなスポットが点在する閑静な住宅街です。公立の小中一貫校や私立の進学校など、教育機関も多くあり、穏やかで治安のよい街並みが広がります。

【地名の由来】

昭和初期まで、この地域は荏原町の大字である上蛇窪、下蛇窪と称していましたが、昭和七年(1932年)に荏原区の一部として東京市に編入されるにあたり、上神明町・下神明町と改称。その後、東京市より町名整理を指導され、上神明・下神明をそれぞれ南北に分けて、北同士を統合して「豊町」、南同士を統合して「双葉町」と称するよう東京市より提案されました。結果、昭和十六年(1941年)に区は、「双葉」を「二葉」にすることで採用し、新町名が誕生しました。

(※写真はイメージです/PIXTA)