映画『正欲』より、稲垣吾郎新垣結衣、磯村勇斗らメインキャストのセリフ入りキャラクターポスターが解禁された。

【写真】映画『正欲』稲垣吾郎・磯村勇斗らのセリフ入りキャラポスター

 本作は、朝井リョウが作家生活10周年で書き上げ、第34回柴田錬三郎賞を受賞した小説を映画化。家庭環境、性的指向、容姿―さまざまに異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマをあぶり出していく。演出家・岸善幸と脚本家・港岳彦のタッグにより、いわゆる「当たり前」ではない生活を送る人たちの人生を大胆な演出表現をもって映像として浮かび上がらせる。第36回東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をダブル受賞した。

 検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜役に稲垣吾郎。広島のショッピングモール契約社員として働く桐生夏月役に新垣結衣。両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道役には磯村勇斗。そして佐藤寛太がダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也、東野絢香は大也と同じ大学に通う神戸八重子を演じる。

 この度公開されたのは、メインキャラクターたちの新たなビジュアル。稲垣演じる啓喜は「道から外れた生き方させられないよ」、新垣演じる夏月は「誰もひとりじゃないといい」、磯村演じる佳道は「この世界で生きていくために、手を組みませんか」、佐藤演じる大也は「なる前に毎日思う。朝起きたら、自分以外の人間になれていますようにって」、東野演じる八重子は「性欲とか恋愛とか結婚とか、全部関わらずに生きていけるならそうしたい」と、それぞれ劇中の印象的なせりふと共に、何かにとらわれたような表情を浮かべている。

 さらに、一足早く映画を鑑賞した著名人からの絶賛コメントも到着。

 千原ジュニアは「明日死んでもいいと思っていない人は観た方がいい」と独特の表現で本作を称讃。EXITの兼近大樹は「何の変哲もない事の異常性が浮き彫りになる気分爽快な物語なのに、息も飲めずに喉が渇いた」、原作ファンだというニューヨーク・屋敷裕政は「小説『正欲』が、感情が揺さぶられまくりの激おもしろ作品だったのですが、映画『正欲も俳優陣演技激ヤバのウルトラおもしろ作品でビビりました」と映画化をテンション高く絶賛している。

 そのほか、現在放送中のドラマ「時をかけるな、恋人たち」出演でも話題の俳優・西垣匠、人気ロックバンド・OKAMOTO’Sのギタリスト・オカモトコウキ、SNSで大注目の美容クリエイター・メイクアップアーティストのGYUTAEら、各回のオピニオンリーダーたちが、自ら言葉で映画の魅力を語っている。

 映画『正欲』は、11月10日より全国公開。

※著名人コメント全文は以下の通り。

<著名人コメント全文>

■EXIT 兼近大樹

一般的、当たり前、何の変哲もない事の異常性が浮き彫りになる気分爽快な物語なのに、息も飲めずに喉が渇いた。
あらゆるものを多様性で括ってしまうのは簡単かもしれないが、そこからはみ出るものを社会は許容出来るのか?世間は厳しい目を向けるのではないか? 映画の中で描かれた正しさの凶暴性に戦慄するだろう。
終わりに向かい、普通ではないとされる普通が少しずつ湧き出て、溢れて、漏れ出し、あらゆる普通に形を変えていった。
否定に怯えるあなたの側に、分かり合える誰かがいてくれる事を願う。こんな香ばしいまとめ方しちゃうくらい優しくなれる映画でした。

■をのひなお(漫画家『明日、私は誰かのカノジョ』)

ただの大多数の考えでしかない「普通」を強制される生きづらさ。
多様性という言葉を聞くたびに感じる違和感が描かれている。

■GYUTAE(美容クリエイター・メイクアップアーティスト)

羨ましいな。それが観た後に強く思う感情でした。
決して他人には理解できないと思っていた事を共感しあえる誰かと出会うことがどれだけ難しく奇跡的なことか。
日常にあるけど焦点の当たらない部分を刺激される好きな作品でした。

■堀井美香(フリーアナウンサー)

窮屈さも脆さも、苦しみの全てがなくなるなんて思わない。
ただわかってくれる人がいるだけでいい。
正解のない世界で、あの人が、自分が、存在する意味を知りました。

■オカモトコウキ(OKAMOTO’S)

“自分らしさ”を求める社会のグロさ、人間の欺瞞。
普通って何? 正しさって何?
全てのシーンが心の中で何度もリフレインする。
観る前の自分には戻れない。
なるほど、これは「問題作」だ。

ニューヨーク 屋敷裕政(お笑い芸人)

小説『正欲』が、感情が揺さぶられまくりの激おもしろ作品だったのですが、
映画『正欲』も俳優陣演技激ヤバのウルトラおもしろ作品でビビりました。
『正欲』とんでもないです!

■千原ジュニア(お笑い芸人)

明日死にたくない人、
明日死なない人は観た方がいい。
明日生きてる人、
明日死んでもいいと思っていない人は観た方がいい。
観た方がいい。

■戸田真琴(文筆家・映画監督)

あなたが「(笑)」をつけてお菓子をつまむように嘲笑ったものたちの、切なる「正欲」に目を凝らす。
足場が裏返る感触に冷や汗をかくけれど、こんな感覚はなるべく皆が味わった方が良いに決まっているのだ。
あるシーンで、ぼろぼろの女の子がもっとぼろぼろの誰かに震えながら言葉を紡ぐ姿に心が震えた。
原作の秀逸な描写に色がついたようで、原作ファンも納得の1本だ。

■西垣匠(俳優)

理解されることを諦めた人たちが見る世界は、
どんなふうに映っているのだろう。
そう思わせるほど、皆が「同じ目」をしていたのが印象的でした。

■——笠井信輔(アナウンサー)

孤独を感じたことがあるすべての人のための映画がここにあった。
描かれる困難と希望。「自分を閉ざさないで!」そのメッセージが胸に刺さった。

■武田砂鉄(ライター)

「普通、こうでしょ」は、暴力にも防御にもなる。
どっちかだけだと思っている人は、「普通」に食われてしまう。

■よしひろまさみち(映画ライター)

ダイバーシティ、インクルージョン。意味が分かっているのは当事者だけ。
そんな実情をきれいごと抜きに暴き、耳に、眼に痛い。
本当の問題はマジョリティにあるの。

■氏家譲寿(文筆・映画評論家)

あのひとは“オカシイ“、こんなこと”アリエナイ“。そうやって目を閉ざしていませんか?
目を閉じるだけで人の心を”壊せる“。だから、目を開けて、見て、ください。

■伊藤さとり(映画パーソナリティ)

違和感を感じる世界でも生きようともがく強さが、
真実の言葉となって胸に突き刺さる。
静かなのにとてつもなくエモーショナルな人間模様、
本作はこの世界そのものを描いた傑作だ

■牛津厚信(映画ライター)

たった1人、掛け替えのない「誰か」と巡り逢うだけで輝きだす日常。またはその反動。全てのキャストがかつてない歪な存在感を放ち作品世界をしっかり支える珠玉の群像劇だった。

■豊崎由美(書評家)

根昏いガッキーから目が離せない!
朝井リョウの代表作が新垣結衣の代表作に。
小説と映画の出会いが生んだキセキ、はんぱないっ。

■松崎健夫(映画評論家)

観客によっては共感に至らない映画なのかも知れない。
だが、新垣結衣や磯村勇斗が演じる人物に対して、
誰もが何となく「わかる」という感覚を抱くことこそが重要なのだ。

映画『正欲』桐生夏月(新垣結衣)キャラクターポスター (C)2021 朝井リョウ/新潮社 (C)2023「正欲」製作委員会