コロンビア政府は2日、リヴァプールに所属しているコロンビア代表FWルイス・ディアスの父が反政府極左武装組織である民族解放軍(ELN)に誘拐されたことを発表した。

 ルイス・ディアスの父であるルイス・マヌエル・ディアス氏、母であるシレニス・マルランダ氏については、28日に誘拐された可能性があると伝えられていた。コロンビア軍が居場所を特定するための情報提供を求める中、警察によって犯罪組織の犯行である可能性が高いと見られていた。しかし、2日付で政府の代表組織が声明を発表。ELNに属する部隊によって誘拐されたことが明かされていた。

 イギリスメディア『BBC』の報道によると、ルイス・ディアスの父であるルイス・マヌエル・ディアス氏、母であるシレニス・マルランダ氏は10月28日コロンビア北部のラ・グアヒーラ県バランカスで見知らぬ男たちに車から呼び止められ、被害を受けていたという。CCTVの映像には28日の午後、ルイス・ディアスの両親が運転する車がバイクに乗った男たちに尾行されている様子が映っていた模様。夫妻はガソリンスタンドに立ち寄った際、突如として銃口を向けられ、武装集団に襲われていた。現場に警察がやって来ると、誘拐犯はシレニス・マルランダ氏を中に置き去りにしたものの、父親は連れ去れっていた。

 その後、警察はコロンビアベネズエラの国境にまたがる山岳地帯、セラニア・デル・ペリハ周辺を重点的に捜索。誘拐に使われたと思われるバイク2台と車は発見されたが、現時点でルイス・マヌエル・ディアス氏の居場所は特定できていない。

 ELNはコロンビアの現存する主要なゲリラ・グループで、親キューバ、反アメリカ路線を標榜する組織。都市部のインテリや中間層がメンバーの中心で、推定2,500人によって構成されている。現在、グスタボ・ペトロ大統領による「完全和平」戦略の一環として、政府とELNは6カ月間の停戦に合意。8月3日より発効していた。

 政府代表組織のリーダーであるオッティパティーニョ氏は文書を通して「ルイス・マヌエル・ディアス氏の即時解放」を要求。「誘拐は国際人道法に違反する犯罪行為であり、誘拐行為を停止するだけでなく、永遠に根絶することが、現在の和平プロセスの一環として、彼らの義務であると認識するよう申し上げておきたい」と声明を発表した。

 また、コロンビア国内でルイス・ディアスは絶大な人気を誇っていることから、10月31日には解放を求めるデモ行進に数百人が参加していたことも伝えられた。

 なお、ルイス・ディアスは両親の誘拐事件を受けて、10月29日に行われたプレミアリーグ第10節ノッティンガム・フォレスト戦(○3-0)を欠場。続く11月1日開催のカラバオ・カップ(リーグカップ)4回戦ボーンマス戦(○2-1)でもメンバー外となっていた。

リヴァプールに所属しているルイス・ディアス [写真]=Getty Images