モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。11月2日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「Twitter(ツイッター)買収から1年 イーロン・マスク氏が目指す『X(エックス)』」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



アメリカの起業家イーロン・マスク氏(以下、敬称略)が、昨年10月27日にSNSサービスのTwitter社を買収してから1年が経ちました。今年7月には、社名を「X」に変更。サービスや規約を次々と見直し、その変化に使用者から困惑の声も上がりました。

◆この1年の動きを振り返る

塚越:イーロン・マスクがTwitter社を440億ドル、日本円でおよそ6兆4,000億円余りで買収したのが去年の10月27日です。当時もイーロン・マスクは「Twitterの買収は、全てを備えたアプリ『X』の政策を推し進めるものだ」とTwitterに投稿していました。

その上で彼がしたことは、まず人員整理です。買収前に8,000人弱だった従業員のうち、半数を解雇しました。今年の4月には、およそ1,500人にまで減少しました。買収当時のTwitter社の財務状況が悪化していた状況でのリストラということで、必要な措置という側面もありました。それによって、フェイクニュースや誹謗中傷対策がおろそかになるなどの批判がありました。

一方で、今年に入ってからは収益化に向けた取り組みを加速しています。まずは、日本でも展開されている有料サービスで、長文の投稿や投稿の編集ができるものです。有料の公式承認バッジ(青いバッジ)を導入したり、また、有料のクリエイターには広告収入の一部を還元するプログラムも日本で8月に開始しています。インフルエンサーなど人によっては、これにより毎月数十万円の収入を得る人も出てきました。

また、大きいところではやはりブランド名を「X」に変更したことです。これは、今年7月のことです。「X」の公式アカウントは、1年で100を超える機能を追加したと投稿しているのですが、特定の国に限定されるものもあれば、すぐにやめるサービスもあるわけで、一言でいえば試行錯誤段階というところです。

ユージ:先日、民間調査会社の調査で、旧Twitterを「X」と呼んでいる人がわずか9%だったというニュースを見ました。「X」のさまざまな変化が、世の中に浸透していないようにも感じますがいかがでしょうか?

塚越:実際、今年9月の1日平均利用者は、世界全体でおよそ1億8,300万人と、去年の10月から15%減っています。逆に、競合のSNS・Instagramなどは利用者を伸ばしているところもいっぱいありますし、Instagram(米Meta社)が新たにリリースしたテキストベースのSNSアプリ「Threads(スレッズ)」は一時期より利用者が減って、9月にはデイリーユーザーが1,300万という数字もあります。ただ、競合相手であることには変わらないかなと思います。

「X」については、「(慣れ親しんだTwitterの名称を変更したり、イーロン・マスクがおこなう)さまざまな施策が嫌だから」という理由で離れる人も出ていますし、実際に利用者は減っています。今のところは、有名人が一気に乗り換えるようなことがない限り、まだ保ち続けている状態といえます。

吉田:X社の現状はどうなっていますか?

塚越:やはり大規模リストラでサービス障害も多く、買収前後で反ユダヤ主義の投稿が2倍に増えたり、今回のイスラエルハマスの衝突でも、偽情報が拡散しています。つまり、ヘイトやフェイクが増えて広告出向が減りました。こういう問題もあり、欧米の報道では、現在のX社の企業価値は190億ドルで、買収にかかった440億ドルの半分以下になります。広告の呼び戻しや有料化をおこなっていますが、経営は厳しい状況にあります。

イーロン・マスクがこれから目指す「X」とは?

ユージ:そのような状況で、今後どのような形になっていくのでしょうか?

塚越:イーロン・マスクは、とにかく「X」を何でもできるスーパーアプリにしたいと語っています。今後は、送金機能や求人募集機能を実装したり、出会い系アプリ、つまりマッチング機能を搭載したいとも語っています。

スーパーアプリとは、要するにチャットも電話もゲームも買い物も、何でもできるというものです。何でもできればユーザーデータの収集分析もできるので、企業としてもメリットが大きいというものです。

ただ、スーパーアプリというものは、中国の「WeChat(ウィーチャット/微信)」などの一部を除けば、ほとんどありません。日本のLINEもスーパーアプリといえばそうですが、やはりメッセージ以外の機能では、他のアプリより強く秀でているというものでもありません。

やはり、これだけリストラしているなかで、これからどのくらいで作っていくかというところで、(Xのスーパーアプリ化の実現は)やはり難しいかなと思います。このまま業績が上げられないと、結局、身売りすることも考えられると思います。

ユージ:これから、「X」はどうなっていくと思いますか?

塚越:多くの日本のユーザーは、有料化をあまり望んでいないというのが本音だと思います。有料化されるものが多いと、利用者が減ってしまう可能性もあります。

ただ、イーロン・マスクはこれまで経営者として、すごいことをおこなってきたのは確かです。これからどういう施策を打ってくるか、それが嫌だという人もいますが、何かをきっかけに変わる可能性もありますので注目しておいてください。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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11月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年11月10日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
Twitter買収から1年 衝撃の名称変更、独断施策で利用者離れも…イーロン・マスクが目指す『X』のスーパーアプリ化とは?