調査会社のTechInsightsは3日、2023年第3四半期(7〜9月)のスマートフォン市場概況を報告し、同期における全世界での出荷台数は前年同期比0.3%減の2億9600万台であることが明らかとなった。

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スマートフォンの年間販売台数が減少するのは9四半期連続であるものの、年間減少率が前四半期のマイナス8%→マイナス0.3%へと大幅に鈍化していることから底打ちの可能性が高いとしており、2024年には緩やかな回復に向かうと予測している。市場シェアについてはサムスンが20%でトップ、次いでアップル(約16%)、XiaomiOPPOと勢力図に変化はみられなかった。

7〜9月のスマートフォン業界はiPhone 15シリーズやPixel 8シリーズなど、主要メーカーが最新モデルを発売しており終始盛り上がりを見せていたが、中でも注目のハイライトとしては「ファーウェイの急回復」が挙げられる。

2020年以降、長らく米国の対中制裁による影響で“5Gスマホ”を発売することができず、シェアを急落し続けたファーウェイだが、本年9月に新たなスマートフォンシリーズ「Mate 60 5G」「Mate 60 Pro 5G」を発表。

「Mate 60 5G」シリーズには自社開発チップ「麒麟(Kirin) 9000s」を搭載することで”5G対応”を克服、衛星通信サービスにも対応した。「麒麟 9000s」は中国国内の半導体企業SMIC(中芯国際集成電路製造)により製造・設計されており、製造プロセスは競合となるTSMCに大きく引けを取る7nmではあるものの、完全国内生産というインパクトに注目が集まる。

本調査では中国国内での「Mate 60」シリーズの販売が好調であることから、ファーウェイのシェアは10位止まりとなっているものの、スマートフォン出荷台数で年間2桁成長(前年同期比44%)を達成したとも明かした。

ファーウェイの実質的サブブランドとして展開されてるHonor(アーナー)についても今期は目覚ましい回復を見せたと評価しており、2023年第3四半期の中国スマートフォン市場で首位に。世界市場においても、ファーウェイ同様にスマートフォン出荷台数で2桁成長(前年同期比14%)を達成、同四半期の市場シェアは5%となり、前年同期を上回った。

このほか、日本国内ではほとんど知られていない「Transsion」はTecnoやInfinix、itel等のブランドを擁するデバイスメーカーとして2四半期連続でのシェア5位を維持。いずれのブランドもアフリカ、中東、アジア、中南米などの新興国を中心に展開されており、卸値100ドル以下の手頃な価格のスマートフォンを数多く発売している。出荷台数は合計2,640万台で、前年同期比40%増、市場シェアは9%となり、前年比6%の上昇を見せたという。

出典:TechInsights Wireless Smartphone Strategies(WSS)

ファーウェイ、スマホ出荷台数が44%増加と急回復…新興国向けブランドも健在、需要は次第に回復か【業界動向】