大麻

オーストラリアで初めて医療用大麻を合法にしたビクトリア州で、医療大麻使用者の運転への影響を知るための試験を行うという。『The Gardian』が取り上げている。

 

■医療大麻使用者の運転試験

オーストラリア・ビクトリア州会議に提出された運輸法改正法案に基づき、医療大麻使用者の運転の影響を知る実証実験が行われるという。

ビクトリア州では2016年より医療大麻が合法になったが、大麻に含まれる精神活性成分テトラヒドロカンナビノール(以下THC)が体内に残留する状態での運転は禁止されている。

このTHCは、摂取してから長時間体内に残る可能性があり、最初の効果が薄れた後も反応してしまう。そのため、合法的に医療大麻を使用する人が、運転で免許をはく奪されるケースが増加しているのだという。

なお今回の運転試験は、公道から隔離された環境での試行となる見込みだ。

 

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■政府の優先事項

今年2月、当時の首相だったダニエル・アンドリュース氏が「医療大麻を使用した後でも、運動能力に問題ない市民が運転できるようにする改革は優先事項である」と言及した。

ビクトリア州の交通安全大臣の報告では、医療大麻の処方は過去2年間で700%以上も増加しており、60万人以上が使用していることがわかっている。

大臣はさらに、「医療大麻が運転行動にどのような影響を与え、将来の改革に役立つかという課題への理解が深まる」と前向きな姿勢を示している。

 

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■規制改革の長い道のり

運転試験のデータを基に規制改革にこぎつけるまでは通常で約18ヶ月かかり、施行されるのは早くとも2025年以降と予測されている。

ビクトリア州の刑事司法担当者は、「医療大麻を使用して運転した多くの市民が裁判所に訪れ、免許や生活まで失う人が後を絶たない」と指摘する。

同時に、「医療大麻使用者にペナルティを科し、裁判によって規制改革の進展を遅らせるべきではない」とも主張している。現在、運転に支障のなかった医療大麻使用者の裁判については中止するようにと、オーストラリアの弁護士連盟が求めているところだ。

 

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■イギリスの運転ガイダンス

イギリスは、2018年に医療大麻の使用を合法にした。国土交通省は運転に関するガイダンスの発行に向け、医療大麻と交通安全の指導をまとめた報告書を発表。娯楽目的での大麻使用と比較して、医療目的では運転へのリスクは低いと記載している。

イギリスでは、一般的に運転に支障がある疾患は、運転免許庁への通知が義務付けられている。医療大麻使用のケースでは、てんかん発作が通知義務にあたるという。

現状では運転中に一定量のTHCが検出されれば有罪になるが、医師の証明があれば医療防衛が行使できるとしている。

豪ビクトリア州で医療大麻使用者の裁判続出 運転試験で規制改革を目指す