ニコニコ動画で、見る人が思わず空腹になるような"飯テロ"動画が話題だ。Twitter上では「いつも飯テロありがとう」「夜中に観てはいけない(戒め)」などの声が上がっている。

 その動画の投稿主である「クッキングSパパ」さんは50代会社員の男性で、料理歴は20年以上。豊富な経験に基づいた料理スキルの高さに定評がある人気投稿主だ。12月9日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)でも、クッキングSパパさんのオリジナルレシピが紹介された。


 今回、料理動画の裏話について本人に話を聞いてみた。

 動画ではプロ並みの料理を披露しているものの「アルバイトも含め調理経験はなく、仕事もメーカーで製品開発をしているエンジニアなので料理とは無縁」だと語る。オープンキッチンや魚屋さんの店先でプロの調理法を見て参考にするなど、基本的には独学。現在も動画サイトやテレビ番組を見て学び続けている。

生前の牛について教える焼肉店

 動画でのこだわりについて「出汁をイチから取るなど、通常よりも手間をかけて調理することで、映像を見ただけで"おいしそう"な様子が伝わるよう心がけています」と語る。

 肉をジュウジュウ焼く音や、鍋をグツグツ煮る音も、動画が飯テロになる理由のひとつ。撮影中は調理音以外が入らないよう気を遣っているそう。「カメラを回している間は窓を閉め、換気扇も止めるので、夏場はかなり暑く大変です。夕方になると隣の家の犬が吠えまくるので、犬が鳴き止むのを待たなければならず、これまた大変です」と意外な苦労があるようだ。

 しかしもっとも大変なのは、最後の食事場面だ。「完成シーンは2~3㎝まで寄ってどアップで撮影するので、手早くきれいに盛りつけます。その後の食事シーンは、視聴者に疑似体験で食べていただくという想定で撮っています。料理と自分の間に三脚とカメラがあり、しかも中腰というなかなかツラい体勢なのです」と裏話を教えてくれた。なかには完成シーンが美味しそうに撮影できず、ボツになった動画もあるそうだ。

 このように職人気質なクッキングSパパさんだが、「下ごしらえした材料を入れ忘れる失敗が多いです」という意外にお茶目な一面も。基本的には動画1本につき1レシピをを紹介しているものの、実際には3~4品を同時に作ることも多く、画面の外にいろいろな食材を置いているのが原因とのこと。

 2011年から現在まで約330本の動画を公開しているが、投稿のモチベーションを保ち続けられるのは視聴者からの反応が大きいから。「編集作業がとても大変なので、動画の再生回数や動画内・Twitter上でのコメントが本当に励みになります。そして何よりずっと応援し続けてくれている皆さんの存在は大きいです」とファン思いの様子が伝わってくる。

 クッキングSパパさんのレシピを真似する視聴者も多い。「Twitterなどでレシピを作った報告をもらえるのが一番うれしいです。動画通りに作るとかなり面倒なので、ダシガラスープの素や出汁の素を使うなど、適当に手を抜いて再現してもらえたら」とのこと。今後も週に1本ペースを維持しながら、目標の1,000本まで動画投稿を続けるつもりだ。

 今後は「苦手意識の強いパンやお菓子にも挑戦して、料理の幅を広げたいし、ネタを仕込んだニコ動らしい動画も作ってみたい」と意欲的なクッキングSパパさん。料理のテクニックを学びたい人や、"飯テロ"に遭いたい人は、参考にしてみてはいかがだろうか。

※画像はニコニコ動画から

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