ハイエースとは? ワンボックス王者の特徴もサイズも魅力まで5世代に渡って徹底解説!

この記事をまとめると

トヨタ・ハイエースについて詳しく解説

1967年に初代が登場し、現行型で5代目となる

■ビジネスユースで圧倒的な支持を集めている

ハイエースとは?

「商用ワンボックスバンといえばハイエース」と認識されるほどビジネスユースで圧倒的な支持を集めるハイエース。現行モデルとなる5代目200系)は2004年に登場し、長い年月を経ているものの販売力や商品力に衰えが見えません。

 ハイエースの魅力は数多くありますが、多彩なバリエーションを誇ることで商用車に求められる細かいニーズに対応していることが人気の秘訣なのでしょう。

トヨタ・ハイエースについて詳しく解説

 そんなハイエースは1967年に初代が登場。商用車でありながらトラックベースではなく、乗用車的な設計でワンボックスバンの新たなムーブメントを築きました。

 また3代目、4代目には乗用ラグジュアリーワゴンを設定。現在のアルファード/ヴェルファイアに通じるモデルが人気を集めています。

 現行モデルは商用バンをラインアップの中心に構成。国内はもとより世界各国で圧倒的な人気を誇るワンボックスバンとなりました。

ハイエースの歴史

初代(1967年)

 国内はもちろん海外でも人気を誇るハイエース。初代は1967年にデビューしています。

 当時の商用バンといえば、トラック用のシャシーをベースに開発されたものばかり。初代ハイエースはモノコックボディに前輪独立懸架式サスペンションを採用するなど、乗用車的な乗り心地とドライブフィールを実現していたことで人気車種となりました。

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 初代は商用車だけでなく5ナンバーのワゴンDXを投入。ワゴンは3列シートの9人乗りでしたが、4列シート12人乗りのコミューター、さらにホイールベースを延長した5列シート15人乗り車も追加されています。

 また1970年に行われたマイナーチェンジでスライドドア車を新たに採用。バン、ワゴンに続きトラックも追加されました。

2代目(1977年)

 初代登場から約9年後の1977年、2代目へとモデルチェンジを果たします。

 全長を35mm伸ばしたこともあり、商用車として重視される積載能力や使い勝手を向上。また安全性やワゴンの居住性なども進化していました。

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 デザインは初代を正常進化させたフォルムを採用。サイドウインドウなどに、当時としては珍しかったカーブドガラスを用いていたのが特徴といえるでしょう。

 2代目のバンは標準ボディ、ロングバン、スーパーロングバン、さらにトラック&ダブルキャブトラックやパネルバンなど多彩なボディを用意。

 5ナンバー車はワゴン、コミューター、ロングコミューター、スーパーロングコミューターがラインアップされています。

3代目(1982年)

 初代、2代目と人気を博したハイエースは1982年に3代目が登場。歴代モデルと比べてエクステリアデザインが一気に近代化されました。また先代までとは異なり、5ナンバーのワゴンに力が入れられたことも特徴です。

 そのワゴンにはアメ車風の上下二段角目ヘッドライトを採用。リヤサスペンションはバンに装備されているリーフスプリング式からコイルスプリング式4リンクを装着しました。

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 ただ商用車としての性能も重視。荷室を拡大し荷物や人の出入りをしやすくするため、スライドドア開口部も大きく拡幅されています。

 また歴代モデルに設定されていたトラックは2代目を継続販売ののち、1985年のマイナーチェンジでトラック系モデルと統合されました。

 バンおよびワゴンにパートタイム式4WD車を設定。ワゴンの最上級グレード「スーパーカスタムリミテッド」はパワーリクライニングシートやアームレスト付きデュアル回転対面シートなど、高級乗用車に搭載された豪華装備がふんだんに投入されています。

4代目(1989年)

 フラッシュサーフェス化されたボディが特徴の4代目がデビューしたのは1989年。歴代モデル同様に商用&乗用モデルまで幅広いボディバリエーションが用意されています。

 4代目は先代同様、乗用仕様のワゴンに力に入れられています。1999年のマイナーチェンジで初代セルシオが採用していたオプティトロンメーターを採用するなど、現在販売されているアルファードヴェルファイアを思わせるほど高級化が進みました。

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 また世の中がRV(レクリエーション・ヴィークル)ブームだったこともあり、特装車としてキャンピングカーの「クルージングキャビン」をラインアップ。大型バンパーやフォグランプを装備したRV仕様の「マイティ」も設定されています。

 とはいえ商用モデルの機能も向上。荷室幅やスライドドアの開口寸法を拡大し使い勝手も高められました。

ハイエースのサイズはどのくらい?

 現行モデルとなる5代目ハイエースは歴代モデル同様、幅広いボディバリエーションが用意されています。

 5代目ハイエースはワゴンに力が入れられていた3&4代目とは異なり商用車がメイン。その商用車は4ナンバーと1ナンバーが用意されボディ長やボディ幅、ルーフ形状など複数の仕様が設けられました。

 バンの全長は4695mmと4840mmのロングボディ、5380mmのスーパーロングボディをラインアップ。4ナンバー車の荷室空間ですらクラストップレベルの3mを確保しています。

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 またリヤホイールハウス左右間も先代とくらべ拡大。商用車に求められる実用性や使い勝手、荷載性などが向上しました。

 商用車として圧倒的な機能性と耐久性を有していることで国内はもちろん、世界中で高い人気を誇るモデルとなっています。

ハイエース ワゴンとは

 アルファード/ヴェルファイアなどミニバンが充実したことで現行モデルは商用車中心のラインアップとなりましたが、それでも乗用モデルを設定しています。

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ハイエース ワゴンのサイズ

 乗用モデルはワゴン(グランドキャビン含む)と2ナンバーのコミューターを用意。ワゴンは10人乗り、コミューターは14人乗りとなり、ともにフロア形状は標準でボディ幅はワイド。ハイルーフとミドルルーフを用意しました。

ハイエース ワゴンのタイプ別サイズ比較

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ハイエース バンとは

 4代目とは異なり商用モデルが中心となった現行モデル。ボディ幅やルーフ形状、フロア形状など多彩なバリエーションを誇ります。

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ハイエース バンのサイズ

 バンは大きくわけてスーパーGLとDXに分類。ボディ長はロングとスーパーロング、ボディ幅は標準とワイド、ルーフ形状は標準とミドル、さらにハイルーフを用意。ワゴンと異なりフロア形状が標準だけでなくタイヤハウスの張り出しがないジャストローを備え、定員は2/5人乗り、3人乗り、3/6/9人乗りなど多彩なバリエーションがラインアップされました。

ハイエース バンのタイプ別サイズ比較

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ハイエースの特徴や魅力

室内スペースが広く機能性抜群

 ハイエースといえば商用車として、機能性が高い室内空間を備えていることが特徴です。

 現行モデル(バン標準ボディ)の室内スペースを見ると荷室長は3000mm(スーパーロングは3540mm)。リヤシートを使用しているときでさえ1855mm、リヤシートを折りたたむと2470mmの荷室長となります。

 また荷室高は1320mm(ミドルルーフ:1390mm/ハイルーフ:1590mm)、荷室幅は1520〜1545mm(ワイドボディ:1705mm)。

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 バンのシート配列は1列シートの3人乗り、2列シートの2/5人乗りと3/6人乗り、3列シートの3/6/9人乗りがラインアップされています。

 またフロアも床面を低く抑えた標準フロアに加え、タイヤハウスの張り出しがないジャストローを用意。ジャストローは床が二重構造となっているため床下に収納スペースが設けられました。

事故に備えた最新技術が搭載

 商用車といえども安全性能が求められるようになったこともあり、ハイエースの先進安全装備も進化しています。

 2017年のマイナーチェンジで現行モデルはトヨタの衝突回避支援パッケージ”トヨタセーフティセンスP”を追加で装備。

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 衝突被害軽減ブレーキをはじめパノラミックモニター、パーキングサポートブレーキなど最新の安全デバイスには及ばないものの予防安全と衝突安全に関する多彩な機能が装備されました。

高出力かつ低燃費

 現行モデルに搭載されるパワーユニットはガソリンおよびディーゼルの直4エンジン。ガソリンエンジンは1TR-FE型2リッターおよび2TR-FE型2.7リッターの2タイプ。

 ディーゼルエンジンはデビュー当時、2KD-FTV型2.5リッター直噴ターボでしたが2017年のマイナーチェンジで1GD-FTV型2.8リッターコモンレール式ターボエンジンに変更されました。

 同エンジンは最高出力151馬力(111kW)、最大トルク30.6kgm(300Nm)を発揮。力強いパワーとトルクを発揮するだけでなく燃費性能も11〜12.5km/L(WLTCモード)と優れた性能を誇っています。

 またDPR(排ガス浄化装置)や尿素SCRシステムを備えたことで、クリーンな環境性能も合わせて実現しました。

スライドドア・スマートキー対応

 商用車メインの現行モデルではあるものの、快適装備も数多く用意されています。そのひとつがスマートエントリー。

 携帯していればドアハンドルのスイッチを押すだけでドアの解錠・施錠が可能。始動はブレーキを踏むだけでエンジンスイッチを押すだけでスタートできます。

 また、キーに装備したスイッチによるスライドドアの自動開閉も可能。そのスライドドアはイージークローザー付きのため軽い力で開けることが可能です。

シートアレンジの幅が広い

 商用モデルがメインとなった現行モデル。とはいえシートをゆったりと配置し、乗員の快適性にもこだわっています。

 商用モデルとなるバンのシートアレンジも多彩で、運転席&助手席を倒しくつろぐことができる“フロントフラット”。仕事の休憩中などに身体を横にして休むことができる“オールフラット”。積荷が多いときなどに便利な“リヤシート折りたたみ”などのアレンジを備えました。

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 そんなシートアレンジをしやすくしているのが折りたたみリヤシート。バンの2/5人乗りと3/6人乗りには固定具を使うことなく折りたたむことができるシートを配したことで、アレンジしやすくなっています。またリヤシートには折りたたみ機能に加え、スライド機能も装備しました。

盗難防止システム搭載

 現行モデルは国内外で高い人気を誇りますが、その影響はプラスのみではなくデメリットも。2007年から7年連続で盗難被害ワースト1のモデルとなってしまうほど自動車窃盗団からの人気も高めてしまったのです。

 もちろんトヨタも盗難に対して手をうたないわけではなく、2012年中期以降のモデルにはイモビライザーをはじめとする盗難防止装置が搭載されました。

 具体的にはエンジンの始動は正規キーのみで対応。スマートキーやワイヤレスキーによるワイヤレスロック/アンロックに連動して、自動的に盗難警報システムをオン・オフするオートアラームも装備しました。

まとめ

 知名度のわりに自動車メディアで取り上げる機会が少ないハイエース。あらためて深掘りするとビジネスユースで圧倒的な人気を誇るのがよくわかります。

 現行モデルは登場からすでにまもなく20年。次期モデルはBEVになるなどの噂が飛び交っていますが、いずれにしても商用バンに求められるニーズを徹底的に汲み取ったモデルになるのは間違いないでしょう。

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