日本臨床カンナビノド学会(事務局:東京都品川区)は、秋の学術集会を11月19日(日)10時00分からワテラスコモンホール(東京都千代田区)にて開催します。

これまでの本学会及び関係諸氏のご尽力により、アメリカFDAが大麻由来てんかん治療薬の承認、日本での国会にて大麻由来医薬品及び薬物治験が可能との答弁から、カンナビノイドの医療応用へ向けて治験が開始され、大きく前進しております。カンナビノイドの承認、適応拡大や、安全性確保のための体制構築に向けて専門家間での合意形成が求められ始めております。また、Cannabis and Cannabinoid Research誌がofficial journalとなり、本学術大会では、基礎、臨床、疫学、患者、行政、立法など多様性のある分野間でカンナビノイド臨床応用への現状と将来展望について議論が進むことを期待しております。

大会長 秋田定伯(本学会理事、福島県立大学特任教授、たまき青空病院 形成外科部長)

■プログラム (受付開始は 9:30 からになります)

10:00 大会長挨拶&基調講演
難治性脈管奇形における慢性疼痛治療・管理におけるカンナビノイドの可能性について
秋田定伯(本学会理事、福島県立大学特任教授、たまき青空病院 形成外科部長)

11:00
CBDの科学-大麻由来成分の最新エビデンス』出版記念講演(ZOOMオンライン講演)
カンナビノイド研究の父を偲ぶ:ラファエル・メシューラムとの四半世紀の共同研究
リンダ・パーカー(Linda A. Parker)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの名誉教授
著書『Cannabinoids and the Brain』『CBD: What does the science say?』(MIT Press)

12:00~13:00 昼食休憩

13:00
改正大麻法/麻向法に際して「理事長特別セッション
真に必要な患者に「大麻由来医薬品・大麻由来薬物・大麻由来食品」をお届けすることについて
秋野公造(参議院議員、福岡県選出、医師)
内科系学会社会保険連合(内保連)加盟申請状況報告 太組一朗(聖マリアンナ医科大学教授)

13:45  一般演題
カンナビノイドとペット治療:効果と応用の最新症例分析
茂木千恵(モンパニエ・動物臨床行動学研究室、獣医師・博士(獣医学))

14:15
2型カンナビノイド(CB2)受容体がもたらすもの:本当に「炎症に抗う受容体」なのか?
野崎千尋(早稲田大学理工学術院先進理工学部准教授)

14:45
LC-MSによるCBD製品の品質分析
井之上浩一(立命館大学大学院薬学研究科教授, 立命館大学スポーツ健康科学総合研究所)

15:15
「医療」と「嗜好」のあわい ー国内における市中大麻使用の実践の分析ー
生田和余(東京工業大学環境・社会理工学院社会・人間科学系社会・人間科学コース)

15:45 会員総会
16:00 懇親会 ワテラスコモンホールと同じフロアのカフェスペース
18:00

正会員・賛助会員(個人、法人)での参加の方は、2023年度(23年7月から24年6月)の年会費のお支払いが参加条件となっています。年会費の手続もあわせてお願いします。

また、非会員でも一般参加は可能です。下記から手続きをお願いします。

秋の学術集会 参加申込はこちら
http://cannabis.kenkyuukai.jp/event/event_detail.asp?id=63463

銀行振込参加はこちら 11月10日まで
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=141924






写真:海外ゲストのリンダ・パーカー(Linda A. Parker)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの名誉教授

<用語集>

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。

2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールdelta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。

(一社)日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2023年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2020年の時点で、全国作付面積7ha、大麻栽培者30名、大麻研究者450名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
現在、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された。

配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会

プレスリリース詳細へ

ドリームニューストップへ