AKB48を卒業した岡田奈々が、全曲の歌詞を自ら書き下ろしたソロデビューアルバム『Asymmetry』を、26歳の誕生日である11月7日に発売。本音が詰まった“ノンフィクション”の一作となっている。ソロシンガーとして本格的に動き始めた岡田に、グループ卒業後の近況や支え続けてくれるファンへの思いなどを聞いた。

【写真】岡田奈々にAKB48への思いも語ってもらった

AKB48卒業後は“人間らしい生活”に「カーテンを開けた」

――AKB48卒業から半年以上がたちました。岡田さんにとってどのような期間でしたか?

卒業してから人間らしい生活をしました。カーテンを開ける、車の免許を取る、鼻炎の手術をする…犬も飼ったんですよ。AKB48にいたころは、良い意味で多忙だったのでお休みがなかったんです。今は適度に休憩を取りながら活動できています。

――在籍中はカーテンを閉めていたんですか?

閉めていました。それまでは犬もいなかったし、部屋も汚くて、食べるものもいつもデリバリーを利用していました。今はカーテン開けて、自炊をして、洗濯物を干して、犬と遊んで。車も運転するようになったし、同期の卒業メンバーと会ったり、おばあちゃんに会ったり、友人に会ったりと、今までできなかったことを全部やっています。卒業間際は一番切羽詰まっていました。事務所の仕事とAKB48の仕事とのダブルワークになっていて大変でした。

――個人で活動されるようになって以降、変化を実感していることはありますか?

ファンクラブという、無理して自分を偽らずにいられる心のよりどころができたことがうれしいです。グループにいた時は、グループの先陣を切る責任も覚悟も必要でしたが、今はそのプレッシャーから解き放たれて、ファンの皆さんと一緒に楽しみつつ、プライベートも充実させながらある程度自由にお仕事をさせてもらっています。

■ソロになってファンとの距離に変化「どんどん絆が深まっている」

――今、岡田さんが一番楽しいのは何をしている時ですか?

アルバムを事前に予約してもらうと一緒におしゃべりができる、という特典会があるんですが、そこでファンの方とおしゃべりして、恋愛相談や上司の悪口を聞いたりするのが楽しいです(笑)。

私はファンの方とのコミュニケーションが一番好きだったんですが、コロナ禍で会う機会がなかなか持てなくなっていたんです。AKB48という大所帯ではなく、ソロだからこそできることが今はいっぱいあるので楽しいです。以前と比べたら話せる秒数も長いですし、内容もすごく濃くなったので、一人一人のお顔や名前もより覚えられて、どんどん絆が深まっているなと感じています。

――ファンへの思いを教えてください。

本当にありがたいです。週刊誌で炎上したこともありましたが、それを踏まえても「応援したい」と、私の歌を楽しみに待っていてくださる皆さんには本当に頭が上がりません。ファンの方のプレゼントやお手紙にもすごく支えられています。皆さんのためにも、応援していて悔いのない推しメンでいたいし、自慢できる推しメンを目指して、これからも作詞を続けて、歌を、メッセージを届け続けたいです。

――ファンの言葉で印象に残っていることはありますか?

「芸能界を辞めても好きだよ」という言葉は印象的でした。オタクの領域を越えてるというか、それくらい「人として好きだよ」と言ってもらえることも増えてうれしいです。アイドルじゃなくても会える機会を作ったり、曲を届けようとする姿勢に感謝してもらえるんですが、私の方が逆に感謝です。今でもついてきてくださる方とは本当に絆が生まれていると感じているので、その絆を絶対に壊さずに守り続けたいです。

■芸能界引退を考えたことも

――岡田さんの中では、AKB48卒業後にそのまま芸能界を引退するという選択肢もあったと思います。

もともとは芸能界を辞める予定でした。けど、私の歌にすごく感動してくれたある方が「願わくはステージに立ち続けて歌を歌ってほしい」と言ってくれたことで考えが変わりました。AKB48を卒業して、歌で頑張ってみようという決心がついたんです。

――今後は歌を中心に続けていくと。

歌を続けていきたいですし、ミュージカルにも興味があるので挑戦していきたいです。今は日本武道館に立つことが大きな目標で、ビルボードでディナーショーをやることも夢の一つです。海外ツアーも夢なので、海外にも行きたいと思っています。

■現在のAKB48への思い「いちファン」

――現在のAKB48に対してはどういう思いがありますか?

いちファンです。歌番組も見ているし、みんなが頑張っているのも知っているし、現役メンバーとご飯に行ってお話することもあります。AKB48って忙しいので心配なんですよ。多忙なみんなを少しでも癒してあげられたらいいなと思って、ご飯を奢ったり、お話を聞いたりしています。

――村山彩希さん、茂木忍さん、向井地美音さんとのYouTube「ゆうなぁもぎおんチャンネル」は、岡田さん卒業後も継続されていますよね。茂木さんも卒業を発表されましたが、今後はどうなるのでしょうか?

現役メンバーは2人しかいなくなってしまうので、今後どうなっていくかはまだ分からないんです。けど、今のところは継続していますね。(後日、同チャンネルで「YouTuberを卒業します」と発表)

――岡田さんにとって“ゆうなぁもぎおん”のメンバーとは?

AKB48とかグループとかを超えて、親友であり、仲間であり、家族であるのが“ゆうなぁもぎおん”です。どんなにつらい時も、どんなに自分がダメになってしまった時も、救い出してくれる存在で、温かい家族だと思っています。

◆取材・文=山田健史/ヘアメーク=清水恵美子(maroonbrand)、スタイリスト=高橋美咲(Sadalsuud)

岡田奈々/撮影:山田健史