関西発の10人組ティーンエイジャー演劇ユニット・神戸セーラーボーイズ。4月の結成以来、公演を重ねて進化途中の彼らは、11月17日(金)〜11月26日(日)に、戯曲 MANKAI STAGE『A3!』〜SPRING & SUMMER 2018〜の劇中劇を一部脚色した、神戸セーラーボーイズ 定期公演vol.1 『ロミオとジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』を上演する。そんなメンバーの魅力を掘り下げるべくスタートした、リレー形式で行う対談企画の第2弾。初回の明石侑成と石原月斗に続いては、クールな表情が抜群に似合う17歳の奥村頼斗と、いつも元気で笑顔を絶やさない14歳の崎元リストが登場。今回もお互いの第一印象や、『いろいろ ドルフェス2023』での初めての東京遠征の感想、演出の古谷大和に荒牧慶彦ら総勢21名の俳優陣をゲストに迎えたトークショーの実施も決定した次回公演や今後の目標についてなど、楽しく話してもらった。さらに、お互いの似顔絵を描く特別企画も。

奥村頼斗×崎元リスト

奥村頼斗×崎元リスト

リストはとにかく甘え上手(奥村)

ーー崎元くん、4月から身長何cm伸びましたか? 今日久しぶりにお会いして驚きました。

崎元:4月のお披露目会の時は157cmでした。半年で5cm伸びて、今は162cmくらいあると思います。

奥村:僕も久しぶりに会ってビックリしました。りゅうちゃん(髙橋龍ノ介)も夏の間にすごく伸びていて。

崎元:4月の頃は僕、細見奏仁くんより背が低かったんですよ。でも今は細見くんの身長を抜きました。

ーーどんどん成長しますね。お互いの第一印象はいかがでしたか?

崎元:僕はオーディションの時の印象が残っていて。自己紹介で「エントリーナンバー何番、奥村頼斗です」と言った時に「名前カッコよ!」と思いました。

奥村:僕はオーディションの時は緊張していて、あまり周りが見れてなかったんです。なので最初に10人集まった時の印象になりますが、リストはメガネをかけていたので大人しい穏やかな子なのかなと思っていました。でもいざ話してみたら、とにかく明るくて。

崎元:(明石)侑成くんに「メガネかけた元気な子」と言われています(笑)。お披露目会あたりで、頼斗くんが陸上部だと知って。僕も学校で足が速い方なので、「楽屋の廊下の端から端まで走って、どっちが速いか競争しよう」と僕が誘ったのですが、めちゃくちゃ負けました(笑)。もうぶっちぎりでした。

奥村頼斗×崎元リスト

奥村頼斗×崎元リスト

ーー陸上部ではどの種目をされているのですか?

奥村:専門はハードルで、短距離をしています。リストは甘え上手で、年上の(塚木)芭琉くんや侑成くんに結構ベタベタ甘えています。すごくコミュニケーション能力が高いです。1番大人な侑成くんに、リストも僕もみんな「甘える=いじっている」。侑成くんを中心に仲が深まった気がします。

ーーお披露目会から約半年経ちましたが、お互いの印象に変化はありましたか?

崎元:本当に変わりました。最初はあまり自分から話しているイメージがなかったので、「落ち着いた子やな。もっと話したいな」と思っていたのですが、今はとてもおもしろい。僕が一方的にボケるだけだったのが、拾ってくれるようになって、そこからまたボケてというリレーができるようになってきました。

奥村:ハハハ(笑)。リスト以外のみんなはほぼツッコミです(笑)。それぞれボケるんですけど、スタート地点はほとんどリスト。楽しくやっています。

ーー今の神戸セーラーボーイズの空気感はどんな感じですか。

奥村:家族……と言うと言い過ぎですけど、それくらい心を開いて自分を出せていて、団結力が高まってきました。

崎元:輪が広がった。最初は稽古の休憩時間になると、みんな端っこでスマホをいじっていたのですが、今は必ず誰かと誰かが話しているし、空気感がとても明るくなったと思います。

目指すはオールマイティなアーティスト&歌手

奥村頼斗

奥村頼斗

ーーそれぞれセーラーボーイズに応募したキッカケは?

崎元:僕は音楽が大好きなので、オーディションを知った時にめちゃくちゃ心惹かれて「やってみたい」と応募しました。

奥村:僕も元々歌とダンスが大好きなので応募しました。これまで舞台は関わったことが少なかったのですが、ネルケプランニングといえば2.5次元ミュージカル2.5次元ミュージカルといえばアニメや漫画のイメージがありました。でも神戸セーラーボーイズはそれとは少し違う新しいエンターテイメント。すごい経験をさせてもらっているなと思います。

ーーでは、神戸セーラーボーイズ在籍中に成し遂げたいことや夢は?

奥村:僕は良い役者さんやアーティストになるために、ダンスと歌と演技を伸ばしたいです。演技、合唱、ダンス、歌、全部オールマイティにできる人になりたいと思っています。

崎元:僕は人生の夢と、セーラーボーイズでの活動の目標を分けて考えています。この活動の目標としては、僕の役が今何を思っているのか、このシーンはどういうことを表現したいのか、ということが全部お客様に伝わるような俳優になりたいです。これから演技を磨いて、表現力を身に着けていきたい。人生の目標の最高到達地点は歌手になることです。

「胸を張ってガツンといっていいんや」と実感できた(崎元)

崎元リスト

崎元リスト

ーーこれまでの公演で得られたことはありますか?

崎元:1番大きいのは、たくさんのお客様の前で演技をしたり、立ち振る舞いに気を配ったりする経験です。今はまだお客様に観られていることが少し恥ずかしくて。だから緊張が生まれているんだと自覚しているので、「観てくれているんだ」という考え方に変えられるよう努力中です。

奥村:僕は初めて舞台で演技をしたのが8月公演でした。大勢の方がいる中で舞台に立つと、どうしてもうまく自分をコントロールできないことがあって、表情の作り方が難しかったです。とにかく一番の基礎となる表情と立ち方を習得したいですね。

ーー8月公演のあとは、9月末に東京で行われた『いろいろ ドルフェス2023』に出演されていました。(レポートはこちら

奥村:たくさんの先輩方がおられて、いつもとは違った空気感のイベントで刺激をもらいました。リードしていただいていたらテンションが上がって、ステージに立ちたくて堪らない感覚になりました。本当に歌っていてずっと楽しかったです。

崎元:逆に僕は不安でした。神戸セーラーボーイズの公演は、僕たちのことが気になって来てくださる方がほとんどですが、『ドルフェス』は他の先輩方のファンの方もいる。なので、いつもみたいに「よっしゃかますぜ」みたいなテンションではなく、「楽しませないと、盛り上げないと」ということで頭がいっぱいになりました。でも先輩たちのステージを観て、少し安心しました。いざステージに出てみたら皆さんペンライトを振って応援してくれて。「胸を張ってガツンといっていいんや」と実感できたような気がします。今まで緊張していましたが、次からは胸を張ってできそう。ほんとに良い経験だったなと思います。

サブリーダーは皆のテンションを上げる人(崎元)

奥村頼斗×崎元リスト

奥村頼斗×崎元リスト

ーー崎元くんはサブリーダーですよね。どんなことをしているのですか?

崎元:お披露目会後に任命されてから、「サブリーダーとリーダーは何が違うんやろ」と正解か分からなくて不安で。リーダーの(中川)月碧くんには皆をまとめるとか、皆の士気を上げるとか、役割があるじゃないですか。サブリーダーは責任感があるけど、リーダーを支えるだけじゃメンバーを支えられないし、どうしたらいいんやろうと悩んでいました。最近ようやく「サブリーダーは皆のテンションを上げる人なんだ」と役割を見つけられたんです。サブリーダーに選んでもらえて良かったなと思っています。

ーー奥村くんから見るサブリーダーの活躍はどうですか?

奥村:落ち着いたしっかり者の月碧と、皆を盛り上げて場を明るくしてくれるリスト。その2人がリーダーとサブリーダーでいてくれてとても過ごしやすいです。

ーーセーラーボーイズでの奥村くんの立ち位置は?

奥村:僕はリストと比べると静かです。明るすぎる雰囲気を僕で中和しているかなと思っています。

崎元:僕は静かな空気だと「やばい、盛り上げないと」とでしゃばって、度を越しちゃう時があるんですよね。でも頼斗くんが僕を制御してくれます。とても助かっています。

奥村:いやあ(照)。中学生のブルーチームは全体的に盛り上がり過ぎてしまうことがあるんですよね。それを僕が個人的にというより、僕たち高校生のブラウンチームが「ちょっとちょっと」と落ち着かせています。

ーーそうなのですね。次のリレー対談にはそんな中学生組の髙橋龍ノ介くんと田中幸真くんが登場してくれます。

奥村:自分も子供なので偉そうに言えないですけど、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。僕の弟もそのくらいの年ですが、ほんまに幼くて。リストは甘え上手で可愛い部分がある中でも大人っぽくなってきた感じがあるけど、りゅうちゃんはまだほわほわしている。いてくれるとすごく場が和む。幸真は中3でりゅうちゃんとリストの1個上やのに、結構大人。自分も年齢のギャップを感じない、ほんとに同い年くらいの感覚で話せるしっかり者ですね。

崎元:『Boys×Voice 308』(8月に行われたセミフィクション公演)でも「子供だもん」というセリフがあったんですけど、僕と同い年のはずやのに、りゅうちゃんはめちゃくちゃ子供っぽい(笑)。何をしても可愛いんですよね。どんな写真を撮ってもどんな行動をしても可愛い。そこは尊敬する部分でもある。いてくれるだけで幸せになれるし癒される。セーラーボーイズに欠かせない存在だと思います。幸真くんは万能。何でもできる。歌も演技もダンスも勉強もできて尊敬しています。もう30歳くらい年の差があるんじゃないかと思うくらいすごい。僕のテンションが上がりすぎて「うっへっへー」となった時、たまに幸真くんも止めてくれる。僕からするとほとんどブラウンチームみたいな印象ですね。頼りがいがある。

奥村:でも幸真は、芭琉くんにはずっと前から甘えています。『ドルフェス』の時は、僕にも甘えてくる一面を見れてビックリしました。しっかりしているけど可愛いところもある。ギャップですね。

崎元:最高の2人です!

1人の役者として高い壁を乗り越えていきたい(奥村)

奥村頼斗×崎元リスト

奥村頼斗×崎元リスト

ーー次の定期公演ではMANKAI STAGE『A3!』の劇中劇ロミオジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』を上演されます。おふたりとも『ロミオジュリアス』に出演されるということですが、MANKAI STAGE『A3!』~SPRING & SUMMER 2018は観られましたか?

崎元・奥村:観ました!

ーー「セミフィクション公演」として、それぞれ奥田頼、崎フランツという等身大のご自身を投影した役として、ティボルトとロレンス神父を演じられます。オリジナルを観られてからだとより役作りが難しそうな気がします。

崎元:今は「どうやればいいんだろう」と模索中です。崎フランツという役の分析もまだできてない部分があるのに、さらにロレンス神父というもう1個上の段階のキャラを分析して演じるとなったら、プレッシャーと責任感と緊張がグワっと来ます。

奥村:A3!』さんのキャラクターを奥田頼役で演じるので、今までやってきたセミフィクションの自分たちも磨かないといけない。そこは難関というか、ひとつの壁になるのかなと思います。

ーー次回公演に向けた意気込みをお願いします。

崎元:今回は劇中劇で2人分の役を演じるということで、めちゃくちゃ難しい。でもこれを乗り越えたらどんな景色が待ってるんやろうとすごく楽しみなので、不安もあるけど、好奇心をバネに良い舞台を作り上げていきたいです。

奥村:僕たちは、最初はぎこちなかったので可愛いとかフレッシュのイメージが大きかったと思います。ですが、結成から半年以上経つし、公演も次で3回目なので、ちょっとずつレベルを上げて、1人の役者としてレベルアップして、堂々とした姿でお客さんに感動や変化も見てもらえるようにしたいです。さっきリストが言ったように2役は難しいし、とても高い壁ですが、乗り越えていきたいです。

奥村頼斗×崎元リスト

奥村頼斗×崎元リスト

終始笑顔でハキハキとインタビューに答えてくれた奥村と崎元。数々の経験を通して自信がついたのか、心なしか顔つきがりりしくなったように感じられた。似顔絵は「えー難しい」と言いながらもサクサク筆を進めるふたり。実に成長がめまぐるしい彼ら。11月公演ではどんな姿を見せてくれるのだろう。

次回対談は髙橋龍ノ介&田中幸真ペアの予定。お楽しみに!

取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希

左から奥村頼斗、崎元リスト 撮影=高村直希