10月16日よりABEMAにて放送中の恋愛番組『今日、好きになりました。台北編』(以下:今日好き)。現役高校生たちが2泊3日の修学旅行に飛び出し、運命の恋を見つける同番組には、時に甘酸っぱく、思わず胸がキュンとするような青春と恋模様が溢れんばかりに詰まっている。

参考:【写真】ゆあんの“オーバーキル”にショックを受けるしゅうま

 以下より、11月6日公開の4話から見どころを紐解いていく。細かなネタバレもあるためご注意いただきたい。

しゅうま、ゆあんとのカップル成立は可能性ゼロ?「なんかさ、友だち感あるじゃん」

 激動の『今日好き』。激動の『台北編』。さすがに今回ばかりは、これほど仰々しい書き出しになっても許してもらえるだろうか。『台北編』2日目の夜は、『今日好き』史上でも類を見ない、ピリついた雰囲気が流れる時間となった。

 その理由は、ゆあんからしゅうま(呉愁真)に対して放たれた、辛辣に感じてしまうかもしれない一言。彼女にとって、しゅうまは話していて安心感もあり、楽しい時間をともにできる存在。ただ、それだけで進展があるのが『今日好き』の恋ではない。友だち感のあるカップルも間違いではないが、それは恋人としてドキドキする関係性が長続きした先にあるものだと指摘する。その条件を踏まえて考えると、ゆあんが恋愛感情を抱くのは、第一印象から気になっていたひろむ(富口大夢)であり、しゅうまへの想いはあくまでも“友情”。そうした感情が一言に凝縮されたのがこちらである。「なんかさ、友だち感あるじゃん」。

 おそらく、最終告白までの時間が限られていたことに、ゆあんも焦りや不安を感じ、少しだけ人に当たってしまった節もあるのかもしれない。あくまでもいまは、ひろむに対する想いが強いと強調した一方、しゅうまには「もっとドキドキしたら変わるんだろうな」と、まだアピールが足りないことを指摘する。しゅうまの立場から考えれば、可能な限りで2ショットに誘い、何度も言葉を投げかけてきたわけだが、どうしても埋まらないひろむとの差。あまりに高すぎる壁に、次第に表情が曇るのも無理はない。同じ状況に陥れば、誰だって彼と同じく、潤んだ瞳になってしまうはずである。

 とはいえ「もっとドキドキしたら変わるんだろうな」という発言は、ゆあんから与えられたヒントとも捉えられる。さらなる愛の言葉を投げかければよいのか。はたまた、しゅうまの特技である音楽や、あるいは別の角度から切り込んでアピールをすればよいのか。

 ゆあんはあくまで、自身が“ワガママ”を言っていることを自覚していたが、しゅうまにとっては“仰せのままに”と、初日時点でこの条件はすでに了承済みなところ。意中の相手に〈baby Don't test me〉なんて歌詞を書いた楽曲もこの世にはたくさんあるが、しゅうまならこの“課題”を乗り越えられるはず。2日目夜は、今後に向けた“アピール作戦会議”のために寝不足も避けられないか。

・“友だち感”に対する不安が周囲に伝播 スタジオから「崩れ落ちていく感覚」の声も

 ……なんて考えているうちが、まだ気楽なものだった。明日の作戦会議なぞ、考えている余裕もない。そのまま、ゆあんがひろむを誘い、2ショットで席を外すダブルパンチも重なり、一人残されたしゅうまは放心状態。掛けていたハシゴを外され、成す術がないと無表情になってしまった顔に書いてある。

 顔の前に両手で三角形を作り、そこに顎を乗せると、足を大きく開いてそのまま硬直。テーブルの下に映るNIKEのロゴが、まさかあれほど鮮明に確認できるくらい静止するとは。すると、言葉が出ないまま呆然としているかと思えば、しゅうまの瞳から自然と涙が溢れてきた。

 一言でいえば、ゆあんの“オーバーキル”。しかも2ショットではなく、ほかメンバーに囲まれている環境でのこと。さすがに、しゅうまを放っておけなかったのだろう。この後、わつらふ(吉沢わつらふ)×あみ(大竹愛美)を除き、残された全員でしゅうまの“励まし会”が開かれる。なかでも、たかと(矢口昂歩)はハンカチを取り出し、しゅうまの涙を拾おうとしたり、「大丈夫。最後とかさ、ドキドキさせてあげようよ」と、彼の肩をさすりながら、ゆあんの要望に応えようとポジティブに励ましたり。たかとがなぜ今回の旅でモテないのかが不思議に思えてくるが、“友だち感”でない本物の“友情”を確認できる場面もあった。

 悪い流れはここから。今度は、めいり(永松芽麗)がたかとに対して「話せば話すほどなんか、友だち感も出てきちゃう」と本音を打ち明けると、たかとも「う~ん」と返す言葉がない様子。さらには、もはやカップル成立を我々が信じて疑わないきせき(林奇跡)×わか(吉田羽花)ですら「大丈夫? 友だち感ない?」と、杞憂な確認をするまでに。スタジオの“恋愛見届け人”を務める中川大輔から「崩れ落ちていく感覚が」、大友花恋からも「正直者が多すぎるな」と、さすがに気遣いが必要なこの状況を俯瞰するコメントが見られた。

 ここまで文字で書き起こすと淡白なやりとりに思えるかもしれないが、その場合は実際に見逃し配信を視聴してみてほしい。あえて砕けた表現を選べば、空気が死んで、死にまくっている……。

 これほどまでに救いどころの少ない『今日好き』を観たことがないといっても、誇張ではないかもしれない。しゅうま×ゆあんから始まった流れが、ほかメンバーに伝播していき、最後にはそれが再びしゅうまを苦しめてしまう。激動の『今日好き』。激動の『台北編』。冒頭に記した言葉に嘘はない。ここから最終日の朝、笑顔で登場できるメンバーが何名いるものだろうか。

 “友だち感”。その何気なくも、口に出してしまったら、なにも成す術がなくなってしまう言葉から始まった『台北編』の悲劇。それでも最後、少しだけ救われることができたのは、井上裕介(NON STYLE)による最高のフォローがあったからだろう。

 しゅうまも、たかとも決して「ダメだったんだっていう感情にならないでほしい」と。友情がベースにあってこその恋愛。友だちという土壌があってこそ、恋の花が咲くもの。そもそも土壌が整っていなければ、そこからの発展はない。追い求めている恋を掴む上で、それぞれの努力や方向性は決して間違っていないと後押しをしてくれた。“今日好きのパパ”は、やはり信頼のパパでしかなかった。

(文=一条皓太)

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