川崎は1999年ドラフト組最後の現役選手となった(C)Getty Images

 四国アイランドリーグplusの愛媛は6日、正田樹投手兼投手コーチが今季限りで現役引退すると発表した。正田は桐生第一高のエースとして1999年夏の甲子園大会で優勝に導いた。同年秋のドラフト1巡目指名で日本ハムに入団。その後、阪神や台湾プロ野球・興農、BCリーグ・新潟、ヤクルト、台湾・ラミゴと渡り歩き、愛媛には2014年から所属していた。

【関連記事】1位は広島? 阿部巨人、立浪竜は? ドラフト巧者はどの球団? ベテラン記者が指名をズバリ採点【セ・リーグ編】

 NPBでの通算成績は123試合(79先発)で25勝38敗4ホールド防御率4・70だった。高卒新人ながら、1年目の2000年から一軍デビュー。3年目の2002年には23試合で9勝11敗、防御率3・45、5完投2完封という数字を残し、パ・リーグの新人王に輝いた。飛躍が期待された翌2003年は26試合に先発したが、5勝でリーグワーストの15敗、防御率5・78。春季キャンプで左肩を痛めた影響が響き、これを境にかつての投球を取り戻すことはできず、終わってみれば20歳で過ごした3年目のシーズンがキャリアハイとなった。

 11日には古巣であり、愛媛・松山で秋季キャンプ中のヤクルトと練習試合を行い、それを引退試合とする。さらに正田はヤクルトの二軍投手コーチに就任すると7日に球団発表があった。

 個性派ぞろいだった1999年ドラフト組。その最後の現役投手がユニホームを脱ぐことを決断した。当時はドラフト2巡目まで逆指名が認められていた。逆指名では13選手が入団。1巡目では阪神へ九州共立大・的場寛壱、ロッテへ日本通運・高橋薫、オリックス三菱自動車岡崎・山口和男、巨人へ東芝・高橋尚成ダイエー立命館大・田中総司が進んだ。

 また2巡目では、1巡目の5人を上回る8選手が入団。阪神が日大・吉野誠、広島が日本通運・木村一喜、ヤクルトが早大・藤井秀悟ロッテが東芝・清水直行、横浜が明大・木塚敦志オリックス立命館大・葛城育郎、巨人が田村コピー・谷浩弥、ダイエーが日本通運・広田庄司を獲得した。

 指名競合によるクジ引きは2回。1巡目指名で国学院久我山・河内貴哉を巡り、広島、近鉄、中日の3球団が入札。広島が交渉権を獲得した。2巡目指名では東福岡・田中賢介を巡って日本ハム、西武、中日の3球団が競合。こちらは日本ハムが交渉権を引き当てた。

 下位指名から花開いた出世頭は、近鉄5巡目指名だった堀越・岩隈久志だ。甲子園出場経験はなかったが、恵まれた体格を評価された。2年目の2001年に頭角を現すと、後半戦は活躍し日本シリーズ第2戦に先発するまでに。翌年以降先発ローテーションに定着して、メジャーリーグマリナーズでも長く活躍。日米通算170勝を挙げる大投手へと成長を遂げた。

 投手では正田が最後の現役選手だった。では最後に残る唯一の現役野手とは。もう一人の下位指名からの成長株、ダイエー4巡目指名で入団した鹿児島工・川崎宗則がその人だ。

 2年目の2001年に1試合だけ、一軍デビュー。4年目の2003年に1軍定着し日本一に貢献すると、2004年以降は不動の遊撃手へ成長した。その後は岩隈と同じく、マリナーズでもプレーするなど、メジャーリーグでも活躍。2017年の古巣ソフトバンク復帰後は、台湾・味然を経て、現在はBCリーグ・栃木でプレー。今季は43試合に出場し、打率・269、12打点、8盗塁の成績を残した。

 上位も下位も個性派揃い。巨人・高橋尚成日本ハム田中賢介ら、他にも海を渡りメジャープレーした選手もいる。そんな76選手が指名された1999年ドラフト組。最後の現役選手となった川崎には、1日でも長く元気なユニホーム姿をみせ、躍動してほしい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

99年ドラフト1巡目の愛媛・正田樹が現役引退へ、いよいよ99年ドラフト組最後の現役選手になった下位指名からの成長株とは?