サウジ・プロフェッショナルリーグSPL)のアル・アハリ・サウジに所属するブラジル代表FWロベルト・フィルミーノが、リヴァプール時代を回想した。8日、イギリス紙『デイリー・メール』が同選手の著書内での告白を伝えている。

 今夏にリヴァプールを退団し、新たにアル・アハリ・サウジへと加入したフィルミーノ。新天地では背番号「10」を背負い、ここまでリーグ戦11試合に出場し、3ゴール2アシストをマークしている同選手が、9日に発売される著書の中でリヴァプール時代を振り返っている。

 フィルミーノは、リヴァプールプレミアリーグを制した2019-2020シーズンについて、「僕はブラジル代表でコパ・アメリカを優勝したばかりで、キャリアの全盛期を迎えてプレシーズンに臨んだ」と自身にとってベストな状態であったと回想。「(リーグ戦)27試合で26勝した時点で、タイトル獲得は時間の問題であることは明らかだったし、目標は完全に変わっていた。リーグ無敗優勝という目標だ。結局のところ、毎週勝利に次ぐ勝利で、そのゴールラインは減速する気配も意思もなく近づいていた」とシーズン中盤戦まで圧倒的な強さを見せつけていた当時の心境を明かした。

 しかし、チャンピオンズリーグ(CL)でアトレティコ・マドリードに敗れたことをきっかけに、快進撃はストップしてしまう。プレミアリーグでもワトフォードに0-3の敗戦を喫し、プレミアリーグ18連勝と44試合無敗記録が途絶えると、FAカップでもチェルシーに敗れて敗退。フィルミーノは当時の胸の内を、「悲痛な思いだった。正直なところ、すべてを勝ち取るチームだったし、完璧なチーム、完璧なコンビネーションだった。完璧なシーズンだったはずだ。しかし、それは消えてしまった」と表現している。

 そんななか、「そして、ほとんど一夜にして、その全部が些細なことに感じられるようになった。すべてが変わった2020年3月、僕たちは決して忘れることはないだろう。多くの人が家族や愛する人を失った」と新型コロナウイルスによるパンデミックについても言及。「リーグ自体を中止しようという話まで出て、僕は不安になった。想像できるかい?僕たちは並外れた壮大なシーズンを送ってきたのに、彼らは僕たちのタイトルを否定しようとしていたんだよ?」と大きな不安を抱えていたことを打ち明けた。

 最終的には、プレミアリーグ再開から1週間を待たずしてタイトル獲得を決めたリヴァプールだったが、その後に続いた無観客試合について、「アンフィールドが、ただの芝生とコンクリートになっていた。パンデミックの間、ファンなしでプレーすることでより苦しんだチームもあれば、そうでないチームもあった。僕たちはサポーターなしで誰よりも苦しんだ。観客なしでサッカーをするのは恐ろしいことだ。ファンのためにプレーし、ファンのためにパフォーマンスし、ファンに喜びを与えたい。彼らがいなければ、興奮も感動もない」と述べている。

リヴァプール時代を振り返ったフィルミーノ [写真]=Getty Images