日本の高齢者の生活を支える「老齢年金」。いろいろとプラスαでもらえるものがありますが、待っていればもらえるものではなく、基本的に申請しないといけません。知らず知らずに「もらい忘れ」になっているかもしれない、プラスαでもらえる年金についてみていきます。

インフレ、増税、社会保障費増額…年金生活者を襲う受難

収入を得る手段が限られる高齢者。インフレは一大事です。

総務省統計局『小売物価統計調査(2023年9月)』によると、食パン(1kg)の全国平均価格は511円。前年同月477円より34円、一昨年同月413円よりも98円の値上げとなりました。

牛乳(紙容器入り、1000mL入り)の全国平均価格は253円。昨年10~11月に20円近く一気に値上げとなり、前年同月は212円。さらに今年6~7月に20円ほど値上げとなり、現在に至ります。

しょう油(本醸造こいくちしょうゆJAS規格品・特級ポリ容器入り、1L入り)の全国平均価格は319円。昨年同月は286円で、今年3~4月に30円近く値上げとなっています。

そろそろ冬を前に、家庭の光熱費が気になる季節。電気代は政府の補助延長が決まり、価格は以前ほど高い印象はありませんが、問題は特に雪国では気になる灯油代(灯油18L)。全国平均価格は2,224円。国際情勢の不安定感が増すなか、上昇傾向&高止まりは続き、前年同月は2,057円、一昨年同月1,761円と、冬の家計を圧迫し続けています。

令和5年度、国民年金が満額支給だった場合に受け取れる年金額は年間79万5,000円、1ヵ月に6万6,250円。自営業やフリーランスなど、厚生年金保険への加入実績のない人は、これが老後生活のベース。人並程度の貯蓄があったとしても、先々への不安は図り知れません。

年金生活者を襲うのは、物価高だけではありません。増税や社会保障費の増額は、少子高齢化が加速し、財源が厳しくなっていく日本において既定路線といえます。

そのなかで高齢者ができる対策といえば、大きく、①資産運用をして収入を増やす ②節約をして支出を減らす ③働いて給与収入を得る の3つ。ただ①については、生活を豊かにするくらいの収入にするには、そもそも元手がとてつもなく巨額か、かなりのリスクを取らないと難しく、③についても選択肢は限られるうえ、そもそも働くには体が……という場合も。

そうなると高齢者には、節約を重ねることぐらいしか難局を乗り越える方法はなさそうです。

生活苦の高齢者…「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いているかも

生活に余裕がなく、1,000円でも、2,000円でも多くの年金がもらえたら……という高齢者。そこに届いているかもしれないのが「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」。

「あーなんか届いていたかもしれないけど、よく分からないから、どこかにいっちゃったよ」

そういう人も多いようです。しかし、このはがきに対し、何もリアクションをしていないと、随分ともったいないことになります。

「年金生活者支援給付金消費税率引き上げ分を活用した制度で、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するために年金に上乗せして支給されます。

支給要件は以下の①~③すべてを満たしている人。

①65歳以上で、老齢基礎年金を受けている

②請求する人の世帯全員の市町村民税が非課税

③前年の年金収入金額とその他の所得の合計が87万8,900円以下

保険料納付済期間等に応じて算出され、①と②の合計が給付額となります。

①保険料納付済期間に基づく額(月額)=5,140円×保険料納付済期間÷480ヵ月

②保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1,041円×保険料免除期間÷480ヵ月

「20~60歳までの40年間、国民年金保険料をしっかりと払いました」という人なら月5,140円が上乗せ。また「保険料の納付は35年(420ヵ月)、全額免除月数が60ヵ月」の場合は、①4,498円 ②1,380円 となり、月5,878円の上乗せとなります。

該当する人には「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が毎年9月1日から順次送付となり、必要事項を記入のうえ返送すればOK。また支給要件に該当するか確認できない人には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と所得情報を確認するための「所得状況届等」が送られてきます。

気を付けたいのが、請求書の返送のタイミング。令和6年1月4日までに届くように提出すれば、令和5年10月分から年金生活者支援給付金が支払われますが、それ以降になると請求した月の翌月分からの支払いになります。つまり〈1月4日期限〉→〈1月5日提出〉となったら……4ヵ月分、年金をもらい損ねることになるのです。

ちなみに、一度請求を行い、引き続き、給付要件に当てはまる場合は、翌年以降の手続きは不要。一度、要件から外れ、再び、給付要件に該当するようになったら、再度、手続きを行えば、給付されるようになります。

月々5,000円、1年で6万円ほど年金にプラスαとなる「年金生活者支援給付金」。「せっかくもらえるお金だったのに」と年金のもらい損ねて、涙……そのようなことにならないよう、いま一度、郵便物の束を探し、期限までに提出しましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)