青森県出身であり、国際的に活躍する美術家・奈良美智の展覧会「奈良美智: The Beginning Place ここから」が、青森県立美術館にて開催中。同館では、話題を呼んだ前回の「君や 僕に ちょっと似ている」展(2012〜2013年)から約10年ぶりの個展となる。

孤独にたたずむ鋭い眼差しの子どもの絵画や、どこか哀しげな犬の立体作品など、国や世代を超えて多くの人々の心をとらえてきた奈良美智。東日本大震災後は、自らがよって立つ地盤を確かめるように、たびたび過去に意識を向けて制作してきた。
本展では、感性の起源(はじまりの場所)へと至る「一本の幹」を探り当てるべく設けられた5つのテーマで構成。近年の作品とともに学生時代にまでさかのぼる数々の作品が公開されている。

たとえばテーマのひとつ「家」では、作品にしばしば現れる「家」のモチーフの意味を、初期の作品の変遷をたどりながら考察。「積層の時空」では、近年の絵画作品やドローイング等を通じて奈良作品におけるレイヤー(積層)の重要性を浮き彫りに、また「NO WAR」では「反戦」のテーマと音楽の関係性や、社会に浸透する奈良作品の力について考える。

奈良美智『Merry-Go-Round』 1987年、アクリル絵具・キャンバス、130.3×130.3cm、個人蔵 ©Yoshitomo Nara

奈良美智『Hazy Humid Day』 2021年、アクリル絵具・キャンバス、220×195cm、作家蔵 ©Yoshitomo Nara

タイトルの「The Beginning Place」は、奈良にとって創造の「はじまりの場所」としての「故郷」を示唆するとともに、奈良の作品との出会いが生み出す「はじまりの場所」を意味するのだという。作品を通して過去と現在を行き来しながら、美術館の外に続く作家の郷里の風景へと、この展覧会を通じた体験が訪れる人にとって希望をはらんだ「はじまりの場所」となるだろう。会期は2024年2月25日(日)まで。

奈良美智『Ennui Head』2022年、ウレタン塗装・アルミニウム、243×257×149cm、作家蔵 ©Yoshitomo Nara

※掲載情報は11月8日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「奈良美智: The Beginning Place ここから」
会期/2023年10月14日(土)〜2024年2月25日(日)
会場/青森県美術館
住所青森県青森市安田近野185
時間/9:30〜17:00(入館は16:30まで)※11月18日(土)、12月9日(土)、2024年1月20日(土)、2月17日(土)はナイトミュージアムにつき20:00まで開館(入館は19:30まで)
入場料/一般1,500円、高大生1,000円、小中学生無料※心身に障がいがある方と付添者1名は無料
休館日/11月13日(月)、27日(月)、12月11日(月)、25日(月)-2024年1月1日(月・元日)、9日(火)、22日(月)、2月13日(火)
URL/www.aomori-museum.jp/schedule/11901/

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