厳罰化以降も「あおり運転」は、未だ絶えず続いています。加害者はどのような心境でほかのドライバーをあおっているのでしょうか。

ちょっとしたことでカッなる人は要注意?

2020年6月30日に施行された改正道路交通法で、あおり運転行為に厳しい罰則が科されるようになりました。しかし、2023年現在もあおり運転による被害が全国で報告されています。では、あおり運転の加害者の心理には、どのような傾向があるのでしょうか。発生しやすい時期にも特徴があるようです。

警察庁2018、2019年に摘発した悪質な「あおり運転」計133件を分析したところ、曜日別では土日の発生が39.1%と多かったという結果が出ています。土日は出掛ける人が多くて道路が混雑しやすいうえ、なかには運転に不慣れなドライバーもいることからあおり運転が発生しやすいというのも一理あるでしょう。

あおり運転をすることになる心理状態ですが、この件に関しては、「弁護士ドットコム」が2023年3月に1325名の会員を対象としたアンケート結果を公表しています。それによると、「車間距離を詰める」などのあおり運転をした経験がある人は22.8%で、「前の車のスピードが遅かった」が58.7%で、「急な車線変更で前に割り込まれた」27.2%がそれに続きます。

運転を指導するためにあおった!?

具体的な理由に関しても、「相手が危険な割り込みをして来たため、指導するために追いかけた」「加害者ではあるが、同時に被害者でもある。急なハンドル操作は“あおり運転”に見なされる。事故を未然に防げただけありがたいと思えとさえ言いたい」「合流車線から来た車がこちらを見ずに合流してきたため、急ブレーキと急ハンドルでかわした。こちらを気にする素振りもなく走行していたため、頭に血が上りあおり運転をしてしまった」といった状況で、ついカッなって、あおってしまう傾向が強いようです。

驚くべきは、この調査はあおり運転が厳罰化されて以降の2023年3月1日3月7日に行ったものにも関わらず、あおり運転をした人に「あおり運転をしたことについて、後悔していますか」という質問をした結果、実に43.5%もの人々が「後悔していない」と答えていることです。「“あおり運転”されるほうが悪いことが多い。早く進まないのであれば後ろに道を譲るべきだ」といった意見もあります。

このほか、チューリッヒ保険会社がおこなったあおり運転に関するアンケート調査では、加害者のクルマは「セダン」が33.5%、「バン・トラック」が18.3%と上位を占めており、被害者のクルマは、「軽自動車」が28.8%、「コンパクトカー・ハッチバック」が22.8%など、比較的小さいクルマが多くを占めています。

あおり運転に遭遇する可能性をさけるには、相手が自分勝手な行動をしているだけに、不本意ではありますが、「慌てて急な進路を変更する」「前のクルマとの車間距離に気を付ける」などを心掛ける必要はあるかもしれません。

イライラしてクラクションを鳴らそうとするイメージ(画像:写真AC)。