不動産投資の最大リスクである「空室リスク」。不動産投資は入居者から回収する家賃が収入源のため、空室期間が長引いてしまうと資金繰りが上手くいかなくなる可能性が高まります。そこで本記事では、不動産投資家のアユカワタカヲ氏による著書『1000年使える不動産投資最強成功術 失敗しない人だけが知っている不動産経営の定番』から、空室リスクの解消法について解説します。

プロがやっている空室解消法

不動産投資の最大のリスク、それは空室リスクです。しかし、空室は必ず起きるものですし、空室さえ埋めることができれば不動産投資はうまくいくともいえます。ですから空室を埋めるテクニックを身につけましょう。ステップは3段階あります。

STEP1:コミュニケーション強化

物件を管理する場合、2パターンの方法があります。「自主管理」と「賃貸管理会社委託」の2種類です。全部自分でやるのが、自主管理です。家賃をもらうのも、家賃の支払いを催促するのも、入居者とオーナーであるあなたが直接話しをするのが自主管理です。逆にそれらの面倒な仕事を全部プロに任せてしまうのが、賃貸管理会社委託です。

どちらの場合も空室解消するには、客付け業者という不動産会社にお願いすることになります。ですから、自主管理の場合は客付け業者と、賃貸管理会社委託の場合は、その担当者とのコミュニケーションを強化してください。

客付け会社の方々も人間です。仲のいい大家さん、顔が分かる大家さんの物件から決めようと思うものです。ですから、空室が出た場合、あなたのほうからこまめに連絡して、募集状況がどうなっているかをチェックするようにしてください。

STEP2:広告費の設定

不動産業界には、悪しき習慣(?)があります。それが広告費と呼ばれるものです。業界ではADと呼ばれます。広告費、別の表現をすると「インセンティブ」です。「入居者を見つけてくれてありがとう」という謝礼です。オーナーのあなたが支払います。誰に、それは入居者を見つけてくれた客付け業者に対してです。

金額は地域によって様々ですが、通常家賃の1ヵ月分から2ヵ月分です。ルールでは、客付け会社は入居者から手数料として家賃の1ヵ月分をいただくことになっていますが、広告費という名のインセンティブ1ヵ月分が設定されている物件に入居者を決めることができれば、同じ作業で家賃2ヵ月分の手数料を手にすることができます。

つまり客付け会社は、ADがついてない物件より、ついている物件をお客様に案内したがる、よって決まりやすい、ということがいえるのです。

この不動産業界の習慣を嫌がる大家さんもいらっしゃるかもしれませんが、私の経験上、一度ADのついている物件を決めてくれた業者さんとは、その後仲良くなることができます。そして別の空室物件が発生した時にも、優先して案内してくれる可能性があります。是非、このシステムも活用してみてください。

STEP3:自ら動く

最後は、「自分で動く」です。あなたの友人などで部屋を探している人がいないかを探して、入居者を見つけます。また、あなたのパートナーである不動産会社ができないことを、あなた自身がやることです。「マイソクを持って地元客付け会社への営業」「空室内の清掃」「空室内のデコレーション」などです。

しかし本業をお持ちの方、サラリーマンの方は物理的に厳しいかもしれませんね。ですから、あなたがいずれ専業大家さんになった際には、是非ともチャレンジしてみてください。あなたが自分で動いていけば、きっとスキルも人脈も増えていくことでしょう。賃貸オーナーとして成長することができるはずです。

物件を活かすも殺すもリフォーム次第

不動産賃貸業とは、月々いただく家賃で稼ぐビジネスです。毎月決まったお金が必ず入ってくる超安定的なビジネスです。この安定している収入だからこそ、重要なのです。月々5万円の家賃よりも、月々5万5千円の家賃のほうが、月額5千円。年間で6万円の収入が増えます。ですから賃貸オーナーとしてあなたは、1円でも高い家賃で入居者と賃貸契約を結ぶことが必須です。

リフォーム費用対効果を考える

ただ、闇雲に家賃を上げても、入居者が見つからなかったら意味がありません。リフォーム代など多少の費用をかけることによって、家賃を上げることができるでしょう。壁紙を今風にしてアクセントクロスを貼ることで部屋の印象は大きく変わります。これで家賃が2千円から3千円上げられます。

では、壁紙を張り替える費用は? ワンルームマンションでしたら高くても5万円ぐらいです。ということは、5万円割る2千円で、およそ2年で回収できる計算となります。ということで、汚れたクロスのままで、入居者を募集して空室期間を作るより、早くリフォームをして家賃を手にしたほうが効率的といえるでしょう。

では、もっとお金をかけることを考えてみましょう。ヨーロッパの輸入家具やシャンデリヤを取り入れ、超豪華な部屋ができたとしましょう。リフォーム代が100万円。家賃が2万円上げられたとしたら、回収できるのは、50ヵ月後ということになります。これでは、費用対効果が悪すぎますね。

というように、あなたの手持ちの資金と、そのリフォームによってどれだけの家賃の上昇が見込まれるかを視野に入れて、リフォームを考えてください。オーナーのことを考えない賃貸管理会社は、やたらめったらリフォームの提案をしてきます。そりゃお金をかければそれだけ入居者が決まりやすいからです。

私が日頃考えているリフォーム代の目安です。

「家賃の3ヵ月分」か「5千円×24=12万円」の少ないほう

空室期間は家賃が入ってきませんので、最大3ヶ月を超えるのは嫌なので、その分まではリフォーム代に充てる、あるいは家賃を5千円上げて、2年で回収できるレベルでリフォームするというのが大方の目安です。

これはあくまで私の基準ですので、あなたはどのぐらいの費用を掛けるかの基準を持っておくことが重要ですね。

※本記事は『1000年使える不動産投資最強成功術 失敗しない人だけが知っている不動産経営の定番』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

(※写真はイメージです/PIXTA)