コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、主人公・ミモリが感じる辛さに共感する声が多数寄せられた話題の人気作品「精神科病棟の青春」をピックアップ。

【漫画】なんでこんなに痩せたかったんだっけ…友達から言われた「変だよ」という言葉を気にしてしまう高校生に共感の声続出

作者のもつおさんが10月19日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて8000以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、もつおさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。

■友達からの一言が高校生を摂食障害になるまで追いつめる

主人公・加藤ミモリは、友達から言われた「ミモリの脚太くて変だよ」という言葉を気にしてダイエットを始めた。

ダイエットはどんどん過激になっていき、食べたものを吐くようになってしまう。それでも「変だよ」という言葉が忘れられず「もっと痩せないと」とミモリは追い詰められていく。

心配したお母さんが診療内科に連れて行くと「摂食障害」と診断された。しかし、ダイエットをやめることはできず、ついに貧血を起こして倒れてしまう。

そして、ミモリの入院生活が始まった。スマホは取り上げられ、家族とも会えない遮断された空間はまるで別の世界に来たようだった。入院患者の中には、自分と同じ病気をもつ人やいつも廊下で倒れている人、何度も手を消毒する人など色々な人たちがいた。

そんな入院患者たちのことを「変だな」と思っていたミモリだったが、交流していくうちに徐々に気持ちが変化していく。

読者からは「変って言う神経が理解できない」「学生時代、変な同調圧力あったな」「気持ちが分かります」「辛いよな」など、多くのコメントが寄せられている。

■「実際に患者さんとした会話」作者・もつおさんが語る創作背景

――「精神科病棟の青春」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

高校生の時に精神科病棟に入院したことがあって、「当時の話をもっと詳しく知りたい」と担当さんとの打ち合わせで言われたことがきっかけです。今まで描いてきたコミックエッセイで精神科病棟に入院したことを描いていたのですが、病棟での日常や入院している患者さんのこと、病棟から高校に通っていたことなど詳しくは描けていなかったので、そこに焦点を当ててみようと思いました。私の中でも入院のことは大切にしていた思い出なのでこうして作品にできることが嬉しかったです。

――精神疾患を抱えている方々から主人公に共感する声がありましたが、「精神科病棟」を描くうえで意識したことがあればお教えください。

自分の経験をもとに描いている作品ですが、主人公を含め登場する患者の病気の説明や治療法などは必要最低限の情報しか描かないようにしていました。当時私が入院していた時も、患者同士で相手の病名や病棟に来るまでの事について触れることはあまりしないようにみんな気をつけていました。詳しく聞かなくてもみんな何かを抱えてやって来たことはわかっていたので…。病気の医療書や教科書のような本ではなくて、精神科病棟の日常を覗いてるようなイメージで作品を描きました。

――本作で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

第7話では病棟の1日の過ごし方を描きました。当時の自分が経験した1日と全く同じなので、読者の方に病棟の雰囲気が伝わるかなと思います。新しく病棟に来た患者のジヨンさんとの会話なども実際に患者さんとした会話なので、ぜひ見てみてほしいです。

第11話「みんな一人じゃ抱きれないものがあってここにいる。たくさん葛藤しながら心の病気と闘っている。」「そんな当たり前のことにどうして今まで気がつかなかったんだろう。」というナレーションの後にそれぞれの患者の部屋が映るシーンがすごく気に入ってます!今まで自分のことしか見えてなかった、見ようとしなかった主人公のミモリが周囲を見渡せるようになる話なので、11話までは主人公の部屋以外の病室を描かないようにして、11話の最後に描こうと決めていました。

――本作を通じて伝えたいメッセージがあれば教えてください。

精神科病棟って聞くと世間一般的には「怖い」「つらそう…」というイメージの方が多いと思います。私も入院するまではそうでした。実際に問題が起きてニュースで目にすることもあるので、良い意見ばかりではないことが現実だと思います。「世間にそんなことはないと私は伝えたい!」というほどの大きなものではないけど、ただ「そんな場所ばかりでもないよ」ということが読んでいる人に少しでも伝わればいいなと思っています。

――今後の展望や目標をお教えください。

今作は初めて「立ち行かないわたしたち」というシリーズ内の作品として出版することができました。まだまだ作家として吸収しなきゃいけないことがたくさんあるので、描き方やテーマなど一つにこだわらず、でも自分の良さは残して、色々な作品に挑戦していきたいです!

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

『精神科病棟の青春』はSNSでの反響もあって、たくさんの方の目に触れていただけていると感じています。それをきっかけに過去の作品を読んだという感想もいただきました。今回の作品で自身の出版が4作目になりますが、こうして作品を描き続けられるのも読者の皆さまのおかげです。この感謝の気持ちを伝える為に、これからも頑張っていこうと思っています!

友達から言われた「変だよ」という言葉…過度なダイエットによって入院してしまう高校生に共感の声/画像提供/もつおさん