今月行われるワールドカップ2026・アジア二次予選。日本代表はミャンマー戦とシリア戦の2試合に臨む予定となっている。

ワールドカップはどのサッカー選手にとっても夢であり、予選はそれに出るための重要な試合である。しかし今回、アフガニスタンの代表チームでプレーしてきた18名の選手が招集を拒否し、試合を行うことをボイコットした。

その一人がサウスエンド・ユナイテッドプレーしているMFヌール・フシン。1998年に発生したイスラム過激派組織タリバーンによる虐殺を逃れ、家族でイギリスへと亡命してきたという経験がある。

レディングとクリスタル・パレスを経て所属したノッツ・カウンティで、アフガニスタン生まれの選手として初めてイングランド2部に出場。2019年から代表チームへと招集されている。

『Guardian』によれば、ヌール・フシンはそのボイコットを行った理由について以下のように話したという。

ヌール・フシン

「僕はアフガニスタン代表に4年間入ってきたが、問題が常にあった。誰もお金のために来ている選手はいなかった。世界の様々な場所から、光栄さを感じながら飛んできている。

しかしながら、サッカーの成長を助けるために使われるはずの資金を、連盟がどのように受け取っているのか。我々はその腐敗ぶりを見てきた。

モンゴル戦の前には選手にボーナスが約束されていた。サッカー連盟は『これは本当に重要な試合だ。次のラウンドでは資金を得ることができる。勝ってもらう必要がある』と言っていた。

我々は試合に勝った。しかしながら、過去4~5年の間、彼らは約束を守っていない。選手として、我々は『このままでは前に進めない、適切な準備ができない』と連盟に伝えた」

アフガニスタンサッカー連盟は「2万ドルのボーナスを選手に支払い、1万ドルを代表チームのトレーニングキャンプに費やした」と発表したものの、選手側はそれを受け取っていないそう。

ブルネイリーグのDPMMでプレーしているアフガニスタン代表の主将ファルシャド・ヌールも、特に国内リーグの選手が置かれていた状況について以下のように明かしたという。

ファルシャド・ヌール

「連盟は適切な宿泊施設さえ手配してくれない。アフガニスタンで数週間行われたキャンプに参加した選手は、スタジアムの地下に泊まっていた。

食べ物についても、羊が一頭買われただけだった。キャンプの間はそれだけが与えられた。『刑務所のほうがまだマシ』という選手もいたよ。

アフガニスタンに住む選手は発言権がない。抵抗することができない。彼らはとても怖がっていて、命の危険を感じている。もし国外に出ることができるなら、彼らも声を上げるだろうが。

代表チームは誇りを持てる場所であるべきだ。僕は4年間キャプテンを務めてきたが、それをなぜ突然辞めてまでボイコットをするか。

それはアフガニスタンの若い選手がより良い未来を得るためだ。いつか彼らが、『アフガニスタンは汚職だらけではない。この国のためにプレーすることを本当に誇りに思っている』と言えるようになってほしいからだ。

きっと、連盟は『ボイコットした選手はお金のことばかりを気にしていて、アフガニスタンのことは考えていない』と言うだろう。

ただ我々の誰もアフガニスタン代表を引退した者はいないんだ。連盟は常にこのような戦術を使って選手たちのグループを分断、対立させようとする」

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なお、アフガニスタンはこのあと11月16日カタール代表と、21日にクウェート代表との二次予選を戦う予定となっている。

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