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『ジェラルド』(1984年作品)



1984年に発売されたジェラルドのファーストアルバムです。当時NOVELA在籍中に、NOVELAメンバーのソロアルバムを制作する話がありまして、そのソロアルバムの第二弾としまして(第一弾は平山照継の『ノイの城』でした。)発売予定でしたが、そのアルバムレコーディング時期にNOVELAの脱退を決めましたので、実質ソロアルバムがジェラルドというバンドのファーストアルバムに移行したという流れがあります。

もともとその数年前から、キーボードサウンドを中心としたサウンドのアルバムを作りたいという思いがあり、それがバンドとして発展していった形となりました。キングレコードのディレクターたかみひろしさん(NEXUSレーベル創始者兼プロデューサー)のご提案でありました、よりプログレで、大作志向で、叙情的であり、メロトロン満載のサウンドを作り上げたいという考えと共に制作を進めました。プログレマニアに喜んでもらえるアルバムを作るという方針でした。

メンバーは、キーボード永川敏郎、ギター&ボーカル藤村幸宏、ドラムスは当時美狂乱にて活動されていました佐藤正治、ベースはプログレバンド新月周辺での活動をされていました川田洋平。この4人によるスタジオセッションレコーディングされました。

10分にも及ぶ大作を3曲、歌のないインストゥルメンタル2曲、叙情的な1曲、アルバム1枚に6曲が収められています。

オルガン、ピアノ、シンセサイザーメロトロン等のシンフォニックなアプローチを中心に、感情豊かなボーカルパート、エキサイティングなギターソロを交え、パワフルな佐藤氏のドラムプレイ、フレットレス、スティックベース等の川田氏によるベースプレイ、どこを切り取っても正統派プログレな音となっております。

このファーストアルバム『ジェラルド』は、当時はレコードでの発売でしたが、何度となくCDで再プレスされ、80年代ジャパニーズプログレの名盤とも言われていたようです。ぜひこの機会に、配信にて体験してください。

ジェラルド』:https://lnk.to/GERARD_1st
『虚実の城』(1985年作品)



ファーストアルバム『ジェラルド』発売後、バンド形態として活動し始めたジェラルドセカンドアルバム『虚実の城』が1985年に発売されました。ファーストのようにセッション的メンバーではなく、よりバンドを意識した編成と音作りになっています。

キーボード永川、ギター&ボーカル藤村に加えて、ドラムスに谷本正樹、ベースに魚谷泰正のラインナップとなり、積極的にライブ活動をしていた頃に発売されたアルバムです。その状況からか、アルバム曲もバンド的要素の多い曲調となっています。ファーストアルバム『ジェラルド』では、数曲のサポートに回っていたリズム隊の2人も今回は実力を発揮し個性的なプレイで、難しいプログレの変拍子をプレイしています。

4人でのアンサンブルに重点を置き演奏されたこのアルバムの曲は、勢いと迫力をより感じられる曲となっています。中でも1曲目の「今宵使者は来たりぬ」のギターソロ、最後の曲「叶わぬ夢、そして運命(さだめ)」のエンディングへの盛り上がるセクションなどは、このアルバムの聴きどころ、名演奏だと感じております。コンパクトな曲と大作とが良いバランスで収められておりますこのアルバム、ぜひぜひこの機会に体験してください。

『虚実の城』:https://lnk.to/GERARD_EL.ED
『夢の中の夢』(1985年作品)



セカンドアルバム『虚実の城』と同時に録音され、時期をずらして発売された4曲入りのミニアルバムです。ジェラルドというバンドのわかりやすいメロディーを全面に押し出した、ハードプログレ的な曲を中心に、他のアルバムでは聴けない表情の曲が収められています。この辺りの曲はライブでも人気があり、よくプレイしていた記憶があります。ジェラルドの違った側面を感じる事ができるミニアルバムです。

『夢の中の夢』:https://lnk.to/GERARD_DOD
『アイロニー・オブ・フェイト』(1991年作品)



ジェラルド1986年に一旦活動休止となりました。その数年の後、1991年キングレコードより発売のこのアルバム『アイロニー・オブ・フェイト』、1980年代のメンバーではなく新たなリズム隊でのレコーディングとなりました。

メンバーはキーボード永川敏郎、ギター&ボーカル藤村幸宏、ベース永井敏己、ドラムス五十嵐公太の4人。このメンバーでの演奏にて、難解な変拍子とハードな楽曲が上手く融合し、良い感じで再現できました。

90年代になり、レコーディング技術も進化し、より迫力のある音で録音されています。いわゆる「良い音」でのレコーディングができました。

1曲目の「Irony Of Fate」という曲は、キーボードのSEから複雑なリズムパターンがフェードイン、プログレの醍醐味が味わえる曲で、シンセテーマ、ソロともにハードなテイストです。 アルバム全体的にはハードでテクニカル指向なアルバムですが、3曲目の「My Heart To The Past」はピアノと歌、6曲目の「Heaven」はアコギと歌、というバリエーション豊かなサウンド展開もあり、アルバムを通して聴いても飽きさせない1枚となっております。メンバーそれぞれの演奏力や表現力が向上し、高いクオリティの作品となりました。この機会にお聴きください。

アイロニー・オブ・フェイト』:https://lnk.to/GERARD_IOF 




◾️Profile



永川敏郎 (エガワトシオ)
日本を代表するキーボード・プレイヤー、コンポーザー。1980年にロック・バンドNOVELAでキングレコードNEXUSレーベルよりデビュー。NOVELA脱退後、自身のバンドGERARDを結成。活動休止期間を挟みながら多数の作品を発表。1986年EARTHSHAKERへ加入、活動の場を広げるも1994年に解散。その後、Scheherazade、NOVELA、GOLDBRICKなどへの参加を始め、様々なアーティストの活動をサポート。2018年よりEARTHSHAKERへ再加入、2023年9月にデビュー40周年記念となる最新アルバム『40』をリリースした。
https://gerardinformation.wixsite.com/1040
永川敏郎が語る“ジェラルド”制作秘話