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YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで10月27日から11月2日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および楽曲ランキングのトップ100の中から要注目トピックをピックアップします。

【動画】「30年前の曲とは思えない!」と話題の、LUNA SEA「LOVELESS」と「G.」のMV。

文 / 真貝聡

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、NiziUの韓国デビュー曲「HEARTRIS」が初登場でいきなり2位にランクイン。お互い異なる“あなた”と“私”が出会い“完璧なシナジー”を起こす様子をパズルゲームに例えた楽曲となっている。学園ドラマ風のMVに、JYPエンターテインメントの先輩グループであるStray Kidsフィリックスが出演していることも大きな話題に。

そのほか10位にはLE SSERAFIMとアクションシューターゲーム「オーバーウォッチ 2」がコラボしたMV「Perfect Night」が初登場した。11位は、なにわ男子の6thシングル「I Wish」に収録されているカップリング曲「Join us !」。中毒性の高いサウンドと、アクロバティックなダンスシーンが高い支持を得ている。81位はyama×ぼっちぼろまるのコラボによる、テレビアニメ「ポケットモンスター」のオープニングテーマ「ハロ」。未来に向かって駆けていく希望に満ちた歌詞と力強い歌声に、思わず心が震える。

K-POP、J-POP、アニメソングなど幅広いジャンルの楽曲がランキング入りした今回は、下記の3曲をピックアップした。

HoneyWorks「可愛くなれたらいいのに(feat. かぴ)」

※YouTubeミュージックビデオランキング8位

リリースする楽曲が次々と大ヒットし、21位の「可愛くてごめん feat. ちゅーたん」、22位の「すきっちゅーの!feat. ちゅーたん」と合わせて現在チャート上位に3曲がランクインしているHoneyWorks10月28日に公開した新曲「可愛くなれたらいいのに(feat. かぴ)」のMVに登場する主人公・中村千鶴は、クラスの学級委員長を押し付けられ、1人で雑用をやらされても嫌だと断れない気弱な女の子。地味で陰キャな自分を変えたいと思っていたある日、芸能プロダクションのスカウトマンに声をかけられる。意を決して撮影会に参加するのだが、さっぱりな結果に。自己嫌悪に陥っていたら、たまたま流れていたテレビCMに目が止まる。彼女は、画面に映っていたアイドルの男の子(LIP×LIPの柴崎愛蔵)に恋をする。そして握手会へ行くため、雑誌でメイクやファッションの勉強をして、かわいい自分に変貌を遂げる──。

面白いのが、同時にランクインしている、中村千鶴のもう1つの顔であるちゅーたんを主人公とした「すきっちゅーの!」「可愛くてごめん」と3曲並べてみると、1人の少女が努力をして自信をつけるサクセスストーリーになっていること。「可愛くてごめん」のあとで「可愛くなれたらいいのに」が発表されたことで、時間をさかのぼって徐々に少女の過去が明かされていく展開になっているのだ。

なお11月3日にはちゅーたん、はるにゃ、あおちゅんという3人のメイドを主人公とした「メイド☆至上主義」が公開されており、こちらも再生数が伸びそうだ。

LUNA SEA「LOVELESS」

※YouTubeミュージックビデオランキング78位

LUNA SEA90年代に発表した2枚のアルバム「MOTHER」と「STYLE」のセルフカバー盤を11月29日にリリースする。CDの発売に先駆けて、1994年に発表した「MOTHER」に収録された「LOVELESS」のセルフカバーMVが公開されたのだが、これが非常に素晴らしい。「LOVELESS」はLUNA SEA1995年に開催した初めての東京ドーム公演など、大事なステージのオープニングナンバーとして披露されてきた特別な1曲。それを、あえて当時のアレンジを忠実に再現しつつ、今のLUNA SEAの卓越したパフォーマンス、最新のミックス技術によって楽曲の魅力を増幅させている。MVを視聴した人からは「オリジナルメンバーで演奏している姿を観るだけで泣けてくる」「これが30年前の楽曲と思えない」など、賞賛の声が上がっている。

なお第2弾MVとして1996年に発表された「STYLE」の収録曲「G.」のセルフカバーも公開されており、こちらも圧倒的な疾走感と凄みのあるパフォーマンスを堪能できる。

DYES IWASAKI「S.C.R.E.A.M feat. RainyBlueBell」

※YouTube楽曲ランキング43位

YouTube楽曲ランキングでは、FAKE TYPE.のメンバー、DYES IWASAKIが去年夏に発表した「S.C.R.E.A.M feat. RainyBlueBell」が43位に登場。フィーチャリングで参加したRainyBlueBellは、FAKE TYPE.のトップハムハット狂も参加する3人組のラップクルーだ。今作は中音域でリリックが耳に入りやすい技巧派のbell、力強い声でエモーショナルに曲を盛り上げる雨天決行、ハイトーンでまくし立てるような高速ラップを披露するトップハムハット狂が順にヴァースを担当。三者三様の個性が現れた快作となっている。

1年以上前に発表された曲がこのタイミングで再び注目を浴びることになった背景には、にじさんじの小柳ロウ、星導ショウ、緋八マナがこの曲をカバーしたことで「原曲も聴いてみよう」と再生数が伸びていることが考えられる。

ちなみにFAKE TYPE.は、11月22日メジャー2ndアルバム「FAKE SWING 2」をリリース。またDYESは個人で初のボカロ曲「Dead or Like feat. 初音ミク」を発表しているので、これらも合わせてチェックいただきたい。

再生数急上昇ソング定点観測