阪神の快進撃を支えた大山。彼が残した顕著な数字に賛辞が止まらない。(C)Getty Images

 歴史の扉をこじ開けた虎戦士に脚光が集まっている。

 11月5日京セラドーム大阪で行われた「SMBC日本シリーズ2023」第7戦で阪神7-1オリックスに完勝。球団史上2度目の日本一に輝いた。

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 38年ぶりに頂点に立った。現役時代に“球団唯一”だった日本一を経験した岡田彰布新監督の下で、今季をスタートさせた阪神は開幕から快走。セ・リーグでは2位広島に11.5ゲーム差をつけて優勝。ポストシーズンも投打ともに安定した戦いを見せつけた。

 攻守で微塵も崩れなかった阪神にあって、出色の働きを見せたのが、全143試合で4番を務めた大山悠輔だった。

「1番はチームメートみんなが認める4番ですかね。誰もが認める、納得できる4番。だから、コロコロ変わると、責任感というか、打線として落ち着かない」

 そんな理想像を描く指揮官の想いを受け、4番に抜擢された大山。彼の主な打撃成績に大きく目立った数字はない。打率(.288リーグ6位)、本塁打(19本=同9位)、打点(78=同5位)、長打率(.456=同8位)はいずれもリーグ中位の成績ばかり。いわゆる「一発のある4番」というタイプではなかった。

 ただ、彼には特筆すべき数字がある。それは四球数(104)と出塁率(.403)、犠牲フライ(8)だ。いずれもリーグトップのスタッツであり、大山がいかに“打線”のつなぎ役として、チームに貢献しているかを物語っている。また、「出塁率-打率」で算出され、選球眼の良さを示す指標「IsoD」も、昨季の.091から上昇する.111(リーグ2位)を記録。いずれも7年のプロ経験に基づいた成長が見て取れる。

 世間一般がイメージする「4番像」とは異なる。それでも阪神の快進撃を支えた大山の活躍には、海外メディアも舌を巻く。韓国紙『朝鮮日報』は「ホームラン、打点、長打率が1位ではない。阪神優勝の立役者である大山がトリッキーな4番である理由」と銘打った記事を掲載。そのなかで献身的な活躍を見せた28歳のスラッガーを次のように評している。

「大山の本塁打、打点の生産する力は明らかに村上宗隆岡本和真よりも遅れを取っている。主な打撃成績に図抜けたものはない。だが、彼は4番打者でありながら出塁率.403を記録し、リーグで1位となった。これほど相手ベンチやバッテリーにとって手ごわい4番がいるだろうか? 今年の彼は相手にとって村上や岡本よりもやりにくかったはずだ」

 岡田監督の信頼にこたえ、「虎の4番」として戦い抜いた大山。彼の仕事人ぶりはまさにプロフェッショナルであった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

虎の「誰もが認める4番」に 大山悠輔の“顕著な数字”に韓国紙も脱帽「これほど手ごわい4番がいるだろうか?」