財務省が岸田政権の首を絞め上げている。11月8日、鈴木俊一財務相が岸田文雄総理の一連の所得減税案について、「税収増の還元」ではなく「国債を増発しての減税」になるとして、総理の説明を真っ向から否定。同日の日経新聞では宮沢洋一税調会長も同様の発言をした。そして翌9日には「週刊文春」で、神田憲次財務副大臣の税金滞納問題が報じられている。

「鈴木、宮沢発言と閣僚のスキャンダルは財務省の『仕掛け』と思われ、その裏には『あなたは財務省飼い犬。逃げられません』とのメッセージがあるのでは」(全国紙政治部デスク

 宮沢氏は岸田総理の親戚であり、鈴木財務相は宏池会で若い時からの親友だ。なのに、補正予算案を10日に閣議決定する直前の、身内の「反乱」。前出の政治部デスクは、

「岸田総理の身内でも動かせます、ということ。数日前にポスト岸田のダークホースとして、鈴木財務相の名前が挙がりました。財務省が動いているのだと、永田町では噂になっています」

 神田副大臣のスキャンダルもそうだ。与党参院議員のベテラン秘書が言う。

「政治関連の税金滞納は、国税庁を管轄している財務省が常に把握しています。この時期に出したのは、財務省なりの意図があったのでしょう」

 なぜ財務省は総理の身内に反旗を翻させて、閣僚のスキャンダルまで「演出」したのか。

「何をしても支持率が上がらない。総理は迷い始めたようです。現状では、来年9月の自民党総裁選で終わり。年内、年明けのやけっぱち解散を考えていた、といわれます」(前出・ベテラン秘書)

 岸田政権ほど使い勝手のいい政権はない。法人税引き上げ、少子化対策の財源のための社会保障費の負担増。制度を一度変えてしまえば20年は増税できる、というのが財務省のハラだ。

 11月9日朝、NHKが「首相、年内解散を見送る方向を固める」と報道し、岸田総理も「当面は経済対策以外、考えていない」と話して追認した。財務省の言う通りにしていれば来年9月まで、もしかすると総裁選で勝てる材料を揃えてくれるかもしれない、と考えるのか。それとも「年明けやけっぱち解散」で、財務省にしっぺ返しする勇気があるか。

(健田ミナミ)

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