●近年、韓国で大流行中の料理「チュクミ」とは? その美味しさの秘密を探るべく、コリアンタウン・新大久保で行列ができる人気店に突撃してきた。

 コロナ禍から続く韓国ブームが浸透した結果、これまで知られていなかった韓国グルメがどんどん日本に上陸していますが、近年、とりわけ脚光を浴びているのが「チュクミ」。チュクミとは、韓国語でイイダコのこと。

 日本でイイダコといえば、甘辛く煮付けにするイメージがありますが、韓国ではやっぱり激辛にするのが主流。イイダコに、唐辛子コチュジャンで作るタレをからめて炒めた料理は「チュクミポックム」(通称:チュクミ)と呼ばれ、丸い鉄板の上でジュウジュウ焼いて食べるスタイルが人気です。

 本場・ソウルにはこの「チュクミポックム」の専門店がたくさんあって、この料理だけに特化したお店が並ぶ路地まで存在します。そしてその激戦区の中から、一躍、人気店となっているのが、今回ご紹介する新保大久保の『チュクミドサ』というお店。なんと韓国には60店舗以上あるそうです。

 そんな『チュクミドサ』、日本には2022年5月に上陸。東京・東新宿にある新宿本店を筆頭に、新大久保にも2店を構えており、どの店も予約必須&大盛況という噂。一体どんな料理なのか、予約して食べてきたので、その味わいをレポートしたいと思います。

流行ってるだけじゃない!チュクミドサの魅力

『チュクミドクサ新大久保店』。新大久保駅から徒歩5~6分ほどの場所にあります
『チュクミドクサ新大久保店』。新大久保駅から徒歩5~6分ほどの場所にあります

 訪れたのは、新大久保にある『チュクミドクサ新大久保店』。新大久保コリアンタウンの路地裏にあります。店頭のタコのオブジェが目印。まずは名物の「チュクミドサ」を堪能しつつ、その魅力に迫っていきましょう。

「オリジナルチュクミ」(2人前)。
「オリジナルチュクミ」(2人前)。

 前述の通り、「チュクミドサ」の具材はイイダコ。「イイダコ+豚肉」、「イイダコ+ホルモン」などの組み合わせも選ぶことができますが、今回は初めてだったので、シンプルにイイダコだけの「オリジナルチュクミ」(1人前1880円)を注文しました。

 ちなみに辛さは、「普通」、「辛い」、「激辛」から選べます。今回は、「普通」でも十分辛いということなので、「普通」を選択。

 そのチュクミドサは、大きな鉄鍋に満載されて登場。真っ赤なタレがからめられた大ぶりのイイダコが折り重なるように載っており、中央にはモヤシやセリがこんもり鎮座。加熱前の状態を見ると、2人前でも食べ切れるかな? と心配になるほど量が多いです。

「チュクミドサ」とともにたくさんの小皿が登場
「チュクミドサ」とともにたくさんの小皿が登場

 鉄鍋以外に、小皿にもやしナムルマカロニサラダも一緒に運ばれてきます。これは韓国料理でおなじみの突き出しのおかず(パンチャン)ですね。

 そのほか、鍋に入れるトッポギと揚げ餃子、レタス韓国海苔、えごまの葉、大根の酢漬け、とびこ、レモンマヨネーズなどの皿が並び、テーブルがあっというまに華やかに。テンションが上がります。ここで、お店の人がテーブルに備え付けられたコンロに着火。

着火から、鍋を仕上げるまでお店の人がやってくれます。これは鍋にトッポギや揚げ餃子を投入しているところ
着火から、鍋を仕上げるまでお店の人がやってくれます。これは鍋にトッポギや揚げ餃子を投入しているところ

 ここから、鍋を仕上げるまでお店の人がやってくれます。この日、炒めてくれたのは若い韓国人の女性スタッフ。イイダコを手際よく炒めながら、食べ方を教えてくれました。

 いわく、「チュクミをレタスや海苔、えごまなどで巻いて、お好みで、大根の酢漬けやとびこ、レモンマヨネーズを載せて食べます」とのこと。ビールを飲みながらチュクミが煮えるのを待っていると、先ほどのスタッフの人から「もう食べていいです」と声をかけられました。

 まずはチュクミだけを食べてみます。うっ、ウマい! 日本のイイダコは、長時間煮込むせいか、小さくて固いイメージがありますが、このチュクミは大きいままで柔らかく、しかもプリップリ。そこにからむ、もやしのシャキシャキ食感とセリの香りがたまりません。

 しかし、噛むほどにじわじわと辛さがやってきます。そこで、お店の人が言っていたように、レタスやえごま、韓国海苔、大根の酢漬けなどでチュクミを巻き巻き。最初は「こんな組み合わせ、本当に合うのかな?」と半信半疑でしたが、実際にひと口食べてみると、めちゃくちゃ合うことがわかりました。

レタスに、韓国海苔、えごま、大根、チュクミ、もやし、とびこなどを自由に載せて楽しむ
レタスに、韓国海苔、えごま、大根、チュクミ、もやし、とびこなどを自由に載せて楽しむ

 レタスでイイダコの辛さが少し和らぐと同時に、えごまの香り、韓国のりのゴマ風味、そして大根の酢漬けの甘みが加わり、それらが一体となることで、イイダコ単体で食べた時よりも、味のバランスや食感の面白さが際立つのです。最高の一言です。

 美味しい、楽しい、テンションが爆上がりです。量が多いかなと思っていたけれど、全然、大丈夫。これだけならあっという間に食べ終わってしまいそう。

 しかし、辛さが積み重なってくると、ちょいと休憩を挟みたくなりますが、そんなときにぴったりな料理がちゃんとあります。それが「チーズ爆弾ケランチム」です。

サイドメニューも完璧!

「チーズ爆弾ケランチム」980円
「チーズ爆弾ケランチム」980円

 今回、下調べしていて、「チュクミドサ」とともに食べたいと思っていたのが、この「チーズ爆弾ケランチム」と、チュクミのタコの旨味が滲み出たダシで作る〆の「とびこチャーハン」(共に980円)。

「ケランチム」というのは、スフレっぽい食感の蒸し卵料理のこと。シンプルでどこか素朴な料理なのですが、ここ『チュクミドサ』の「チーズ爆弾ケランチム」は、“爆弾”という名前の通り、チーズがたっぷり載っていて、実に豪快です。

 壺鍋からとろけ出すチーズの下には、ふわふわ、ぷるぷるの卵。これが激辛のチュクミにものすごく合う! 卵とチーズのまろやかさに癒やされます。

壺の下までふわふわの卵で埋め尽くされています。
壺の下までふわふわの卵で埋め尽くされています。

 そしてもう1つのオススメ「とびこチャーハン」もマストオーダーの一品。注文すると、店員さんがやって来て、チュクミを食べ終えた鉄鍋を使って調理してくれます。

「とびこチャーハン」は、チュクミを食べ終えた鍋で作ってくれます
「とびこチャーハン」は、チュクミを食べ終えた鍋で作ってくれます

 ごはんと刻んだ韓国海苔を手際よく炒め、タレと絡まったら、ごはんを鍋に押し付けます。そこにとびこをまんべんなく振りかけ、おこげができるくらいまで加熱したらできあがり。

 これがまたウマいのなんの。鍋の最後の〆ごはんなのですが、これを食べずには絶対帰れない、いや、むしろこれを食べに来たんだとすら思える美味しさです。

完成した「とびこチャーハン」。表面はチャーハンのようで底面にはおこげができていて非常に香ばしい
完成した「とびこチャーハン」。表面はチャーハンのようで底面にはおこげができていて非常に香ばしい

 ゴマ油が香るおこげ部分に、イイダコやコチュジャンのタレが深く染み込み、そして韓国海苔の風味とプチプチのとびこの食感が響き合う……。この〆チャーハンも込みで、チュクミの美味しさなんですね。

鍋の旨味をすべて吸収した「とびこチャーハン」。美味しすぎる!
鍋の旨味をすべて吸収した「とびこチャーハン」。美味しすぎる!

 というわけで、『チュクミドサ』でいただいた「チュクミ」は期待以上の美味しさと楽しさで、大満足でした。まだ食べたことがない方はぜひ食べてほしい!

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:チュクミドサ 新大久保

住:東京都新宿区大久保1-15-8
TEL:03-4363-4449
営:10:30~20:30(22:00LO)
休:なし

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