ヘンリー王子が英紙『Daily Mail』の発行元を名誉棄損で訴えたことに対し、今後の裁判で争う権利を勝ち取った。王子は昨年10月、エルトン・ジョンら複数の著名人とともに、同発行元をプライバシー侵害で訴えていた。しかし相手側は疑惑を断固として否定し、裁判を行わないよう求めていた。そして今回、裁判官は被告側が「ノックアウトの一撃を与えられなかった」として、ヘンリー王子らに有利な判決を下した。

ヘンリー王子は2022年10月、英紙『Daily Mail』『Mail on Sunday』の発行元「Associated Newspapers Limited (以下、ANL)」に対し、「プライバシー侵害」を訴える法的措置を開始した

ANLを提訴したのはヘンリー王子に加え、歌手エルトン・ジョン夫で映画制作者のデヴィッド・ファーニッシュ女優エリザベス・ハーレイ、女優サディフロスト、社会活動家のドリーンローレンス男爵夫人、元政治家サイモン・ヒューズ卿の7名だった。

ANLは長年にわたり、私立探偵を雇って車内に盗聴器を設置したことや、不正な方法による私的記録の入手、私的な電話の会話へのアクセスによる録音など、違法な情報収集や委託をした罪に問われている。

今年3月には英ロンドンの高等法院で4日間にわたる予備審問が行われ、初日にはヘンリー王子がサプライズで出廷した。法廷ではエルトンやサディローレンス男爵夫人の姿も見られた。

ANLはこの疑惑を断固として否定しており、予備審問では同社の弁護団がニックリン裁判官に対して、裁判を行わずに訴訟を打ち切ることを求めていた。

そしてロンドンの高等法院で現地時間11月10日ヘンリー王子と著名人らに有利な判決が下されたのだ。

ニックリン裁判官は、ANLが「原告者のいずれの主張に対しても、『ノックアウトの一撃』を与えることができなかった」と述べた。これにより、ヘンリー王子を含む7名の著名人らは、今後もANLとの裁判を進めることが可能になった。

今回の判決を受け、ヘンリー王子を含む原告団の代理人は共同声明文で「『Mail』の出版物による重大な犯罪行為とプライバシーの重大な侵害に関する私達の請求が、裁判へと進むことを認める本日の判決を嬉しく思っています」と喜びを述べた。

一方のANLも声明文を発表し、原告団による訴えに強く反論するとともに、今後法廷で真っ向から闘う姿勢を見せた。

ヘンリー王子らが主張する電話ハッキング固定電話盗聴、侵入盗、粘着窓用マイクロフォンなどという薄気味悪い主張は、我々が常に明確にしてきたように単なるでたらめだ。我々は、いずれ法廷で立証することを楽しみにしている。」

報道改革キャンペーン団体「Hacked Off」の理事を務める俳優ヒュー・グラントは、今回の判決について「『Daily Mail』に対する大きな打撃だ」と評し、「違法な報道慣行の疑惑に対し、真実が明らかになることを望む人々にとっては素晴らしいニュースだ」と付け加えた。

画像は『The Prince and Princess of Wales 2017年10月26日付Instagram「Farvel Denmark」』『Elton John 2022年10月25日付Instagram「Happy 60th Birthday to my husband,」』『The Undoing 2021年1月19日付Instagram「Congratulations to Hugh Grant,」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

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