人気アニメ「東京リベンジャーズ」(毎週火曜深夜0:00-0:30ほか、テレビ東京ほか/ディズニープラスで定額制見放題独占配信)の“天竺編”。11月7日に放送された第43話「Rise against」では、突然の惨劇に見舞われながらも逃げない姿勢を貫いた武道に称賛の声が集まった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】最愛の人を失ったマイキー(CV:林勇)とドラケン(CV:福西勝也)

東京リベンジャーズ「天竺編」とは

アニメ「東京リベンジャーズ」は、「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載された和久井健の人気コミックを原作としたタイムリープサスペンス。人生どん底のダメフリーター・花垣武道(CV:新祐樹)が突如目覚めたタイムリープ能力で12年前に戻り、中学時代の恋人・橘日向(CV:和氣あず未)が不良集団「東京卍會」に殺されるのを阻止しようと奔走する姿を描く。

実写映画化もされた人気作で、TVアニメは「8・3抗争編」「血のハロウィン編」が2021年4月から9月、「聖夜決戦編」が2023年1月から4月まで放送された。その続編となる「天竺編」が10月3日にスタート。「天竺編」では、“無敵のマイキー”こと佐野万次郎(CV:林勇)率いる東京卍會と黒川イザナ(CV:島崎信長)率いる天竺の間で勃発した、東京卍會最大にして最後の抗争“関東事変”が描かれる。

イザナと稀咲の歪みが混じり合う

出会ってはいけない二人が出会ってしまった。「東京リベンジャーズ」第43話の冒頭、イザナと稀咲(CV:森久保祥太郎)のやりとりを見てそう思った人も多いはずだ。前回、稀咲はマイキーの妹・エマ(CV:内山夕実)を殺した。それは、マイキーから大事なものを奪うことで孤独にさせ、自分の思い通りに操るため。キヨマサ(CV:日野聡)にドラケン(CV:福西勝也)を、一虎(CV:土岐隼一)に場地(CV:水中雅章)を殺させようとしたのも、二人が計画の妨げになるからだ。

一方で、簡単に人を使って殺しができる稀咲が、ここにきて自らの手を汚したのはなぜだったのだろうか。イザナが尋ねても稀咲は答えなかった。

幼い頃に母親に捨てられ、児童養護施設で育ったイザナ。孤独だった彼にとって唯一心の支えだったのが、家族として自分を訪ねてきてくれた真一郎(CV:松風雅也)だ。だが、その真一郎はマイキーやエマと暮らしており、特に真一郎から「黒龍」を託されたマイキーに関しては、私怨を持っていてもおかしくない。

「オレがマイキーを飼い慣らしてやる」と稀咲に宣言するイザナ。最終的な目的は違えど、マイキー闇堕ちさせたいという思いに関しては二人とも共通している。また、目的のためなら手段を選ばない彼らの狡猾さに思わず身震いした。

■最愛の人を失ったマイキードラケン

一方、エマの遺体が安置されている病院にドラケンがやってくる。遺体と対面したのち、抜け殻となったマイキーを「…オマエがいてなんでこうなる?」と責め立てるドラケン。エマが巻き込まれた時に一番近くにいた武道は必死でそのことを訴えるが、ドラケンの耳には届かない。それどころか、ドラケンはパーちん(CV:木村昴)や一虎が捕まったことや場地が死んだことにも言及してマイキーに殴りかかる。

それらの出来事は決してマイキーのせいではなく、彼を責めるのはお門違いかもしれない。今までマイキーを責めなかったことからも、ドラケンも本当は分かっているだろう。

しかし、ここにきて最愛のエマを失い、これまで張り詰めた糸がプツンと切れたのではないだろうか。武道も「いつものドラケン君なら……乗り越えて…受け入れられますよ…」という言葉が口をついて出たところで、はたと気付く。受け入れられるはずがないと。

なぜならば、武道自身がヒナの死に抗うためにタイムリープを繰り返してきたのだから。誰にとっても、大切な人の死は受け入れがたいものである。武道のように過去に戻って大切な人が死ぬ未来を変えることもできないマイキードラケンが受け入れられるはずがない。

その瞬間、武道は「終わった…」と思った。

■みんなを動かした武道の逃げない姿勢

このまま武道は今度こそ、本当に現代を変えることを諦めてしまうのではないか。そう思われたが、武道はわずかな可能性に賭けて再び立ち上がる。エマという存在を失い、絶望の淵に立たされたマイキードラケン、悲しむヒナを目の当たりにして、稀咲との決着をつけに行こうとする。

「ヒーローハニゲナイ 君に笑ってて欲しいから」とヒナに告げた後、武道は天竺との抗争のために集まった隊員たちの元へ向かう。各隊の隊長がほぼ全滅の状態から、マイキーの「この戦い 後ろに隊長は一人もいねぇ 俺だけでいい!」という言葉で奮い立たされた隊員たち。だが、そのマイキーすらいない状況下で彼らはすっかり戦意を喪失し、一人でも天竺との抗争に向かおうとする武道に背中を向ける。

そんな中、共闘に名乗りを上げたのがアッくん(CV:寺島拓篤)だ。「いつでもそうだったな! 逃げねぇのはタケミチだけだった!」と叫ぶアッくん。さらには病院を抜け出してまで駆けつけたナホヤ(CV:河西健吾)や三ツ谷(CV:松岡禎丞)の後押しもあり、東卍の心は一つになる。喧嘩が強いわけでもなく、カリスマ性があるわけでもない。だが、どんな状況でも逃げない武道の姿勢がみんなを動かしたのだ。

ついに東卍と天竺による抗争“関東事変”が始まる。マイキードラケンの不在に不安が高まる隊員たちを武道が一つにまとめた第43話に、SNSでは「ドラケン、冷静じゃいられないんだよな」「マイキードラケンも辛いよね」「たけみっちは強いよ、死ぬ覚悟で頑張れる人なんてそうそういないよ」「マイキードラケンのいない東卍でどこまでいけるか。頑張れ」という声が集まった。

島崎信長の崎は正しくは「たつさき」

■文/苫とり子

アニメ「『東京リベンジャーズ』天竺編」第43話が放送/(C)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会