韓国「SBS人気歌謡」に過去4回出演するほど人気の中韓合同男性アイドルグループ「UNIQ」。同グループでメインダンサーとして活躍していたワン・イーボーは、現在ソロ活動に専念している。現在はドラマなどで華々しく活躍するワン・イーボーが「UNIQ」時代の活躍を見られる過去4回の「SBS人気歌謡」がCS放送の衛星劇場で11月に放送される。本記事では、「冰雨火」「風起洛陽」といった作品で人気俳優としての地位を確立したワン・イーボーが、歩んでいる新しい道をこれまでの軌跡から読み解く。

【写真】「UNIQ」として『SBS人気歌謡』に出演していたワン・イーボー

■「全国IBD頂尖街舞大賽」での入賞がデビューのきっかけに

ワン・イーボーは、なぜ芸能界に入ったのか。中国で生まれ、幼い頃からダンスに憧れを抱き、ダンスを習い始めて1年が経った頃、「全国IBD頂尖街舞大賽」のヒップホップ部門に出場。普通なら考え難いことだが、彼はその舞台で全国16強に入賞する。同大会がきっかけで現在の所属事務所「Yuehua Entertainment」がスカウトし、晴れて同事務所の練習生となった。

Yuehua Entertainment」は中国以外に韓国にも拠点を置く芸能事務所のため、練習生のワン・イーボーは14歳の頃から親元を離れ韓国で歌とダンスのレッスンに励んだ。そして2014年に中韓合同男性アイドルグループ「UNIQ」のメンバーとしてデビューを果たしたのだ。グループ内ではメインダンサーとリードラッパーを担当し、映画「ミュータント・タートルズ」の主題歌「Born To Fight」などでキレのあるラップを披露。MVが2億回も再生されるなど、大きな人気を呼んだのは記憶にも新しい。

またワン・イーボーは「グループの末っ子」を自称しており、茶目っ気のある言動でも知られている。たとえば来日の際に答えたインタビューのなかで「かっこいいと言われています」と自己紹介してみたり、「チャームポイントは声です」とわざと声を低くして言ってみたりと、すらっとしたハンサムな見た目とは裏腹な愛されキャラとしてなじんでいた。

■「UNIQ」での輝かしい活躍

「UNIQ」はデビューを果たすと瞬く間に人気グループとなり、翌年には日中韓の3カ国でライブをおこなうほどに成長。韓国の長寿音楽番組「SBS人気歌謡」にも出演し、楽曲を披露している。

同番組で「UNIQ」はデビュー曲「Falling In Love」や、ファーストミニアルバムのタイトルにもなった「EOEO」を披露した。ポップな「Falling In Love」とハードなダンスとラップが中心の「EOEO」。対照的な2曲が選ばれているところに、同グループが持つ引き出しの多さがうかがえる。

また、ワン・イーボーがソロ活動に専念することになってからは、中国のバラエティー番組「天天向上」のMCに抜擢され、5年間MCとして務めることに。2018年にはテンセントビデオのオーディション番組「創造101」にダンスメンターとして出演するなど、新たな道で活動の幅を広げていくことになる。

■出演ドラマが全体で52億再生!多岐に渡る分野で活躍中のワン・イーボー

2019年には、テンセントビデオにて放送された古装ドラマ(※中国の時代劇)「陳情令」 で主演に抜擢。同ドラマの最高再生回数は日に2億回を超え、全体の再生回数が52億回を超えるなど大ヒットを果たした。この大ヒットをきっかけにワン・イーボー自身も再ブレイクし、相次いでエンタメ賞を受賞していく。さらに同年12月30日にはソロシングル「无感」をリリースし、ネットイース・クラウド・ミュージック上において最速で1,000万枚の売上を記録するシングル曲となった。

歌手、俳優、そしてアイドルとしても地位を獲得してきたワン・イーボーだが、実はプロのバイクレーサーとしても活躍している。2019年1月にプロとなり、YAMAHAのバイクレースチームに所属。レース出場経験もあるというから驚きだ。

さまざまな分野で活躍するワン・イーボーだが、代表作といえば、「冰雨火~BEING A HERO」「風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~」といったドラマではないだろうか。「冰雨火」は、複雑に入り組む麻薬組織に挑む警察の熱き戦いを描いたサスペンスドラマ。ワンは硬派な麻薬取締官役に挑戦しており、チェン・シャオとのW主演やベテラン俳優揃いのなかでも負けない存在感を示した。

父の死の真相を探るために1人麻薬組織と戦うウー・ジェンフォン(チェン・シャオ)と、凶悪な麻薬犯罪を許さない真面目な麻薬取締官チェン・ユー(ワン・イーボー)。警察と容疑者という関係で出会った2人は、お互いが「信じたくとも信じられない」というすれ違いを繰り返していく。絆と立場が巧妙に織りなす切ないストーリーと巧妙なミステリーが、グッと作品の世界に引き込んでくれる。

そして2021年にホアン・シュエンと共演した「風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~」は、2023年9月に日本でもリリースされた人気作。「陳情令」ワン・イーボー、 「海上牧雲記~3つの予言と王朝の謎」ホアン・シュエン、「扶揺(フーヤオ)~伝説の皇后~」の監督シエ・ゾーがトリオを組んだ、見る前からワクワクするような超大作だ。

舞台は武則天が建立した王朝・武周の時代。神都・洛陽の町である日、朝廷高官の百里延が何者かに暗殺されてしまう。百里延の息子である百里弘毅(ワン・イーボー)は頭脳を活かして犯人を捜索するが、そのうちに同事件の容疑者とされていた高秉燭(ホアン・シュエン)と奇妙な絆で結ばれることになる。復讐に生きる高秉燭が追う相手と、百里延を殺した怨敵が同じかもしれない。やがて事件は、巨大な陰謀へと繋がっていることが明らかになっていく。

両ドラマとも秀逸なストーリーはもちろん、ワン・イーボーにピッタリのハマり役が話題の1つだ。ストイックなイメージをしっかり活かした麻薬取締官チェン・ユー、クールな面立ちに感じる怜悧な印象そのままの頭脳派・百里弘毅。多岐に渡る才能を見せながらも、彼の魅力が濃縮されているタイトルとして見逃せない作品たちといえる。

CS放送の衛星劇場では、ワン・イーボーが「UNIQ」として出演した過去4回の「SBS人気歌謡」が11月に放送される。さらに、現在、衛星劇場では「冰雨火~BEING A HERO」、「風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~」の両タイトルが放送中。

ダンスに歌に演技、そしてMCやバラエティーなどすべてをそつなくこなすワン・イーボーだが、彼はまだ26歳。これからさらに伸びやかに飛躍していくワン・イーボーの今後に注目していきたい。

アイドルグループ「UNIQ」に所属していたワン・イーボー/(C)SBS