中年男性・おじさん・サラリーマン・ビジネスマン・上司・スーツ

日本シリーズも終わり(阪神のファンの皆さま、おめでとうございます)、球界はストーブリーグに入ります――。

あれ? 私いま何と言いました? 「ストーブリーグ」……この言葉、皆さんご存じですか?

そうなんです。野球好きオヤジが、生活の中でついつい使ってしまう野球用語、世間では思ったより知られていないのですよ。とくに令和を生きる女性や若者の間では。しかし、そのことに無自覚なおじさんが多い。とくに会社の中では。

「今回のプレゼンは全員野球でやるで!」

「あの得意先、次の宣伝部長には、いよいよ鈴木さんが登板やな」

「お前の企画は直球ばっかりやん。変化球覚えなあかんで」

広告代理店にいる野球好きオヤジが、いかにも言いそうなフレーズを考えてみました。ってか、こんな発言しているの、2年前まで広告代理店にいる野球好きオヤジだった、ワタシだよ!

 
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■野球用語の認知度を調査

というわけで、私含めて、「野球用語が思ったより知られていない」ということに自覚的になるべきなのです。そこで、野球用語についての認知度調査を実施しました。

複数の野球用語を提示して、それぞれに「1.知っている」「2.何となく知っている」「3.名前だけ覚えている程度」「4.知らない」のいずれかを回答していただきました。

今回は選択肢の最上級「1.知っている」の水準で比較します。そして性別:「男性」「女性」、年齢別:「10−20代」「30−40代」「50代以上」の区分で分析していきます。

さて、ここで、野球における「打率」(詳しくない方は検索を)を考えてみます。3割台に乗ると好打者、2割台が普通、しかし1割台以下だと「スタメン」(同検索を)もおぼつかない。

そこで、「全体」に加えて「男性」「女性」「10−20代」「30−40代」「50代以上」といういずれかの区分のどこかで「1.知っている」が2割以下になる野球用語は、会社の中で使ってはいけないという条例案を提出したいと思うのです。これぞスポーツ多様性の時代におけるオヤジのふるまいでしょう。

 

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■ギリギリセーフ? 令和で認知されてる野球ワード8つ

まずは「合計」でのベスト8。これらは全区分で2割以上。使ってOKです。

野球用語

では、会社での会話における使用例を、いまプレゼンの結果を聞いたばかりの、広告代理店にいる野球好きオヤジに放ってもらいましょう。

「あのプレゼン、負け覚悟してたけど『サヨナラホームラン』やぁ!」

「ちゅうか、必死こいて走ってもぎ取った『ランニングホームラン』やぁ!」

「あのプレゼン、『スクイズ』みたいに危なっかしい販促企画が効いたなぁ!」

「でも最後、時間オーバーしたんは『ワイルドピッチ』やったで!」

「この価値は、営業とマーケ、両方できる『スイッチヒッター』、●●くんのおかげや!」

「●●くん、営業で打って、マーケで走って『ヒットエンドラン』やったわ!」

「それにしても、意表を突いたあの企画は、『チェンジアップ』やわ!」

「これで、大小4つのプレゼンに全部勝って『サイクルヒット』達成やぁ!」

 

ちょっとこの野球好きオヤジ、テンションが高過ぎて心配なのですが……。それぞれの野球用語の意味は、周囲のオヤジに聞いてみてください。「男性」もしくは「50代以上」であれば過半数が知っているようなので。

 

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■令和で使っちゃいけない野球厳禁ワード7つは…

逆に、以下の言葉は、使用禁止の条例案が提出されます。「女性」では「1.知っている」が全用語で2割以下ですので、とくに女性の方へは使用厳禁。

野球用語

では、「べからす集」として、使い方の例をまた、広告代理店にいる野球好きオヤジに放ってもらいましょう。

「月例報告の準備、誰もやってへんのか、『ポテンヒット』やがな……」

「打合せに遅刻って、打った瞬間アウトの『インフィールドフライ』やがな……」

「あの企画書作り、まだかいな? 何をもたもた『ファンブル』しとんねん……」

「会議の開始が遅れてるから、ゆっくり来てええで『エンタイトルツーベース……』や」(すいません、『エンタイトルツーベース』の使用例は無理がありますね……)

「あんな堅物の会社にこんな尖った企画提案するなんて『フィルダースチョイス』や……」

 

最後に、『テキサスヒット』と最下位『クラッチヒッター』は、全体で1割台、「女性」「10-20代」で1割を切るという低打率です。もう誰も知らないという感じなので使用厳禁。というわけで、このように使って、2軍に落ちてもらいましょう。

「お前の話、DX、DXばっかり言うとるけど、俺には難しくてよう分からん、お前にとっての『テキサスヒット』『クラッチヒッター』みたいに意味不明やねん……」

 

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■執筆者プロフィール

スージー鈴木

Sirabeeでは、音楽評論家、ラジオDJのスージー鈴木(すーじーすずき)さんの連載コラム【スージー鈴木のニッポンの民意】を公開しています。

 

毎回マーケットリサーチを実施し、そこから浮き彫りになる「ニッポンの民意」を世に問いていく連載です。今回は「令和の世論に訊く、野球用語についての認知度」に関する調査を掲載しました。

オヤジが会社で絶対使っちゃいけない7つの野球用語とは? 「誰もやってへんのか、『ポテンヒット』やがな……」