現役時代にはローマで栄光を掴んだ中田氏(左)とトッティ氏(右)。この両雄が今のサッカー界を語った。(C)Getty Images

 中東やアメリカの資本家が相次いで参加するようになった近年のサッカー界は、選手たちの移籍金が高騰。その在り方にも変化が見られている。

 一つのクラブに在籍し続ける「ワンクラブマン」は、もはや時代の産物となりつつある。クリスティアーノ・ロナウドカリム・ベンゼマネイマールらが相次いでサウジアラビアに移籍したように、金満オーナーたちに支えられるクラブから提示される巨額の契約を重視する傾向が目立っている。

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 それだけ選手の価値や自由が認められている証ではある。だが、ファンからはチームへの敬意に欠けるという批判も飛んでいる。公の場で「僕はこのクラブを愛している」と言っていた選手が、気づけばメガオファーで別のクラブに移籍しているのだから、彼らがやりきれない想いを抱くのは致し方ない。

 それでもビジネスの側面が強くで、どこか愛情に欠ける近年のサッカー界が置かれた現状に、往年のレジェンドは苦言を呈している。元イタリア代表FWのフランチェスコ・トッティ氏だ。

 ローマ一筋25年という現役生活を送った「王子」は、11月10日DAZNで配信された『22YEARS』で、2000-01シーズンに同僚だった中田英寿氏と対談したトッティ氏は「海外からたくさんの実業家が入ってきて、イタリアサッカーは変わった?」と問われ、「かなり変わった」と断言。「しっかりと金を出してくれる実業家もいるが、ほとんどはローマミランユベントスが好きだからではなく、金儲けのためにやってくるんだ」と自身の考えを口にした。

「残念ながら今はビジネスを中心に全てが回っている。少し前にインタビューで話したんだ。俺たちの現役時代に、今のような大金が流通していれば、間違いなく全てがサッカーに回されていただろうって。当時は20人中17~18人の選手は対して稼げていなかった。あの時の俺らが今の選手だったとしたら、いくら稼げたと思う? 当時の稼ぎの20倍はいけた」

 どこか寂し気な表情でそう語ったトッティ氏。2016年にも伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の取材で「最近の選手は遊牧民のようだ。彼らは心でなく、金に従うんだ。たぶんそれが俺との差だ」と語っていたレジェンドは、よりビジネスが重要視される現状に違和感を抱え続けているようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

“金銭優先”のサッカー界に異論 トッティが中田英寿に語った“本音”「残念ながら今はビジネスを中心に全てが回ってる」