以前にiPhone 15が届かないから貸してもらった、という一連の流れを記事にしました(※1)が、10月の半ばにようやく『iPhone 15 Pro Max』が手元に届きました。そのタイミングがオーストラリアへ向かう直前だったので、これはちょうどいいと思い、最低限のセットアップだけ済ませ、性能チェックも兼ねて海外へと連れて行くことにしました。

【写真】オーストラリアにてiPhone 15 Pro Maxで撮影した写真たち

 今回のオーストラリア旅、個人的に最大の目的としていたのが『SXSW Sydney』。毎年3月にアメリカのテキサス州はオースティンで行なわれるイベントであり、音楽フェスや映画祭の要素に最先端技術の展示会やカンファレンスまでセットになった「世界最大級のエンタメ×テクノロジーお祭り」である『SXSW』を、初めてシドニーで行うというエポックメイキングな瞬間に立ち会うために足を運んだのです。

  そして今回の旅はiPhone 15 Pro Maxの動作チェックも兼ねるということで、自らにこんな縛りを課しました。

・なるべく現金を使わない
・なんならクレジットカードも使わない
・基本はApple Pay(VISAのデビットカードと連携)でどこまでいけるか試す
・この記事で使用する写真や動画はすべてiPhone 15 Pro Maxで撮影

 今回はその成果と『SXSW Sydney』で感じたことについてお届けします。

 到着初日は前夜祭のような状態だったので、そこまで人は多くない状態。Amazon Prime VideoSnapchatのブースなどが並んでいます。興味深そうに眺めていると、スタッフの方から「日本の方ですか? Snapchatって知ってますか?」と質問が。つい最近そのような記事を掲載していたため「知ってます。日本では一部の大学生の間でSnapchatが流行しているんですよ」と見せながら話すと「知らなかった! それは素晴らしい!」と興奮気味にリアクションしてくれました。

 この日は会場周辺を下見。メイン会場となるICCは大きなホールを複数持っている、日本で言えば幕張メッセのような場所(海沿いにあるという点も同じ)。せっかくならと港の風景を撮影してみました。港には写真映えする巨大なHP×Intel evoの建造物も。

 iPhone 15 Pro Maxで撮影する際は、つい48mpカメラの超広角レンズ撮影を試したくなってしまいますね。

 その後は散策として、近しい建物にも入っていきます。マーケットセンターというショッピングモールには、国内最大級のお土産屋が並んでおり、アパレルに食品にと充実していましたが、筆者の興味はゲームセンターに。チャイナタウンの近くにあるからか、人生4カットやDance Dance Revolutionなどアジア産のゲームが多かったです。

(※1):https://realsound.jp/tech/2023/10/post-1455733.html

 あたりも暗くなってきたところで夜の街も撮影してみたり、2日目・3日目の朝は街中に用があったので、そのあたりで写真を撮ったりもしました。

 前日の夜食を近くのファストフード店で、コーヒーを街中のカフェで購入し、電車で移動。いずれもApple Payで決済ができ、何も苦労することなく過ごせました。これがモノホンのキャッシュレス社会……。

 2日目昼からはいよいよ『SXSW Sydney』本番。観客やセッションも多くなり、ブースも大盛況です。Intelのブースではeスポーツチームのミート&グリードが行われていたり、『Starfield』の制作環境に関するデモンストレーションが行われていたりと、ビジネス&ゲームの発展とCPU・GPUの発展が密接に関わっていることをアピールしているように感じました。

 このシドニーで開催されたイベントやセッションは、のべ1200ほど。Netflixで大ヒットしたドラマシリーズ『ブラック・ミラー』を製作したチャーリー・ブルッカーやナオミ・ワッツ、ニコールキッドマンなども出演。個人的に「これだけは絶対に外せない!」と思っていたのは、チャンス・ザ・ラッパーのキーノートでした。

 長蛇の列ができたこの日のセッションで、チャンスは数多くの金言を残してくれました。ヒップホップの先人たちやカニエへの思い、シカゴという土地が持つ性質、創作をする若者へのアドバイス……。自分の胸に刻んでおきたいものばかりなのですが、一部だけここに書いておきましょう。

「私たちは、声なき人々の声に耳を傾け、それを認め、支持する。そして敗北のように感じられる状況に直面しても立ち上がる。なぜなら、ヒップホップは私たちをより強くし、より勇気を与え、より正しくあろうとする、抑圧された人たちにとっての『解放のツール』だから」

「私が思う人生の意味は『世界に影響を与える機会』だ。要するに『誰だって築くことも破壊することもできる』ということ」

 『SXSW』の醍醐味は昼のカンファレンスだけでなく、ナイトタイムのライブやクラブパフォーマンスにもあります。ICCがあるダーリングハーバーから徒歩で15分ほどの場所にあるチッペンデール周辺のライブハウスやホテル、クラブでは次々にパフォーマンスが行われており、筆者ももれなく参加。ライブハウスのドリンクはさすがに現金かなと思ったのですが、メニュー表には「No Cash!」の文字。ここでもApple Payで支払いを済ませ、存分にライブとビールを楽しんだのでした。

 上記のセッションやライブも含めて筆者が『SXSW Sydney』で印象に残ったのは、AIやWeb3系のセッションも数多いうえ、しっかりと聞きにくるオーディエンスもたくさんいたこと。あまり日本ではテック×エンタメのイベントが少ないうえ、ライブに人は集まれど、トークセッションに大勢の人が来る、という例はあまりみられません。以前に参加した海外イベントもカンファレンスの参加者が多かったこともあり、そのギャップに驚くとともに、日本のエンタメシーンの課題はこのように“楽しむ人”と“シーンのエコシステムについて考える人”がイコールになっていないことなのだと考える良い機会でした。

 ちなみにiPhone 15 Pro Maxは結局カメラとしてフル回転。決済もお土産含めてApple Payですべて済んだので、使った現金はゼロ。スマホひとつで気軽にウロウロできたのはもちろんシドニーという土地のキャッシュレス普及率の高さや治安の良さが前提にあるのですが、あらためてiPhone 15 Pro Maxの優秀さを感じるとても快適な旅になりました。

(取材・文=中村拓海)

オーストラリアにてiPhone 15 Pro Maxで撮影したオペラハウス。