総務省統計局『家計調査年報』(2022年)とともに、日本の平均的な暮らしについて考えていきます。

統計調査…平均家庭が貧しくなっている?

総務省統計局『家計調査年報』(2022年)によると、2022年の2人以上の世帯(平均世帯人員2.91人、世帯主の平均年齢60.1歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヵ月で平均290,865円。総世帯(平均世帯人員2.22人、世帯主の平均年齢59.5歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヵ月で平均244,231円となった。

前年の消費支出は2人以上の世帯で279,024円、総世帯で235,120円であったため、1万円ほど増加したことになる。

2人以上の世帯の消費支出を世帯主の年齢階級別にみると、40歳未満の世帯は1世帯当たり1ヵ月で平均269,094円、40~49歳の世帯は321,269円、50~59歳の世帯は359,963円、60~69歳の世帯は299,362円、70歳以上の世帯は237,203円となった。

2人以上の世帯の消費支出の内訳は、食費が81,888円、住居が18,652円、光熱・水道費が24,254円、家具・家事用品が12,390円、被服及び履物が9,493円、保険医療が14,797円、交通・通信が41,535円、教育が11,439円、教養娯楽が27,619円、その他が48,529円である。

食費の内訳は、穀物が6,515円、魚介類が6,095円、肉類が8,055円、野菜・海藻が8,826円、乳卵類が3,985円、果物が3,334円、油脂・調味料が3,904円、菓子類が7,864円、調理食品が12,097円、飲料が5,212円、酒類が3,698円、外食が12,305円となっている。

上記を日割りすると、穀物・魚介は1日当たり210円程度、肉類は260円程度、野菜・海藻は390円程度、乳卵類は130円程度といった内訳になる。都内のスーパーでお買い得商品かつ高価でない部位を選んで買ったとしても、1日当たり、肉類は牛肉だと100グラム、豚肉だと200グラム、鶏肉だと300グラム程度という計算になる。家族で3食食べるには少なすぎるのではないだろうか。

日々のお金を「親に頼る」ことのリスク

核家族化が進む現在、世帯当たりの人数が減少傾向にあるなか、高齢でも親が元気な場合が多く、子ども世帯が「親のお金」に頼るケースも少なくない。日々の消費支出もさることながら、住宅ローンや教育資金といった大きなお金を工面してあげたい、という親側の気持ちもあろう。

しかし多額の資金援助は贈与税の対象になってしまう場合があるため、住宅ローン返済を親からの援助に頼っている世帯は注意が必要だ。さらに、親が健在なうちは問題ないが、病気をしたり介護が必要になったりした場合には、支援が途切れ、むしろ子どもが支出する側になる可能性が高い。「親のお金頼り」にはリスクがつきまとうのだ。

※「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の特例」と「相続時精算課税選択の特例」などの制度もあるので、支援を受ける場合は税理士に相談しましょう

一昔前には正社員として就職、結婚してマイホームを購入することがごく平均的な幸福とされていた。ところが民間給与が減少傾向にある現在は、いずれもが一種の「ぜいたく」とすらいわれている。

このような状況でも自立して生活するためには、貯蓄・節約はもちろんのこと、副業や資産運用も一手となる。毎月のお金をやりくりしつつ、1年単位、10年単位といった長い目でみた生活設計も並行して求められているのだ。

(※写真はイメージです/PIXTA)